第133話 誘拐組織との戦い
毎年の恒例である挨拶の嵐が始まって3日経ち、4日の朝からは両親に断りを入れた上で出かける事になりました。
出掛ける先は勿論・・・アークレッド家が関連している組織のアジトです。
「準備は出来まして?」
自室にてしていた準備が終わり、同じ様に着替えていた何時ものメンバーへと確認をとります。
「万端でございます」
「ばっちりやでー」
「はい。久しぶりのフル装備、完璧です」
「・・・でもちょっと・・・成長したからかきついです・・・これが終わったらまた調整か新調が必要ですね・・・」
「ですわね」
因みに今回はガチミッションとなりますので、普段のサークル活動に使わない様なガチ装備をしています。ゲームでもそうですが、装備によって強さを盛るのは基本ですからね。
「それにしても予定が狂うて幸先悪いな。流れ悪いのが続いて公爵様と話がつけれんかったとかはないんですよね?」
「それは問題ありませんわ」
今回アークレッド家を潰すにあたって父親に知らせないままやってしまうと面倒くさい事になる事は目に見えているので、私は事前に話を通しておく事にしました。
普通だとそんな事を娘が言い出したなら『娘がおかしくなった!』となる所ですが・・・そこはこの普通じゃない女マシェリー・フォン・オーウェルス、ちょちょいのちょいで説得できましたとも!
具体的には・・・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「お父様、お話がありますの!」
「ん?何だいマシェリー?」
「実はですね・・・私の独自の調べによって解ったのですけれども、近々家と関係がある家に調査が入るかもという噂がありますの」
「えっ!?それは本当かい!?」
「まだ確定ではありませんわ。ですからそれを調べようと思いますの。もしそれが確定だったならその家を切らなければ危険ですので、お父様はいつでも動ける準備を進めてくださらないかしら?」
「解った。娘に頼るのは父親としてあれだけど、今までの事もあるし頼むよ」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
といった具合ですね。
何故こんなすんなり?と思うかもしれませんが、それは私が過去に原作知識などを使ってちょちょいとやったりしたことで信頼を得ていたからです。これぞ正に転生者無双ですね、はい。
因みに実際にはそんな噂などありませんので、事が終わり次第グウェル殿下へと適当に話をでっちあげて報告し、王家が組織を調べるような状態に誘導。後にそれを父親へと報告してオーウェルス家を動かしてもらい、組織と元であるアークレッド家を壊滅させてからそれを王家へと上げてもらい、『悪いことしている家を発見したので、王家に忠実なるオーウェルス家が討ちました!』と報告してもらい全てを闇に葬る計画です。
(最終的には人さらいをする組織が消えて王国側がwin。そしてオーウェルス家も破滅する原因の1つが消えてwin。つまりwin-winで全員が勝つ!最高ですわね!)
「ほな問題あらへんか」
「ええ!全員勝利ですもの!」
「?」
妄想していた事と混じりついつい変な事を言ってしまいました。いけないいけない、頭を現実に戻してっと・・・
「ああ、いえ。なんでもないですわ。そうね、問題はありませんわ。というか逆に!あやふやだった日程等が知れたので予定が狂って良かったかもしれませんわ」
「敵が動く日程何かは調べれる所まで行っていませんでしたからね」
この作戦を実行するにあたり相手の事は勿論調べた訳ですが、解った事はそこまで多くなく、相手の予定などはさっぱり解っていなかったのです。
無謀だとは思いますが、実際乗り込む拠点の内1つは原作知識を活用して攻略するつもりなので多分大丈夫でしょう。
「2,3年後に事が起こせたのならグロウとグラァに依頼して強力なアイテムなんかも作れたり、いろんな場所を回ってえぐい装備何か集められたのだけれど、そうもいきませんものねぇ・・・」
「下手に伸ばすとどうなるか解りませんからね。捕らぬ狸の皮算用ともいいますし」
「ええ」
「お嬢様、準備が出来たのならばそろそろ出発いたしませんと・・・」
「あ、そうですわね」
準備完了!から少し雑談に流れていましたがそろそろ動き出さないといけないので、残りの雑談等は移動中にする事にしましょう。
