第138話 誘拐組織との戦い6
私の足は地面から離れ、そのまま吹き飛ばされる・・・と思ったところで、後ろから体を支えられその場に止まりました。
しかし攻撃を受けた私の体は・・・
「・・・ふぅ・・・ギリギリ間に合いました・・・」
「え?あ・・・これは・・・」
無防備に受けてしまったのでいくら防具が有ろうとも骨位折れているかもと思ったのですが、シーラの魔法水の障壁鎧のお陰でそこまでの被害は無い様でした。
「っち・・・魔法使いは厄介だぜ・・・」
私達に大した被害が無い事が解ったのか、先程スキルで攻撃して来た男が毒づき、周りの仲間へと怒鳴ります。
「オイおめぇら!何時まで伏せてんだ!さっさと立って応戦しろや!」
「「「へ・・・へいっ!すいやせんドラーガさん!」」」
ドラーガとやらの怒号でそれまでポカンとしていた男たちは立ち上がりこちらへと構え、その後それを見たドラーガが再度怒鳴る様に叫びます。
「何してやがる下っ端共!カチコミだぞ!集まれや!」
その声は建物の外まで響く様な大声で、普通なら『不味い!』となる所なのですが、この部屋以外は制圧が終わっているので私達は慌てずに行動を起こし始めます。
「ノワールはあのドラーガなる男だけに魔法で攻撃を、それ以外の役割は最初言ったままで。マルシア、突っ込みますわよ」
「はい」
「りょ!『雷の矢』!」
「はい『闇の大腕』」
「・・・再度かけ直します・・・『水の障壁鎧』」
ドラーガはもう少ししたら増援が駆けつけるだろうと思っているのか、ノワールの魔法をいなすのに専念して攻撃を仕掛ける様子がありません。
ならばとこれ幸いに、私とマルシア、サマンサはドラーガ以外の5人へと攻撃を仕掛けて戦闘不能状態へと追い込んでいきます。
「ゲッ・・・」「っぎゃ!」「ガッ!?」「ぐぅ・・・」「・・・」
ドラーガ以外の5人はそこまで戦闘力も高くないのか、スキルも使ってこずあっさりと沈んでいきます。
しかし唯一残ったドラーガはというと・・・まったくの無傷でした。
「あの方・・・かなりお強いですわねぇ・・・ノワールの魔法で無傷だなんて」
「私達も魔法で加勢しますか?」
「ええ」
後残っているのはドラーガのみですが、彼が居る部屋の最奥はノワールの闇魔法とドラーガの斧が激しく舞っていて近づくのが困難に見えたので、手が空いた全員でドラーガに向かって魔法を放ちます。
「っち・・・クソがああああっ!」
私達が加勢し、シーラ以外の4人で魔法を放っていると流石に耐え切れなくなってきたのか、大きな叫び声の後部屋の壁に魔法が当たり壁に穴が開きます。
「魔法止めっ!」
壁に穴が開いた後魔法を止め、ドラーガがどうなったかを確認しようとしたのですが、その場に彼の体は無くきれいさっぱりと消えていました。
「・・・木っ端みじんになったのかしら?」
「お嬢様!防御をっ!」
「・・・っ!?」
有らまぁ・・・なんて思っているとノワールが突然叫んだので、私達はそれぞれ防御魔法を繰り出します。
その直後、部屋に無数の衝撃波が襲い掛かりました。
「「「・・・っ」」」
私達は5人がかりで魔法を使っているので何とか無事でしたがその威力は凄まじく、部屋がドンドン崩壊していきます。
「このまま受け続けるのはよろしくありませんわね・・・」
「せやね・・・下手したら建物ごとグシャっといってまうわ」
「・・・賊さんは既にグシャっといってますね・・・ゲロゲロです・・・」
防御し続けるだけではいけないと思い、私は攻撃に出る為の指示をする事にしました。
「サマンサ、シーラ、ノワールは3人でこのまま防御維持をしていてくださる?」
「「「はい」」」
「マルシア、私と一緒に部屋の側面をぶち破って横の部屋へと入り、そこから外へ行ってドラーガの攻撃を止めますわよ」
「はい」
「ドラーガの攻撃が止んだら3人も外へ出て私達の援護を頼みますわ。では行動開始!」
