第146話 → → ←
「すまないね・・・変な事にまきこんじゃったみたいで・・・」
テッショウやイリスが返って行った店内のテーブルにて、パメラが申し訳なさそうに私達へ謝罪をしてきました。
「いえ、問題ありませんわ。あのテッショウという方の無礼な態度ならあんな事になるのも仕方ないですしね。それに私とあちら側に居た冒険者のイリスは少し確執というか問題というかね?すこーし訳ありな関係なので・・・」
「そう・・・。いや、それでもごめんね・・・」
気が強そうに思えたパメラですが、以外にもシューンと沈んだ様子を見せます。
これはいけないと思い、私はちょっと雰囲気を変えるためにパメラへと話題を振る事にしました。
「まぁそんな事もあると思って、ね?それよりもパメラ、あのテッショウという方のことやボルグ工房だったかしら?それらの事を教えて下さらない?あ、それとあの方達が来たことにより中断されてしまったお話等も・・・ね?」
「ん・・・そうだね。中断した話は依頼を受けてくれるなら大事な話だしね。まぁあいつらとの関係は・・・特に面白いものでもないんだけれど話そうか」
大人なパメラは私が自分を気遣っているのが解ったのか、無理矢理に元の感じへと態度を戻し話し始めました。
「先にさっくりとテッショウ達との関係を話しておくよ。テッショウは元ロギヌス工房に居た職人だね。カリンはボルグ工房の主の娘でテッショウや私とは幼馴染の関係ってやつだね」
「カリン・・・?あぁ・・・あの空気状態だった方。あの方も職人ですの?」
先程の話し合いというか喧嘩ではあまりに空気状態だったので、一瞬カリン?となってしまいました。失敬失敬。
「いや違うよ。カリンは職人じゃなくて事務をやってる」
「工房長の娘って事でしたけど職人ではありませんのね?それでも工房を継げますの?・・・って、他にご兄弟がおられるのかしら?」
「いや、カリンは工房長の一人娘さ。まぁあれだ、カリンと結婚した旦那が次期工房長になるって感じだね」
「へぇ・・・あ、それがまさかテッショウ様ですの?」
「かもしれないわね。カリンは昔からテッショウの事が好きだったみたいだし」
まさかの幼馴染ラブストーリーがこんな所にあったようですね。という事はまさか?
「一応聞いておきますけれど・・・パメラもテッショウ様の事が好きだったり?」
「え?いや、ないわね」
「あら・・・」
ドロドロの関係かと思いきやそうでも無いご様子でした。
「だってあの性格よ?昔からあんな感じだから幼馴染の義理から友達ではいるけど、恋人とかなりたくないわよ」
「確かにあんなガサツな方は嫌ですわね・・・」
「でしょ?それに実はあいつ、えり好みが激しいと言うか・・・大人しくて華奢な如何にも女の子って感じのカリンには優しくするのに、私には『男女』だの『嫁の貰い手がない』だの『お前と一緒に居てくれるのは俺くらいだ』だの言って来るのよね。そんな奴とは絶対お断りだわ。っていうか友達は一杯いるっての!」
「え・・・それって・・・」
・・・やはりドロドロ関係では? カリン→テッショウ→←パメラでしょうこれ?濃厚なドロドロ幼馴染ラブストーリーではないですか!
