表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
161/255

第160話 もっと 素材をお届け &あの人

「素材採ってきましたわよ!シーラ、製薬の方はどうですの?」


「あ・・・はい・・・ぼちぼちと・・・えんえんと・・・ふふふ・・・」


「・・・頑張ってくださいまし。あ、出来た分だけ届けに行きますわね」


『フィヨルド火山』での素材採取から数日経ち、現在私達は素材集めに日々奮闘していました。


 そしてそれはチームマシェリーだけでなく・・・


「お邪魔しますわね。レイラが来たらこのお薬を・・・って丁度居ましたのね」


「ああ・・・今帰って来たばかりさ」


 製薬の為に借りたシーラ用の工房から出てロギヌス工房へと訪れると、私達同様素材採取に追われているレイラ+αが疲れた顔をして応接スペースのソファーに腰を下ろしていました。


「お疲れ様・・・あ、コレ追加のお薬と・・・ノワール、飲み物と甘い物でも出して差し上げてくださる?」


「はい」


「因みにレイラ、今日の成果はどうでしたの?」


「微妙だね・・・何であんなにファイアーラットが出ないもんかねぇ・・・」


 この素材マラソンとでも言える素材採取は全て、『火鼠の皮』の所為でした。

 というのも『フィヨルド火山』から帰った時に『これもっと持って来て?』と言われていたと思いますが、あの後職人が『もっともっと!』と言って追加注文を止めないのです。

 それは全て『武器開発の試行回数を増やす為』だそうで、『それならば・・・』と私達はせっせと素材採取に励んでいる訳ですが・・・


「申し訳ありませんわねレイラ・・・。押し付けるような形になってしまって・・・」


「マシェリー達は学生が本業だし、仕方ないさ。それにあたしらも稼がせてもらってるっちゃ稼がせてもらってるしね」


 週末以外は学園で授業があるという理由がある為、いくらアクセスが良いからと言って私達は毎日『フィヨルド火山』へ通えません。なので先程の言葉で分かったと思いますが、『フィヨルド火山』へはレイラにチームを組んで毎日通ってもらっているのです。

 それならばチームマシェリーは一体何の素材集めに奮闘しているかというと・・・『フィヨルド火山』ダンジョンに使うお薬の為でした。

 厳密に言うならばお薬の為だけではなく、パメラ達の使う分の素材などもあるのですが、ほとんどがお薬の為で、シーラを覗いた全員でそれらの素材を分担して採取・調達をしているのです。因みになんとなく解っているかと思いますが、シーラだけは工房に籠って延々と調薬作業をしています。


「もう少し素材的に余裕が出来れば、『ある程度溜めてから一気に渡す』とか出来ますのに・・・ぐぬぬ・・・」


「素材の採取量が渋いし、パメラ達が『良い所だから!お願い!』なんていうんだから仕方ないさ。ま、これは冒険者あるあるだね。マシェリー達はそう言う依頼人に当たった事ないのかい?」


「ないですわねぇ。あ、用意できましたのね。ありがとうノワール」


 気付くとノワールがチームレイラの為のお茶とお菓子の用意をし終えていたので、私もついついそれに混ざって話し込もうとしてしまいましたが・・・


「お嬢様、時間も時間ですしお暇した方がよろしいかと」


「ん・・・確かにそうですわね」


 今日も学園で学びを得ていた私達は放課後に活動していたので現在の時刻は夕方だったりします。そして本日は木曜日で明日も授業があるので、それに備えて早く帰るべきです。

 なので名残惜しいですがレイラ達との会話は諦め、私達はロギヌス工房を後にする事にしました。


「レイラ、私達はお暇させていただきますわね」


「あいよ。お疲れ。あ、週末はどうするんだい?あんた達も『フィヨルド火山』にいくのかい?」


「ええ。お薬の方もそのために頑張って作ってくれていますし、週末は私達も行きますわ」


「了解。んじゃそこでガッツリ集めちゃおう」


「ええ」


 週末の予定を話すと別れの挨拶もし、私達はシーラを迎えに行くため借りた工房の方へと向かいました。

 そしてシーラの作業がキリの良い所まで進んだところで、私達は学園へと帰りました。


 ・

 ・

 ・


 そんな品評会の為の忙しい日々とは別に、私達は学園でも忙しい日々を過ごしていました。

 それは放課後にある週2,3回ある歌の練習だったり、3月の頭の方にある考査の為の勉強だったりです。

 しかも勉強に関しては放課後が色々忙しいので、休み時間を使って勉強をしなければいけないので、放課後までは勉強漬けとなっています。・・・まぁ私とノワールは頭の出来が違うので、昔一括でガッツリやった内容が残っていたりして余裕だったりするのですがね。


 とまぁそんな日々を過ごし、『明日は週末、明日からガッツリ素材採取しますわよ!だから勉強を頑張りなさい!』とか言いながら、お昼休憩に教室で勉強をしていた時の事です。


