第148話 私達の考えた『さいきょうのそうび』
冒険者サークルのミーティングがあった翌日の土曜日、約束もあったのでこの日私達は朝からロギヌス工房へとお邪魔しました。
「ごめんくださいな~」
「いらっしゃ・・・っと、おはよう」
扉を開けると今日は奥の鍛冶場に籠っていなかったのか、お店のカウンターに座っていたパメラに出迎えられました。
「来たね皆、おはよう」
パメラに挨拶を返すと応接スペースからも声がかかったのですが、どうやら既にレイラが来ていた様です。
私達はレイラにも『おはよう』と挨拶を返し、パメラと共に応接スペースへと移動し腰を下ろします。
「改めておはよう皆。今日はよく来てくれわね」
腰を下ろしたところでロギヌス工房の主であるパメラから改めて挨拶をされたので、こちらも改めて挨拶を返します。すると続けて『早速だけど・・・』とパメラが本題に入ろうとしたのですが、私はそれを止めます。
「ん?何かあったの?」
「いえ、唯話し合いをするのには飲み物とお菓子でもあった方が良いかと思いましたの。ノワール」
別になくても構いませんが、何となくあった方が良いかなと思い私は飲み物とお菓子をノワールに出させます。
「はい」
ノワールは私の声に返事を返すと、自分のアイテムボックスを開きそこからカップやお皿、飲み物が入ったティーポットに買っておいたケーキ等を取り出し始め、応接スペースの机にセットし始めます。
そしてセットしている時間に『丁度イイ』と思い、昨日のミーティングで確認しておくと言った『品評会まで手伝いたい』という旨を申し出ます。
「品評会まで?つまり必要な材料が要るとなったら採りに行ってくれるとか?」
「ええ」
「ん~・・・」
「そんな事ならあたしも手を貸そうじゃないか。一応あたしBランク冒険者だし、マシェリー達はCランクだけどそれ以上の実力もあるとは思うから、よっぽどえぐい素材じゃない限りは採ってこれるはずだよ?」
「そう。まぁどっちにしろ必要になったら依頼は掛けることになるだろうし、それなら手伝ってもらおうかな」
「ありがとうパメラ!雑用なりなんなり申し出てくれてかまいませんからね!」
始めは微妙そうな感じでしたが、レイラの援護により了承を貰う事が出来ました。流石信頼もあり実力もあるレイラです!感謝感謝!
レイラに『ありがたや・・・ありがたや・・・』と感謝を捧げていると飲み物とお菓子の用意が出来た様なので、改めてパメラが話し始めました。
「準備も整ったようね。さて・・・それじゃあ改めて、考えて来た武器屋防具のアイディアを聞かせてくれるかしら?」
「ええ。解りましたわ」
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そうして私達が考えて来たアイディアを話す事になった訳ですが、私のアイディアは最後に話す事にして3人娘のアイディアから聞いて行く事にしました。
「ふふ・・・で、ですね・・・ここにこうやってお薬を詰めた物をセットすると刃先にお薬が染み出すわけです・・・毒矢なんかと同じ様なモノですが・・・予めお薬の種類を沢山用意しておく事により・・・・・・」
因みに今は3人娘の最後シーラの番です。彼女の考えて来たアイディアは2つで、今話しているのは上記の通り『お薬を詰めた物を武器にセットし、何らかの操作により刃へそれを充填する』というモノでした。
「ふぅん・・・まぁまぁやな・・・でもやっぱりウチの『歯にギザギザをつけて敵をズタズタにする』の方がええな」
「確かにまぁまぁですね。そしてそれを言うなら私の『部位別に異なる金属を使った鎧』の方がいいのでは?」
シーラのアイディアに自分達の方がいいなんてサマンサとマルシアは言っていますが・・・まぁ気持ちは解らなくはありません。なんせ『自分が考えたイカスアイディア』ですからね。
「・・・って感じです・・・。私の考えて来たのは以上でーす・・・」
「解ったわ、ありがとう。・・・ふむふむ・・・結構良いアイディア出しやってやれない事は・・・ブツブツ・・・」
シーラが『以上です』と話を終えると早速パメラはそれについて検討し始めます。これはサマンサやマルシアが発表した後にも見られた様子なので、彼女の癖かなにかなのでしょう。
「ブツブツ・・・って、あごめんごめん。次を聞かせてもらってもいい?」
パメラは1分ほどそうやっていましたが、未だ次がある事を思い出し『㊙アイディアノート』と書かれたノートへとペンを構えました。
私のアイディアは最後に話す事にしていたので次はノワールといいたい所ですが・・・
「私のアイディアはお嬢様と合作という感じになっております。申し訳ございません」
ノワールのアイディアはそんな感じなので、『飛ばして次へ』です。
「そうなのね、了解。んじゃあ最後は・・・」
次へ・・・残っているのは1人だけ。つまり・・・
「私ですわね!!」
そう、トリを務めるのは大本命(自称)であるこの私です!さぁ・・・私の考えた最強のアイディアたちが火を吹きますよ!