私や他に話を聞いていたマルシア達が気づいた真実にワナワナしていると、好きな子に意地悪しちゃう系男子の事に全く気付いていないパメラは話を続けます。
「ああ、愚痴みたいになっちゃったわね。ごめんごめん。ええっと、テッショウ達との関係は言った通りだから置いといて、あいつ等が来る前に中断しちゃった話をしましょうか」
「え・・・ええ」
「どこまで話したっけ・・・ええっと、ヘファイナーの品評会の事は・・・」
「それはあたしが話したよ」
「ああ、そう。ありがとレイラ。でももう一度私の方からも話すわね。ええっと・・・」
パメラが真面目な話を始めたので幼馴染ラブストーリーを一旦頭から追い出し、レイラの話を真面目に聞く事にします。
パメラが話し始めた内容は、レイラが予め話してくれた内容の詳しいバージョンでしたが、要点としてはやはり『私達にアイディアを聞きたい』、これでした。
「レイラにも頼んではいるんだけど、武器のアイディアって実際に武器を使う冒険者に聞いてみたりすると面白いのが出たりするのよね。だからレイラには知り合いで良さそうな人が居たら連れて来てって言ってたわけ」
「成程・・・。そう言えばボルグ工房でも同じ様に冒険者を雇っていたみたいですけれど、それって大体どの工房も行っているんですの?」
「そうね。それに冒険者にこういう依頼するのって、武器の素材採取とか頼む時もあるからそのついでって感じなのよね」
「素材採取を頼むついでにアイディアも採取ですのね」
「そうそう。そんな感じよ」
話を聞いて納得が出来たので、私はこの依頼を受け様と思いメンバーへと相談します。ですが『いやいや、なんやお姉様もうすでに受ける気満々やったやん?』なんて言われてしまいました。・・・まぁ確かにパメラを見た時から受ける気満々でしたがね。
という事でヘファイナーの品評会に出す武器・防具のアイディアを出すと言う依頼を受ける事にしたので早速話し合いをする事にしたのですが、サマンサが『ハイハイ』と手を上げました。
「これ依頼言うけど、冒険者ギルドで受け付けやんでええん?直接以来受けるのって緊急時以外禁止やろ?」
「あ、そう言えばそうですわね」
つい『依頼を受けます』と言っただけで受けた気になっていましたが、依頼というのならば冒険者ギルドを介さないと闇営業になってしまいトラブルの元になりかねません。其処に気付くとは流石我がパーティーの金庫番ですね。
どうなっているんだろうとパメラに答えを話すように顔を向けると、パメラはニッコリと笑っていました。
「いやぁ・・・依頼って言ったんだけど、実はこれって相談というか世間話というか・・・まぁ要するにそういう事なのよね」
「え?」
「えっとね・・・あくまで相談、個人の世間話だから依頼ではないってことなの」
「あぁ・・・そういうことですのね」
パメラはレイラは依頼と言っていましたが、実は唯のお願いだった様ですねこれ。まぁ私としてはそれならそれでいいのですけれど、金庫番は良くなかったみたいで咬みついていきました。
「いやいや、それはちょっとアレやでパメラさん?こちとら大流行の魔道具を作り出した売れっ子のマシェリーお姉様やで?流石にタダはあらへんやろタダは?」
「あ、いや、それはそうなんだけどね?流石にどんなアイディアでもいいから聞いただけでお金を出すとなると問題なのよ。実際昔はそれで詐欺というかトラブルが多発したみたいで、それでこれは冒険者ギルドも公認というか、目を瞑ってもらってることなのよ」
「ああそうなん?でもなぁ・・・そうは言うても誠意というか・・・そういうのがあるやん?」
パメラはちゃんと冒険者ギルドも認めていると言っているのですが、金庫番さんは『それはそれ、これはこれ』なんて言ってヤの付く職業みたいな事を言い始めました。
流石にそれは・・・と、止めに入ろうかとも思ったのですが、この様な事はままあるみたいで、それ程焦った様子もなく対応をしてきました。
「お金はアレだけど、相談に乗ってもらえたら武器や防具のメンテナンスなんかはサービスさせてもらうわ」
「へぇ・・・」
「それがヘファイナーの品評会の間にあるこの様な相談の相場なのよ。あ、でも素材を採取して来てもらう際にはギルドにお金を出して依頼をかけるわよ?」
「そうなんか、ならまぁええわ」
定期的にある恒例行事だけあってきちんと暗黙の了解が出来ているみたいで、『それなら』とタダ働きにならなかったサマンサは引っ込むことにしたようです。
「解ってくれてありがとうね。後で一杯サービスするわね?」
「そういう事ならよろしゅう!」
「ええ、それで・・・」
話がまとまった所で、いよいよアイディアだしが始まります。・・・さて、前世でゲームが好きだった人間の力を見せつけてあげますかね。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「ドロドロ幼馴染・・・」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いですの。
☆やイイネをぽちっと押すと 更に幼馴染1人追加でカオスになりますわ。
マシェリーの一口メモ
【冒険者と依頼者の直接取引は闇営業と呼ばれ、見つかると注意を受けたり酷いとペナルティーが科されますわ。】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】