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第151話 Re:結果は・・・

「それは・・・」


「んー・・・」


 発明王でもある黄の魔王から紹介された魔道具師と錬金術師の2人は私の問いかけた疑問に答えようとしたようでしたが、少し言葉を選んでいる様でした。

 ですが取り繕っても仕方ないと思ったのか直ぐに口を開き、何時もの調子で答えました。


「難しいとは思うけろっ」


「出来るとは思うらっ」


「「「おぉ・・・」」」


 その答えに私同様固唾をのんで見守っていた者らは感嘆の声を漏らし、私などはガッツポーズを決めてしまいました。


「やりましたわ!属性剣製造フラグが建ちましたわっ!」


「気が早いろっ」


「そうらっ。因みにグラァ達が思うに、作ったところで実用に耐えれない可能性が大らっ」


「えっ?」


 私は双子の言葉を聞いてグッと握った拳を今度は力なく開いてもにょもにょとしてしまいます。

 そうしてオロオロとしていると双子達は自分達の考えを追加で説明をしてくれました。


「出来ると言ったのはあれろっ、正直魔道具の形を剣にするだけみたいなものだから出来ると言ったろっ」


「けど魔道具は剣みたいに打ち合ったりする物じゃないらっ?だからそこまで耐久に重きを置かないらっ」


「グラァ、その言い方は正しくないろっ?正確には『魔道具としての機能を果たす耐久で一杯一杯』ろっ」


「なる・・・ほど?」


 私は彼女達の説明を頭の中でかみ砕きながら自分なりに理解をしようと考えます。


(本来魔道具というだけでもその物自体に負荷がかかるのかしら・・・?だからモンスターや敵の武器と打ち合う前提の装備に魔道具の機能を付けようとすると直ぐに壊れる・・・ってことですの?)


 私が考えたそれらを双子に伝えると彼女達は頷きました。


「ろっ。魔道具師は無意識にそれが解ってるから、そんな発想を思いついても直ぐ消去するから口には出さないろっ」


「つまりマシェリーは魔道具界のセオリーを無視する革命家らっ!流石らっ!」


 何故かいつの間にか魔道具界における革命家にされてしまいましたが・・・話は分かりました。

 パメラもうんうんと頷いていたので何を頷いているのかと尋ねてみると『誰ともなく無理だと言われている理由が解った』との事でした。


「うぅん・・・あっ!」


 ですが私は諦めません。なのでパメラへと質問を投げかけます。


「パメラ、ヘファイナーの品評会では実用品かどうかは考慮しないんじゃありませんの?」


「ん?」


「いえ、実用に耐えるかどうかを考慮しないのであれば、品評会の間だけ耐えうる一発屋仕様で作ってしまえばいいかなと思いましたの」


「あぁ~・・・そういう事。でもね・・・・」


 諦めずに聞いたこの質問ですが、答えは『入賞選考に残る様なモノは耐久面も審査される』との事で、私の考えは儚く砕け散ってしまいました。・・・ということは、やはり属性剣製造の道は断念という事ですね。


「はぁ~・・・」


「・・・」


 上げて落とされたので私の気分はダダ下がり。その所為で大きなため息を吐いてしまいましたが、その正面のパメラは何か考え込む様に顎に手を置きテーブルの上をジーット見つめていました。

 私はそれが気になりパメラへと声を掛けてみました。


「如何しましたのパメラ?」


「んー・・・やってみようかなと思って」


「え?何をですの?」


「剣の魔道具化?って言うのかしら?つまりマシェリーの出してくれた案『属性剣』の製造ね」


「「「えぇ!?」」」


 パメラは何故か突然『出来るだろうけど実用に耐えない物になる』と言われた魔道具の剣を作ると言ってきました。

 何故ハッキリと現実的ではないと言われた物を作る気になったのか、私はそれが気になったので尋ねようとすると、その前にパメラの方から話し始めました。


「いやね、1週間程待って~・・・なんてちょっと前に言ったばっかりでアレなんだけどさ、多分1週間待ったところで大してアイディア何か集まらないんだよね」


 パメラは少し遠い目をしながら続きを口にします。


「実はウチって落ち目・・・っていうのかな、先代の父が亡くなってからはちょっとずつお客が減って来てて、今じゃレイラ達一部のお客しかきてないのよね」


「え?」


「職人だって同じでね?テッショウがウチに居たって言ったわよね?あいつや他に数人の職人がウチにはいたんだけど、彼ら父が亡くなってから出て行ってしまって、今じゃ私しかこの工房には居なくなっちゃったんだよね」


