第137話 誘拐組織との戦い5
お詫び:少し短めとなっておりますの。どうかご容赦のほどを。
誘拐組織のアジトである建物の扉を開くと、僅かに『ギギッ・・・』と軋む音が響きます。
しかし建物周辺に掛けられている魔法、あれとは別に私達の周りに音消しの魔法を発動させているので恐らくこの音は私達以外には聞こえていない筈なので、あまり気にせずそのまま押し開きます。
しかしだからといって大声で喋るのもよろしくない気がするので、極力声を潜めて話します。
「近くの扉から順に・・・」
建物内に薬を充満させて行動不能にさせたとはいえ漏れやあまり効いていない人物も居る筈でなので、建物を隈なく捜索しそういう人物の無力化、および薬が効いて無力化出来ている方々の拘束をしていかなければなりません。
その為に目につく部屋から順々に回っていく事にしたのですが・・・
「これ、拘束する必要あるん?」
一番近くの部屋の中に居た賊は一見すると指先や足をピクピクさせながら口からは泡を吹き『え?死にそうじゃない?』と感じる状態に見えたので、ついついサマンサがポロっと言葉を溢します。
私も正直その意見には同様だと思ったのですが、薬の開発者であるシーラ曰く『こんな状態ですが5,6時間もすれば意識を取り戻す』との事なので、一応ロープで体を拘束する事にします。
「・・・一応ですけど・・・起きても1日くらいは体に力が入らない筈です・・・」
「ならやっぱり縛らんでもええんやん」
「・・・でも・・・個人差もありますので・・・一応拘束しておいた方が安全です・・・」
「元から拘束するつもりだったので全てそうしていきましょう。それより、素早く次へ行きますわよ」
もたもたしていると薬が効いていない方々が事態に気付き騒ぐかもしれませんので、次の部屋へと移動する事にします。
その後、他の部屋に居た大体の賊達は薬がバッチリ効いて気を失っていたので何の問題もなく拘束していったのですが、中には気を失わず動いている方も数名いました。
ですがそういう方達も身動きを取ったり声を出したりは出来ない様で、同じようにさっくりと拘束していきます。
そうして賊を次々と拘束していく中、私達は地下へと続く階段を発見しました。
「事前の作戦通り、地下は後回しにしますわよ」
地下室にも恐らく賊は居るでしょうが、それは誘拐された方々を見張ったり世話したりしている人員なので少数だけな筈です。
それに地下には未だ薬も投入していないので、先ずは大半が行動不能となっている地上の制圧を優先すべきだろうと事前に言っていたので、地下への階段は通り過ぎます。
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「ほぼ終了しましたわね。というか、思ったよりシーラの薬の威力が凄まじくて楽勝でしたわ・・・」
「・・・私も予想以上で吃驚です・・・やっぱり最後まで悩んでいたアレを入れたのが・・・・・・」
アジトの制圧作戦ですが、思っていた以上に楽勝でした。
当初の予定だと8割がクスリでダウン、残り2割の敵と真正面からやり合うことになると思っていたのですが・・・蓋を開けて見ると吃驚、今の所動けている賊は0という結果となっていました。
「後は残すあの部屋にも薬が効いているといいのですけれど・・・」
チラリと他の部屋よりも豪華な装飾が付いている扉を見ますが、自分でも駄目だろうなとは何となく感じていました。
なんせその部屋からは人が動く気配が微かに感じられたからです。私達は顔を見合わせて頷き、その扉へとゆっくり近づきます。
『・・・スッ・・・スッ』
その扉には鍵穴が有ったので、私が鍵穴から覗くとジェスチャーをします。
『『『コクリ』』』
『コクリ』
全員が頷いたので頷き返し、私は鍵穴へと目を近づけ中の様子を覗きます。
すると中には6人の男らが居り、お酒でしょうか?何か飲み物を飲みつつ会話をしているのが見えました。
私はそれを確認すると鍵穴から目を離し、皆へと『扉の前から離れる』とジェスチャーをして移動を促し、少し扉から離れた位置に移動した所で部屋の中の様子を皆へと伝えます。
「中には男が6人。特に何か起こっているのに気づいた様子もなく喋っていましたわ」
「6人っちゅーことは、各アジトのボスっぽいな」
「・・・未だお薬残ってますけど・・・鍵穴から流し込んでみます・・・?」
「あら、いいわね」
ボスだろうが何だろうが気づかぬうちに薬を流し込まれてはどうしようもないでしょう・・・との事で、鍵穴からこっそりと薬を流す事に決めた私達は扉の前へと戻ります。
そして私が鍵穴へと道具の噴射口を宛がい、ノズルを引いた・・・その時です。
「話の邪魔すんじゃねぇつったろ!」
そんな声と共に刃物の先が扉から生えました。
いきなりの事に私達は面を食らってしまいましたが、その中でも即冷静になったノワールが私へと助言してきました。
「お嬢様、バレタのならば突入すべきかと。未だ今ならば先手が取れます」
「・・・はっ!そ・・・そうですわね!扉を開けたらノワールは初手目くらましを!その後サマンサ雷撃で私とマルシアは突撃、シーラはバックアップを!」
「「「了解」」」
助言の通り今ならば未だ先手が取れそうなので私は素早く指示をだし、その後バーン!とドアを勢いよく開いてやりました。
すると向こうはそれが予想外だったのか一瞬ポカンとなっていたので、その間にこちらは攻撃を開始します。
「『闇の煙幕』」
「うぉっ!?」
「なん!?暗っ!」
目くらましが上手く決まって賊達は慌てふためき、見事に奇襲の初手は成功。後は続く雷撃と物理攻撃で制圧完了!・・・と思っていたのですが、相手方にもめっぽう冷静というか場慣れした者がいたみたいで・・・
「・・・喝っ!!!」
その一叫びで場は一瞬にしてその人物に飲まれ、相手方には立て直す機会が与えられ、私達には奇襲失敗という結果が与えられてしまいました。
「取りあえずしゃがめ!吹き飛ばす!」
その人物はそう言った後近くに置いてあった大きな斧を掴み、こちらへと向けて斧を振るってきます。
するとその斧からは衝撃波が飛ばされ、こちらへと『ブォォォン』と唸りを上げながら迫ってきました。
(武器スキルっ!?まずっ・・・)
『防御を!』と思った瞬間凄い衝撃が体を襲い・・・私の体は地面から浮き上がりました。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「薬の効果は抜群だ!」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いですの。
☆やイイネをぽちっと押すと シーラ先生がクスリを処方してくれますわ。
マシェリーの一口メモ
【ロマンスは一応RPGゲームも入っていますので魔法だけでなく武器スキルなるモノも存在しますの。2,3例を挙げると、切る威力が強くなる『スラッシュ』、攻撃を受け流しダメージ軽減等の効果がある『パリィ』、一発で3発分の攻撃になる『3連付き』なんかがありますわ。】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】