第147話 アイディア妄想は楽しい時間
「ええ、それで参考になりそうなアイディアを聞かせてもらう訳なんだけど、今から聞かせてもらっても大丈夫?」
邪魔者は去り、レイラ・・・いえ、パメラの依頼であるヘファイナーの品評会に出す物品のアイディア相談がいよいよ始まります。
この面白そうな依頼に『私の前世で培ったオタクパワー見せて差し上げますわ!』と意気込み話し始めようとしたのですが、そこへ待ったがかかりました。
「お嬢様、今からその様な事を0から話し始めますとお時間が・・・。今日はお帰りになり、夜中にそれぞれ軽く考えをまとめてから改めてお話になってはいかがでしょうか?」
「ん・・・確かにそうかもしれませんわね?」
現在は未だ日も落ちていない時刻ですが今は1月、直ぐに日は落ちてしまいます。パメラの依頼はサッと終わらせる事も出来ますが、生憎と私はこの面白そうな依頼について少し長く語りたかったので、ノワールの言う通りにしようと考えました。
「パメラ、その様にしてもよろしいかしら?」
「こっちが聞かせてもらう立場だしね、全然構わないわよ」
「ありがとう。ではその様にいたしますわね?」
「解ったわ」
パメラの了解も取れたので明後日の土曜日に再びロギヌス工房へ訪れる事を約束し、今日の所は帰る事にした私達はパメラへとお別れの挨拶をしてロギヌス工房を後にしました。
ロギヌス工房を出て少し歩いたところで、私達と共にロギヌス工房から出て来たレイラが頭を下げてきました。
「ありがとね皆、パメラの依頼を受けてくれて」
レイラによるとロギヌス工房は最近客足が遠のき気味で、客と職人というより友達に近いパメラの事が気になっていたのだそう。なので今回私達が依頼を受けてくれてとてもうれしかったと、レイラは言いました。
「礼を言う事じゃありませんわレイラ。だってレイラのお友達という事は、私達にとってもお友達ってことじゃありませんの」
「あ・・・ありがとうマシェリー!」
勝手にお友達認定をしていたわけですが、レイラにとってそれは嬉しかったみたいで・・・抱きしめられてしまいました。
(がっしりしたように見えてしっかり柔らかい。やりますわね!)
その感触にグッジョブと言いたい所でしたが・・・
「むぐぐぅ・・・」
(い・・・息が・・・)
私はレイラにタップし話してくれと合図します。それが伝わった様で、『あ、ごめんごめん』と言いながら放してくれたので、私は『柔らか死』という天国か地獄か解らない事態から免れる事が出来ました。
その後、レイラとは帰る方向が別という事で直ぐに別れる事になったので、別れの挨拶を交わします。
その際彼女は去り際に『あ、明後日はあたしもロギヌス工房に顔出すね』と言っていたので、この依頼中は一緒に居てくれるつもりなのでしょう。
私達はレイラの背中に『ありがとう』と声を掛け彼女を見送ると、直ぐに日も暮れるだろうと考え学園へと帰る事にしました。
そして学園へと辿り着くと今日は解散とし、各自アイディアをまとめる事にしました。
「ふぅ~・・・それでは夕食まで軽く書き出してみましょうか」
私の頭の中には既にアイディアがいくつかあったので、早速紙にペンを走らせます。
「こういう感じのも面白いかも知れませんわね・・・いえ、どうせならこうして・・・」
「お嬢様、私としてはこういうのもどうかと思うのですが・・・」
「これって暗器ではありませんの?」
「そうなのですか?」
「まぁいいですわ。あくまでアイディアの1つですし。ふんふんふ~ん」
私はその後思うままに紙へとアイディアを書き連ね、その中で明らかに没と思われるモノを弾いたりと厳選をしたりして時間を過ごしました。
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それは次の日の放課後も然りで、その日はサークルの集まりがあったのですが私は部室へと着くなり紙にペンを走らせていました。
「ええっと・・・これは駄目で、こっちは・・・」
「ううん・・・いまいち思いつかないですね・・・」
「これは素材高なったりするかもやな・・・ま、アイディアだけやしええか」
「ふふ・・・ここを捻るとお薬が充填されて・・・ふふふ・・・」
それはマルシア達も同じ様で、彼女達も椅子に座るなり紙に何かを書いていました。
やがてイリス達やシフロート先生が来てサークルのミーティングが開始となったので、私達はネタ出しを一旦ストップさせます。