 以前にテッショウやカリンとの関係を話してくれた時には教えてくれませんでしたが、実は結構複雑な事情があった事をパメラは話してくれました。

 そしてその話はどうもレイラは知っていたみたいで、少し苦い顔をしながら『パメラだって腕はいいんだけどね』なんて呟いていました。


「ま、そんな訳でさ、どうせなら無理だって言われてる魔道具化した剣の製作でもしてやろうかなって。どうせこのまま普通に武器作ったところで所詮私が作れるのは『ソコソコいい腕の職人が作ったまぁまぁの武器』だからさ、失敗したとしても『その位のモノを出してくる奴が今回は出してこなかったな』で終わるのよね」


「そんな事は・・・」


「あるのよ。私程度の職人だとね」


 パメラは自分を卑下する様にそう言いましたが、彼女の腕は悪くありません。・・・しかし『飛び抜けて良い』とも言えないので、それを自ら知っている彼女にそれ以上言う方が悪いと思い何も言いませんでした。


「ま、そんな訳で一念発起って言うのかしら、やってみようかなって思った訳なのよ。もしこれで本当に出来ようものなら万々歳だしね」


 彼女自身はある程度吹っ切れているのか軽い感じで言いますが、決してその考えは軽い考えの元出たモノではないでしょう。なので私は彼女のその考えを尊重し、精一杯力になろうと彼女の話に乗る事にしました。


「そう・・・ですわね。それにこのままだとテッショウ達との勝負にも負けてしまいそうですもの、賭けも必要ですわね。解りました、その考え、私達も全力で手伝わさせていただきますわね!」


「・・・ええ、ありがとうマシェリー」


 パメラはニッコリと笑い頭を下げてきました。

 そんな彼女の力になろうと私は思い、パメラにニッコリとほほ笑むとそのまま顔をスライドさせ、『先ずはここから』と早速この計画の核心部分になる人物達へと交渉をする事にしました。


「グロウ、グラァ、お願いがありますの。聞いてくれるかしら?」


 私から笑顔を向けられ名前を呼ばれた双子は直ぐに次の台詞に感づき、先手を打ってきます。


「今は忙しいろっ!」


「らっ!手伝うのは無理らっ!」


 双子は顔の前で両手をクロスさせ『無理ぃ~!』とポーズを取りますが、私もその事は重々承知です。


「勿論それは知っておりますわ。なんせ私が頼んだ仕事ですもの。ですからそれらは一度ストップ、パメラの方を手伝ってもらいますわ」


 なのでその忙しい現況を一度ストップさせるように指示し、更に絶賛稼働中の『記憶くん』の製造ラインも新たに人を雇い双子を一時的にフリー状態へと持っていくと話します。

 すると双子はニッコリ笑い、『それならオッケ~』と軽く了承をしてくれました。・・・まぁ軽く了承してくれたのは『やってくれるなら毎日美味しいスイーツを差し入れしますわよ?』と約束したおかげかも知れませんが。


「ではそういう訳で・・・パメラ」


「ええ」


「無理だと言われている実用レベルの魔道具武器・・・作りますわよ!」


「ええ、やってやりましょう!」



 こうして私達の一般的には不可能とされる『魔道具武器作製計画』は始まりました。


 ・・・しかし私達は後にこう語る事となります。


『最高だが最悪の時間だった』と。



 マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「属性剣製作決定!やったねマシェリー!」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いですの。

 ☆やイイネをぽちっと押すと その内銃も製作が決定されますわ。


 マシェリーの一口メモ

 【『記憶君』の製造は双子の他3,4名で製造している、結構キツイ製造現場となっておりますのよ。就労条件は・・・まぁそこそことだけ言っておきますわ。】


 マシェリーより宣伝

【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。

最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/

よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】

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