その掛け声と共に私は部屋の横へと魔法を放ち穴を開け、マルシアに防御魔法を維持させてその穴へと飛び込みます。
横の部屋へと移ると直ぐにドラーガが居る方向の壁へと魔法を放ち、穴が開いたのならすぐさま外へと飛び出します。
すると外には鬼の形相で斧を振るうドラーガが・・・
「しねしねしねしねぇぇえ!!あぁん!?」
「マルシア!」
「はい!」
「「『斬空破』!」」
そんなドラーガが私達に気付きますが、私達はすかさず片手剣の武器スキル斬空破を放ちます。
普通ならばそれを迎撃する為にドラーガも斧をこっちへと振るい同じようにスキルで迎撃したらよかったのでしょうが、彼は私達が武器スキルを放ったことに驚いたのか、斧でガードすると言う方法を選びました。
「狙い通りっ!」
「てめぇら騎士かっ!?」
ここで一応説明しておきますと、大体の人は魔法かスキルのどちらかしか使わない傾向にあります。それは単純に魔法が使える人は魔法を、使えない人はスキルを磨くといった理由なのですが、国に使える騎士等はそうではなく魔法とスキル両方を磨きます。
なのでドラーガは魔法とスキル両方使った私達を騎士だと勘違いし驚いたのでしょう。
「ふふ・・・どうかしらね」
勿論違うのですが、焦らす為に私は曖昧な返事を返し含み笑いをしておきます。
それにまんまとかかったのか、ドラーガは一瞬焦ったそぶりを見せますが直ぐに落ち着いた感じになってしまいました。
「はん・・・ならぶっ殺して直ぐにトンズラきめりゃいいだけだ。色々惜しいが、下手なことになるよりかはいいとボス達も言ってくれるだろ」
「あら、随分余裕な感じで言いますけれど、私達を倒せるとお思いで?」
「っは!こんだけ動けるスペースがありゃ余裕に決まってんだろっ!」
言い終わると同時にドラーガが斧を振るいながら突進してきますが、確かに部屋の中でそんな大きい獲物を振るうより、少し広くなっている裏庭のここで戦った方が彼は強いでしょう。
しかしそれは私達も同様で、これだけスペースがあれば直接攻撃する者が2人、魔法で援護する者が3人とチームワークを駆使して戦う事ができます。
その証拠に・・・
「『雷の矢』!」
「っちぃ!やっぱり残りも生きてやがったか!」
「あらあら、気を取られてよろしいの?」
「チッ!フッ・・・オラ!」
突進して来ていたドラーガへと建物の方から魔法が飛び、それに対処しようとした瞬間に私が剣で攻撃を仕掛けます。
ですがドラーガも大したもので、懐から投げナイフを出し魔法を迎撃したあと私を斧で攻撃と、私達のコンビネーション攻撃に対処して見せます。
ですが・・・それではまだまだ甘いと言えるでしょう。
「ハッ!マルシア!」
「はい!『スラッシュ』!」
私がドラーガの攻撃を盾で受け流すと、そこへ今度は私のすぐ後ろに居たマルシアが攻撃を仕掛けます。
「なっ!ガッ!」
マルシアが上手く私の影に隠れていたのでしょう、ドラーガは気づいていなかったマルシアに攻撃され体勢を崩します。
「隙だらけやで~おっちゃん。『雷の矢』」
「『闇の球』」
そしてそこへ更に駄目押しの魔法で追撃が入りました。
「オーッホッホッホ!如何かしら!?私達のコンビネーションは!いくら何でもこれだけ喰らえば動けないでしょう!?」
何も知らない人が見たら『え?悪役どっち?』とでも言いたくなるでしょうが、勝ったと思った私は高らかに叫び、さぁて後始末だと建物の方へと歩き出しました。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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マシェリーの一口メモ
【魔法とスキルですが、ロマンス本編に出て来るキャラたちは大体両方使えますわ。・・・大体が強キャラですので。】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】