私達は再度装備を確認し、人目につかない様こっそりと屋敷の裏手に回ります。
屋敷の裏手に付くとそこには目立たない地味そうな馬車が止めてあり、私達はそれに乗り込みます。
「それではノワール、例の場所まで頼みますわ」
「畏まりました。作戦の通り一般の馬車と同等の扱いで目的地へ向かいますので、少々お時間が掛かるはずです」
「ええ、構いませんわ。目立たない事の方が重要ですもの」
「はい。では出発いたします」
ノワールがそう言った後ガタゴトと音を立てて馬車が走り始めたので、私は外から見えない様布を引きます。
「さて、後は目的地に到着するまでひたすら待機ですけれど・・・まず何処へ行くか覚えていますわよね?」
作戦会議自体は何度かしているので覚えているとは思いましたが、念の為一応マルシア達へと問いただしてみるとマルシアが手を上げます。
「はい、マルシアさん」
「はい。先ずは近くにある小さめのアジトへと向かいます」
「正解ですわ。・・・では、何故そこへ向かうと思いますの?」
「はーい」
今度はサマンサが手を上げたので、彼女へと水を向けます。
「はい!そこに本命の大きいアジトへよく出入りしとる奴がおるんで、そいつを捕まえてアジトの事を吐かせるためや!後ついでにそこでも証拠集め!」
「正解ですわ。・・・では、その後は?」
「・・・はーい・・・」
順番制なんでしょうか?まぁともかくシーラへと水を向けます。
「・・・聞いたアジトの情報を元に本日中に強襲・・・一気に片をつけます・・・」
「これまた正解ですわ。ついでに言うとなるべく被害を出さないためにそこでの初手はシーラ特性の薬の出番ですわよ?ちゃんと持ってきまして?」
「・・・ふふ・・・ばっちりです・・・この2,3日でさらに調整を加え効果を上げておきました・・・ふふふふ・・・」
「・・・私達も突入するんですから、そこだけは気を付けてくださいね?」
「ふふ・・・大丈夫・・・だと思います・・・」
最後に不穏な事を言いましたがまぁいいでしょう。
作戦の事は皆大丈夫みたいですので、付くまでの残り時間をそれぞれの装備の確認に費やしていると馬車の動きが緩やかになり、やがて止まりました。
「お嬢様、目的地付近へと到着いたしました」
「解りましたわ。皆、降りますわよ」
敵のアジトへ馬車で乗り付けるわけにもいかないので馬車から降りると、そこは鬱蒼と木が茂る森の中・・・目的のアジトは森の中にあるんですよね。
ですがそれも皆知っていたので何も言うことなく、徒歩でアジトへと近づいて行きます。
「「「・・・」」」
事前にノワールの魔法で音等を抑えているので素早く動き、10分もしない内にアジトが見える位置までたどり着きます。
そこで一旦停止して身を潜め、持ってきた遠見の魔道具にてアジトの様子を伺います。
「・・・?」
「どうしましたん?」
「貴女も見てくださる?」
見た様子が私だけの判断で着かなかったのでサマンサへと魔道具を渡し覗いてもらいますが、結果は彼女も少し首を捻り気味・・・イマイチ判断がつかないとの事なので、3人目としてノワールへと見てもらいます。
「・・・恐らくお嬢様とサマンサ様も私と同じ見解だと思われるので言ってしまいますが・・・誰も居ない様に思えます」
「うーん・・・やはりですのね」
そうです、何と目の前に見える建物に人の気配がないのです。
それをさらに確かめるため、私達は建物へと注意しながら近寄っていきます。
そして建物へと辿り着き、耳を当てたり隙間から覗いてみると・・・
『・・・ぁ・・・・だ』
2人だけですが人を発見しました。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「ガチ装備は殺意の香り」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いですの。
☆やイイネをぽちっと押すと 私のガチ装備の詳細が公開されるかもしれませんわ。
マシェリーの一口メモ
【私達のガチ装備はゲームにおける中盤位かな?というグレードとなりますわ。これをサークル活動で使うと流石に『チートですか?』となるので使用していませんのよ。】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】