第134話 誘拐組織との戦い2
マシェリーより:少し短めですがご容赦のほどを。
鬱蒼と茂る森に佇むそこそこの大きさを持つ廃屋チックな建物。その中で2人の人物が椅子に座り、ボソボソと何やら喋っていました。
「・・ぁ・・・・・・・か」
「ま・・・・さ・・・・・・ぜ」
様子からするに何やら愚痴っているのでしょうか?・・・それにしてもあの様子ですと、攫われた被害者という訳ではなさそうです。
「・・・ねぇ」
ノワールの魔法がかかっているので大丈夫だとは思いますが、念の為に小声で皆へと話しかけます。
「人は居ましたけれど、あの様子ですと組織の人間ですわよね?」
「やろね」
「そうかと」
「・・・私達が来るの・・・遅かったんでしょうか・・・?」
「この人気の無さから見るに、そうですわよねぇ・・・」
皆も何となく気づいた様ですが、どうやら相手方は既にこのアジトを引き払ったみたいです。
しかしそれならこの2人は何故残っているのでしょうか?そう思っていると、2人は椅子から立ち上がり『さぁ~やるか~』的なポーズを取り、木の箱に何かを詰め始めました。
「一体何を詰めているのかしら・・・」
建物の隙間から覗いているので何を詰めているのかがイマイチ見えず、何とか見ようとしていたのですが・・・
「お嬢様、どうせならば2人を制圧して確認しては如何でしょう?」
「あ、そうですわね」
ノワールの助言で別にこそこそ覗いて確認する必要もないと気づき、相手方を制圧する事にしました。
「ではノワール、あの二人へと目くらましをかけてくださる?」
「はい」
「2人だけならシーラのお薬を使わなくても大丈夫そうなので・・・サマンサ、ノワールの目くらましが掛かったら背の低い方に麻痺を。背の高い方は私が麻痺させますわ」
「了解や」
「ふふ・・・私のお薬は温存ですね・・・了解でーす・・・」
最初の予定では大人数をシーラのお薬でやるつもりでしたが、2人ぐらいなら・・・とサックリ魔法を使い相手を制圧する事に決めた私は指示を出して配置につきます。
魔法の射程の問題で私とサマンサは廃屋へと入り相手方の部屋の前で待機、ノワールは最初に相手方を除いていた位置で待機となります。
そして配置に付けた時点で合図を出し・・・制圧開始です。
「『闇の煙幕』」
「うおっ!?なんだ!?」
「何も見えねえ!?」
ノワールの魔法が上手く決まり、相手側の視界が潰れたところで私とサマンサは部屋へと突入。迅速に相手に近づき魔法を放ちます。
「「『麻痺雷』」」
「「ぎっ!」」
魔法が上手く決まり、2人の賊はがくんと力が抜けたように倒れます。
「成功やな」
「ええ。ですけど念の為、他に人が居ないか調べますわよ」
「了解や」
私達が見れなかった場所に人が居ると厄介なので廃屋を捜索しますが誰も居らず、本当に引き払われた後だという事が判明しました。
ですが捜索した結果、引き払ったのはほんの少し前かも知れないという事が判明しました。
「ふむ・・・」
それを確認する為ノワール達を呼んだ後、麻痺した状態の2人へと尋問を開始します。
「お任せを」
「ええ」
闇魔法を使うと簡単に尋問が出来るためノワールへと任せ、私達は賊が木の箱に詰めていた物を確認します。
「あら・・・とても良いモノじゃありませんの」
「こっちの箱もや」
「こちらには指示書なんかもありますね。ですが大きいアジトから小さいアジトへのモノで、アークレッドに関連する文字は一切なしです」
賊2人が木の箱へと詰めていた物は取引書の様なモノで、サラッと見た感じ少し前から現在までの物があるようでした。
ナイス置き土産!と幸運を噛みしめていると、尋問が終わったノワールが話しかけてきました。
それによると、ほんの30分ほど前にリーダーたちはここを出て、地域の小さなアジトを取りまとめている大きなアジトへと移動したとの事でした。
「それって私達がこの後行く予定のアジトですの?」
「はい」
「30分ほど前・・・急げば追いつけますけれど・・・」
時間的には全力を出せば追いつけはしますが、それをするとかなり体力を消耗しそうです。それならばゆったりと行き、大きなアジトへ敵が集まってからまとめてやってしまうのでもいいかもしれません。
「ここから出たのは何人位と言っていましたの?」
「8人と言っていました。どうやら小さめのアジトは10人で回している様です」
「微妙な人数ですわねぇ・・・屋外だとシーラのお薬を効かせるにも微妙ですし・・・ん~」
如何しようかなと考えた結果、結局は大きなアジトに集まった所をお薬で一網打尽にする方が良いと考えてゆっくりと行く事にしました。
私はこの考えを皆へと伝え、取りあえず事件の証拠となりそうな物だけ回収する事にしました。
尋問の結果他にめぼしいモノもなかった為、賊だけロープでグルグル巻きにして回収し馬車へと戻ります。
「お姉様、こいつらどうするん?一旦都市の警備にでも突き出すん?」
「いいえ。それは面倒なので、大きなアジトを潰した際にそこへ放置ですわ」
「なるほどなっとぉ!積み込み完了や」
「・・・はぁ・・・重たかった・・・」
「シーラ、貴女はもっとご飯でも食べて体を作りなさい」
「・・・食べても大きくならないんですけど・・・」
「量が足らないのでは?」
「マルシア、シーラ、お喋りをしていないで行きますわよ?」
「「あ、はーい」」
積み込んだ賊2名が少し邪魔ですが馬車へと乗り込み、私達は本命である大きなアジトへと向かいます。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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マシェリーの一口メモ
【魔法の射程は物によって違いがありますわ。と言ってもこれはゲームではなかった要素で、『麻痺雷』なんかもゲームですと近づかなくても打てたりしていましたのよ?】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】