私は持参して来たアイディアノートを開き、考えて来た4つのアイディアを発表する事にしました。
「私は4つ考えてきましたの。先ずは1つ目を話しますわね?」
「お願いするわ」
パメラが自分のノートを構えたのを見て私は先ず言葉で説明します。
「1つ目は・・・投擲物を飛ばす武器ですわ!」
「投擲物を飛ばす?・・・スリングみたいな物って事?」
「チッチッチ・・・違いますわ・・・まぁこれは言葉で説明すると解りにくいので、私が図で描いて来た物を見せますわね」
言葉で説明するとこうなる事は解っていたので、私は自分のノートをパメラに見える様に机の上に広げます。
そこに書いてあったのは・・・
「不思議な形ね・・・ん~・・・これがこんな感じで・・・このトリガーを引くとここにある物が飛んでいくの?」
「そうですわ」
「名前も考えてあるのね・・・銃?」
そう、銃です。
(ファンタジー殺しの代名詞、『THE GUN』ですわ!ファンタジー小説でも『銃を作って無双』とかありますし、銃がないロマンス世界ならばっ!)
ちょっと卑怯臭いですが真っ先に思いついたアイディアだったので1つ目のアイディアとして話した銃。パメラもこれには度肝を抜かれるでしょう。
「うーん・・・」
・・・なんて思っていたのですが、受けはイマイチの様でした。
「良いアイディアかも知れないけど、品評会では受けが悪いかもね」
「・・・そうなんですの?」
パメラの言葉を聞くに、パメラの受けというよりも品評会の審査員の受けが悪いように思えたので少し聞いてみると、『審査員は昔気質な所もあるから、シーラ位のアイディアならいけるけどあまり突飛過ぎるのは受けないかも』との事。
「・・・天才はいつの世も理解されませんのね」
まぁ銃は正直やり過ぎかなと思っていたので良いでしょう。という事で次のアイディアへと行く事にします。
「それはそれとして2つ目にいきますわ!2つ目は・・・ガンブレード!」
「ガンブレード?」
「先程の銃の応用武器ですわね。こちらならまだいけるんじゃありませんの?」
私はノートを再び広げパメラへとガンブレードの図を見せます。
一応知らない人の為にガンブレードの説明を致しますと、正直これは前世の世界にはない武器で銃と剣が合体した様な武器です。
弾も発射できる剣?と考える方も居るかもしれませんがそうではなく、弾丸が爆発する時の反動を使い剣の威力を高める、そんな武器です。
「ふむふむ・・・確かにこっちなら受けるかもしれないわね・・・」
パメラ・・・いえ、品評会の審査員的にもいいかもしれないとの事で、1つ目の銃よりかは反応が良さげだったので、私はこの勢いに乗って3つ目のアイディアを発表します。
「まだまだ私のターンは終わりませんわよ!3つ目!ズバリ魔法剣!」
「魔法剣?」
「正直仕組みとしてはシーラの話した物に似ていますわね」
「薬・・・こっちの場合は魔法を詰めた物をセットして剣から発動させるって事?」
「ええ」
「確かに出来たら凄いわね・・・」
私の3つ目のアイディアは魔法が発動する『魔法剣』。これも何かのパクりですが、出来たとしたらほぼ貴族しか使えない魔法を一般人も使えるようになるので凄い物となるでしょう。
「まぁ出来たら作った私は処刑されそうだけど」
凄すぎて貴族から恨まれる事必須の様ですね。はい、次。
「・・・次、4つ目、属性剣。こちらなら大丈夫ではありませんの?」
「ふむ・・・聞く感じだと大丈夫そうかもしれないけど、詳細は?」
属性剣の方は魔法を発動させるのではなく、剣に魔法の属性を乗せる物となっています。イメージ的には『燃える剣』や『触れると凍る剣』ですね。私はそれをパメラに説明します。
「そうね、こっちなら大丈夫そう。・・・ふむふむ」
ロマンスには他のゲームと違い属性が付いた武器なんてものはありませんでしたからね、中々画期的なのではないでしょうか?
さてこれで私達が考えて来たアイディアは出そろった訳ですが、パメラの考えやいかに?
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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☆やイイネをぽちっと押すと さいきょうそうびが火を吹きますわ。
マシェリーの一口メモ
【一応少数ですが魔法が使える杖なんてものがダンジョンから出て来たりすることもありますわ。国宝級レベルですけどね!】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】