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第141話 誘拐組織との戦い9

 マシェリーよりお詫び:少し短めですがご容赦を。

『空から夜が落ちて来た』


 手練れの敵方と対峙しながら私がその時思ったのは、そんな意味不明の感想でした。

 ですが敵方も同じ様な訳の分からない事を頭の中に思い浮かべたみたいで、『は?』といった間抜けな表情を晒していました。


「・・・っ!?『闇の障壁(ダークバリア)』!」


 私も思っていた以上の凄い光景に敵方に倣いポカーンとなりかけましたが、慌てて闇の防御魔法を自分とサマンサへと使います。


(予めマルシアとシーラに強力な魔法はかけてもらいましたが、これは更に掛けなきゃ不味い奴ですわよね!?詠唱や魔力の練り込みの時間が無くて弱い魔法ですけれど・・・持ってくれるかしら)


 確かに強力な魔法を使えとは言ったがここまで凄いとは考えてなく、戦々恐々としながら私は魔法の着弾を待ちます。


『ギギ・・・ゴガガガガ・・・』


「ギッ!?」


「グガッ!?」


 実際には数秒だったのでしょうけれど、長い長い体感時間を経ていよいよやってきました・・・着弾です。


「っく・・・!」


「うわっち・・・!」


 3種の魔法による防御とノワールの魔法の操作によって私達への被害は抑えられている筈でしたが、それでも強力な魔法だけあり余波だけでも凄いモノがありました。


「ぐっ・・・ぐぅぅ・・・」


「体が・・・重っ・・・」


 しかしちゃんとかかっている防御魔法のお陰で、何とか倒れたりすることもなく数十秒程の魔法効果時間を乗り切りました。


「ふぅ・・・」


「はぁ・・・きつかったわ・・・」


 魔法の効果が消え『ヤレヤレ』と思った私達ですが、敵の状態を確認していなかった事を思い出し最後に敵達が居た方へと目を向けました。

 辺りはまるで上からプレスを掛けたみたいに凹んで綺麗になっていたので、敵が何処に居るかは直ぐに分かりました。


 そしてどうなっているかも・・・


「手足がぐっちゃんぐっちゃんですわねぇ・・・」


「けどまだ生きとるみたいやな。ギリやけど」


「正直息の根も止める勢いで使ったのですが、予想以上にこの方々は強かったみたいです」


 死んではいないけれど放置すると死ぬであろう状態・・・元騎士2名はそんな感じでした。

 ゴルタスはというと・・・


「あら・・・?」


 不思議な事にゴルタスの姿は見えませんでした。もしかしたら元騎士達より耐久が無さ過ぎてペッチャンコにでもなってしまったのでしょうか?

 私はキョロキョロと辺りを見回します。


「ゴルタスが居りませんわね?ゴルタスさーん!どこですのー?」


「汚い染みにでもなったんやろか?」


 ゴルタス自体も中々強く、彼の様なお金を持っている人物なら防御用の高価な魔道具なんかも持っているのでハンバーグ状態にはなっていない筈なのですが、探せど探せど彼の姿は見当たりません。一体何処に行ったというのでしょう?


「お嬢様・・・もしかしたらゴルタスは私達の作戦に気付き、私の魔法が発動する前に逃げていたのでは?」


「え・・・?」


 見当たらぬゴルタスを探している途中でノワールがそんな事を言ってきたのですが、まさかそんな筈はと先程の戦いを振り返ってみます。

 するとどうでしょう・・・言われてみれば確かに、最初こそ元騎士達と同時に突っ込んできていたのですが、直ぐに攻撃の頻度が減り、最後の方など牽制を入れて邪魔したりはしてきていましたが私達に直接切りかかる事は無かったように思えます。


「まさかあの短時間で頭を冷やして場の状況を見極め、不味いと思ったから離脱した?」


「可能性はございます。なにせゴルタス・ド・アークレッドはかなり優秀な人物だと噂されていて、私が聞いた話ですと『見極める実力が高い』なんてものもございました。私達に何か違和感を感じていつでも離脱できるようにしていたのかもしれません」


「ふむ・・・しかし逃げたところでこの組織の事が国にバレたらアウトな気もしますけれど・・・貴族パワーでなんとかするつもりなのかしら?」


「アークレッド家とオーウェルス家という二つの力を使えばイケると思っている可能性はございますね。実際はお嬢様の働きかけでそうはなりませんが」


「ですわね」


 ここでゴルタスを倒す事は叶いませんでしたが、元から倒す予定にはなかったのでまぁいいでしょう。ですがのんびりしていると悪あがきで下手な事をされるかも知れませんので、さっさと次の行動次の行動で追いつめるとしましょう。


「それにあの子供も早く処置をしなければなりませんものね」


 少し放置気味にはなってしまいましたが、私は連れ出した子供の元へ向かい様子を伺います。

 幸いにもマルシアが庇ってくれていたからか、酷い状態にはなっていませんでした。ですが相変わらず具合が悪そうなのは確かなので、応急処置としてポーションを少し飲ませる事にします。


「取りあえずこれでよし・・・ですわよね?」


「・・・はい・・・本当に『取りあえず』ですが・・・」


「解っていますわ。っと、一応余ったポーションを・・・」


 私は子供に飲ませて余った分のポーションを元騎士2人にサッと振りかけます。これで一応暫くは持つはずなので、さっさと実家から手を回してもらって処理してもらう事にしましょう。


「さぁさ、さっさと撤収しますわよ」


「「「はい」」」


 やる事はもうない筈なので私は皆に声を掛けて撤収を開始します。後は子供の処置を素早く済ませるのとオーウェルス家へ行き事態を報告、後に手を回してもらうだけです。



 未だ何気にやる事があるな・・・なんて思いつつ、私達は誘拐組織のアジトから出て行きました。



 マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「ゴルタス、怒りの危機一髪」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いですの。

 ☆やイイネをぽちっと押すと ゴルタスシリーズの続編が始まりますわ。


 マシェリーの一口メモ

 【魔法のルールなのですが、基本的にAの魔法のを受けようとした時に被害を少なくしようと思うと、Aと同じ属性のAの魔法で防御するか、相性有利のBで受けると言う方法がありますの。だから今回ノワールの魔法を防御するのに私も闇魔法を使ったという訳ですわ。】


 マシェリーより宣伝

【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。

最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/

よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】

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― 新着の感想 ―
[一言] ゴルタスを逃がしてしまった事はかなり気掛かりですけど、ここまで苦戦したのなら寧ろマシェリーさん達が無事生き残れた事の方に喜ぶべきかも。 被害者の緊急救出は当初予定していないぽいので、今回の犯…
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