『ガラガラ・・・ザワッ』


 教室の扉が開き、誰かが入って来たと思ったら何故か少し騒めきが起きました。


「・・・?」


 普段ですと誰が入って来ても特段そんな騒めき等起こらないのですが、何故かその時は教室内に居た数人のクラスメイト達が騒めいていました。

 私はそれが気になり、マルシア達と見ていたノートから顔を上げ、教室の扉へと目をやりました。


 すると・・・


「・・・あぁ、なるほど」


 私はそこに居る人物達を見て何故騒めきが起こったのか解りました。それというのも、そこに居たのは1年生で私の次に悪名が高いと言われている人物がいたからです。


 その名も・・・


「ノ~ッホッホッホ!こんにちは皆様!あてぃくしアーデリンドが来ましたわ~」


 マニー伯爵家の娘、アーデリンド・ド・マニーです。

 彼女は入学式前にイリアスに絡んでいたりしましたが、その後も自分より低い家柄の人に取り巻きと絡んだり、行事の時に五月蠅かったりと、正直、劣化版の私みたいな人物でした。

 そんな彼女が一体何をしに来たのかと皆が思っていると、彼女は目的の人物を見つけたのか、つかつかとその人物の元へ取り巻きと共に近づいて行きました。


「ノ~ッホッホッホ!御機嫌よう!マシェリー様ぁん!」


 ・・・まぁ、私なんですけれどね?


「ええ、御機嫌ようアーデリンド様。本日はどうなされましたの?」


 私は取りあえず淑女らしく挨拶をし、用向きを伺ってみます。

 一応彼女とは知り合い・・・ではあるんですよね。まぁそれというのも彼女の家、マニー家は伯爵家ながらも力を持っているので、父親からは『仲良くしておくといい』と言われた事があるからです。

 それもあって顔を合わすと挨拶くらいは交わす仲ではありますが・・・一体何の用なのか気になる所です。


「挨拶っ!ですわっ!」


「そ・・・そう」


「まぁ今回はそれだけではないのですけれどねっ!」


 本当に挨拶の為だけに来たのかと思い吃驚しました・・・と言うのも彼女、非常ぉ~に貴族らしく、『強気に弱く、弱きに強く』という性格をしているので、極々稀に上の者に対して挨拶だけしに来るなんてことがあるらしいのです。というか実際ありました。

 しかし今回は何か用があるらしく、何かと聞いてみると・・・何と驚くべきことに彼女、ヘファイナーの品評会に出場する工房の1つ『ルミネリー』のパトロンをしているのだとか。


「お金やアイディアなんかを出したりして、支援していますの~!」


「そうですのねー」


「はいっ!それでマシェリー様も同じような事をしているのだとか聞いて、それで挨拶にまいりましたの!」


 アーデリンドはキャイキャイとはしゃぎ、なにやら聞いてもいない自慢などをし始めたので、私は『へー』と相槌を打つロボットに徹していました。別に話を遮ってさようならとしてもいいのですが、『流石にこれだけではないだろう』と話を聞くことにしたのです。

 しかし彼女は何時まで経っても次の話に進まず、そろそろ話を止めさせてもいいかなと思っていた、その時でした。


「そう言えば~、この教室にもう一組同じような方がいらっしゃるとかどうとか~?」


 漸く本題に入ったのか、アーデリンドはそのもう一組であるイリスの方に顔を向けました。


「う~ん・・・ここは・・・」


「こうでしょう?」


 イリスもイリアスと共に勉強をしていたみたいで、ノートや教科書を広げ何やら話していました。

 しかもよほど集中しているのか、キャイキャイと五月蠅かったアーデリンドの事に気付いていない様なのです。


 それが気に入らなかったのでしょう、アーデリンドはイリス達の方へと歩いていき、机の前に付くと、懐から出した扇子を片手にパッシパッシと打ち付けながら『おらおらおめぇだよぉ!?』とアピールをし始めます。

 それで漸くイリスは気づいた様なのですが、彼女は顔も上げず『煩いです。少しお静かに。こっちは急な話で学生生活に・・・』なんて言ってシッシッと追い払う様手を振っていました。


「ちょ・・・ちょっとアナタァねぇ・・・」


 まぁそんな事をされたものですから、アーデリンドは怒りがマジ卍のムカチャッカファイアー(死語)、その怒りを吐き出す様に叫ぼうとしたのですが・・・


「マニー嬢、ウチのサークルメンバーのイリス達に何か用なのか?」


 少し離れた席でこれまた同じ様に勉強中だったグウェル殿下に声を掛けられ、その怒りの叫びをキャンセルさせられてしまいました。


 そこからはテンプレというかなんというか・・・

『え?』→『だから品評会にでるうちのメンバーに何か?』→『え、グウェル殿下も・・・』という感じで、最後は『グウェル殿下達なら優勝間違いなしですわね~!それじゃぁあてぃくしは用事がございますので~・・・』と言って去って行きました。



 いきなり来ていきなり去って行った嵐のような人物に『?』となってしまいましたが、『まぁ彼女も品評会に絡んでくるなら何か・・・』なんてテンプレの見本の様な人物でしたので、またテンプレ的に何かあるのかと思ってしまう・・・そんな日々を過ごしていると・・・



「試作・・・出来たわ・・・」



 どうやら私達の作業に進展があったと、そう報告が入りました。



 マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「誰だお前は」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?

 ☆やイイネをぽちっと押すと あの人がレギュラーに・・・。


 マシェリーの一口メモ

 【ノ~ッホッホッホさんは『2章のはじめ』に出ていたお方ですわよ!】


 マシェリーより宣伝

【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。

最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/

よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