「さて、みんな集まっている様なのでミーティングを始めますぞ」
「「「はい」」」
「えー、冬期休暇が始まった合宿では色々ありましたが・・・・・・」
ミーティングは合宿時の話から始まり、それが終わると今学期の活動についての話へと移りました。
「それで今学期ですが・・・まぁ1年が終わるまでは今まで通りですかな。近場のダンジョン等を選定し計画を提出してもらい、後に報告書を提出。よろしいですかな?よろしければこの後、ダンジョンの選定についてそれぞれの班で話し合いをしてもらいますぞ」
2年生に上がると徐々に活動内容を変えていくみたいですが、現段階では近場の低レベルダンジョンを周回とシフロート先生は話します。
ですが私はそこへ『待った』を掛けました。
「シフロート先生、1つよろしいかしら?」
「はい、なんですかな?」
「今学期の活動内容ですが・・・装備についての考察を追加しては駄目ですか?」
「装備についての考察ですかな?」
「はい」
私はそこで3月にあるヘファイナーの品評会についての話をし、イリス達との賭けめいた話をボカシて先日あった事を話します。
シフロート先生はそれを聞くと『ふむ・・・』と少し何かを考え、考えがまとまったのか頷きました。
「装備について深く考えるのは2年生に上がってからでもいいかと思っていましたがいいでしょう。今学期は装備について学ぶ事を主な活動内容として設定してみましょう」
正直サークル活動と品評会に向けての活動の両方を放課後にするのはきつかったので提案したのですが、無事私の意見は採用という事になりました。
それにより私達とイリス達は喜びながら『はい!』と返事をしたのですが、シフロート先生は疑問があったのかこんな事を聞いてきました。
「しかし今の話を聞くとそれぞれの工房には品評会のアイディアを提出するだけの様に思いましたが、それ以降はこの部屋にて私の講義等で学ぶということでよろしいのですかな?」
「あ、それなんですけれど」
パメラがもし『アイディアを聞くところまでで、それ以降の諸々は自分でやる』と言ったらそれまでですが、私としては物が完成し品評会に出るところまで見届けたいと考えていました。なので『まだ先方に聞いていないのですが』と前置きをし、シフロート先生にそれを話しました。
するとシフロート先生は再び『ふむ・・・』と考え、後に質問してきました。
「では先方の工房へと速やかに確認を取っていただけますかな?」
「はい。明日また工房へと伺う予定なので、その時に確認いたしますわ」
「よろしい。グウェル殿下達もよろしいですかな?」
「はい、こちらも明日確認する事にします」
「はい、ではそういう事にしましょう。・・・という事は、今日のミーティングはこれで終わりになってしまいますな。よろしいですか皆さん?」
これで今学期の活動内容が仮に決まった訳ですが、そうなると確かにこれ以上ミーティングをする必要が無いので終わりとなります。
なので皆素直に『はい』と返事をする事となり、今日のミーティングはこれにて終了となってしまいました。
そうとなれば品評会の為のアイディアの続きを考えたかったので、私達は直ぐに部室から出て行こうと立ち上がったのですが、私はある人物に呼び止められました。
「マシェリーさん」
「・・・何ですの?イリス」
イリスは私を呼び止めた後こちらを挑発しようとしたのでしょうか、こんな事を言ってきました。
「負けませんからね?」
彼女はそれだけ言ったかと思うと、サッと部屋を出て行こうとしました。・・・上等じゃありませんか。
「こちらも負けるつもりはありませんわよ!オーッホッホッホ!」
「・・・っ!」
なので私はイリスの背中へと言葉を返し、高笑いで彼女を見送りました。
ひょんな事から始まった勝負ですが・・・負けるつもりはありませんからねイリス!
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「どんなアイディア武器が飛び出すやら」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いですの。
☆やイイネをぽちっと押すと 私が考えた最強武器が実装されますわ。
マシェリーの一口メモ
【ヘファイナーの品評会は3月開催でしてよ!】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】




