第125話 つ・・・釣られ・・・
「応えませんクマー!」
「「「クマー???」」」
「ああ、いえ、なんでもないんですのよ?それよりも・・・ささ、今日は移動で疲れてしまいましたし、さっさと夕ご飯の支度をしてのんびりするとしましょうか」
ええ、勿論フラグを建てたシフロート先生の期待に応える気なんてこれっぽっちもないですとも。
何故かって?そんなの決まってますよね?
(面倒になると解っているのにやる意味なんてありませんものね)
とまぁそういう事なので、私達は設営した竈の方へと向かい夕ご飯の準備をする事にしました。
「そいや今回はカレーやあらへんのですね?」
「勿論ですわよ?だってカレーは夏の食べ物じゃありませんの」
「そうなん?じゃあ冬といえば?」
「勿論鍋ですわ!という事で、買ってきた具材を適当に入れますわよ!」
「お嬢様、ちゃんと入れるモノを考えて入れないとアンバランスな味に・・・」
「いいえノワール!鍋はいれた物が全て美味しくなるから大丈夫ですのよ!という事で、私はフルーツが好きだからこれを入れますわね」
「あ、ならウチは魚介好きやから干物入れるわ」
「なら私はスタンダートにお肉を」
「ふふ・・・意外とこの薬草って味もいけるんですよね・・・」
「・・・」
時間も有るのでこんな感じにのんびりワイワイと夕ご飯の準備を進め、出来た頃には丁度日も暮れて来たので私達はそれを頂きました。
そして何故かご飯を食べた後はあまり記憶が定かではなく、気が付いたらテントの中にいたのでそのまま夢の中へと旅立ちました。
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翌朝、若干胃がムカムカする感じと共に私は目覚めました。
「ふぅぁ~・・・朝ですわね。・・・あらあら、皆そんなにこの合宿が楽しみだったのかしら?はしゃぎ過ぎ感が否めませんわね」
起きた私がテントの中を見回すと皆が皆凄い恰好で寝ていたので、私は苦笑した後朝の支度をするためにテントの外へと出ました。
「おはようございますお嬢様。お茶でもお飲みになりますか?」
「おはようノワール。顔を洗って歯を磨いて来たら頂きますわね」
テントの中に居なかったので解ってはいましたが、ノワールは既に起きて色々していた様です。
私は宣言通りに顔を洗った後テント前へと戻り、設置してあった椅子に座りながらお茶を頂くことにしました。
「どうぞお嬢様」
「ええ・・・んん・・・やはり朝はノワールが入れてくれた一杯あってこそですわね」
「恐れ入ります」
自然に囲まれリラックスした状態でお茶を楽しんでいると、なにやらテントの方が騒がしくなったのに気づきました。
恐らくあの3人が起きたのだろうと思いながらお茶を飲んでいると案の上だったらしく、テントの入口から3人娘が顔を出したので私は朝の挨拶をしたのですが・・・
「おはよう3人共」
「あ゛~・・・」
「うぅ・・・」
「・・・なんだか・・・胃の調子が悪いです・・・」
3人娘はイマイチ頭が起きていない様な返答を返してきました。3人は特に朝に弱いという訳でもなかったのに不思議だなと思いつつ、目を覚まさせるために顔を洗って来いと送り出します。
そして暫くした後、若干まだフラフラしているものの目をパッチリ開けて帰って来たので改めて私は朝の挨拶をします。
「おはよう3人共、頭はしっかりいたしまして?」
「「「おはようございます・・・」」」
未だ今ひとつ元気はありませんでしたが、今回はちゃんと挨拶が帰って来たので完全に起きたと判断し、ノワールがあらかじめ作っておいてくれた朝食を食べ始める事にしました。
「私達の寝つきがイマイチだった様に見えたので、ノワールが1人で準備してくれたそうですのよ?」
「あぁ~・・・あんがとうやで姐さん・・・」
「ありがとうございます姐さん・・・しかしおかしいですね・・・」
「・・・ありがとうございますぅ・・・確かにおかしいですね・・・何故か昨日の夕食時からの記憶がぁ・・・」
たわいない話をしつつ朝食を食べていたのですが、私はついでだからと今日の予定についても話し合う事にしました。
「ついでですのでこの場で話そうかと思うのだけれど、今日の予定を特に決めていませんでしたわよね?誰か何かやりたい事とかありまして?」
「ウチは特にあらへんかな。まぁしいて言えば、野営の何時ものパターンで食べられる山菜とかの採取くらいちゃいます?」
「私も特には。あ、川が近くにありましたし釣りとかはどうですか?」
何となくは解っていましたけど、サマンサが言うような何時ものパターンになりそうです。
それならそれで仕方ないかなと思っていると、シーラが「・・・はーい」と言って手を上げました。
「ふふふ・・・あのですね・・・ここら辺に珍しい薬草があるって聞いたことがあるんです・・・なのでそれをとりたいです・・・」
「あら、そうですのね。なら今日はその薬草とやらを探すといたしましょうか。あ、それだけだと何ですので、山菜なんかも採取しましょう」
「はい」
「うふふ・・・やったー・・・」
「了解や。・・・って、それって大体何時もと同じやん?」
シーラ曰くその様な薬草があるとの事なので、私達の今日の予定は薬草探しとなりました。・・・因みに、何時もと同じと言う言葉には『いや、何時もは山菜、今回は薬草ですから違いますわ!』と返しておきましょう。
その後、急ぐ事もないのでのんびりとティータイムまで入れ、さぁ行こうかとなった時に丁度グウェル班と顔を合わせてしまいました。
「ん?マシェリー達も出かけるのか?」
「ええ、ちょっと薬草摘みにでも行こうかと思いまして。そう言うグウェル殿下達も出かけるんですのね?」
「ああ、僕達は食糧調達にでも行こうかと思ってな。持ってきた分で足りはするんだが、これも活動の一環だと思って探しに行こうという訳だ」
「真面目ですわねぇ・・・」
グウェル殿下とは仲が悪いわけでもないので適当に雑談をし、しかしいつまでも喋っていると何も進まないと思ったので適当に会話を切り上げたのですが、最後に『ん?』となる様な事を言われてしまいました。
「ああ、そうだな。それではこの辺で。マシェリー達も気を付けてくれ」
「ええ。それでは失礼いたしますわね」
「あ、そうだマシェリー、最後に1つ・・・シフロート先生も言っていたと思うが、山には近づいては駄目だぞ?絶対にだ」
「え?えぇ?それは勿論ですわ?」
「うむ。ではな。・・・絶対にだぞ?」
「・・・」
その執拗なまでの念押しに、ついつい私はポカーンとしてしまいます。
「ほなウチラも行こやお姉様。・・・お姉様?」
「あ、え?ええ。そうですわね」
一体なんだと思ったモノの、それ以上気にしても仕方がないと思い私達も薬草取りへと出発する事にしました。
そうして出発してから10分ほど経った時の事です。それまでの道中は黙々と歩き続けていたのですが、ふとサマンサが声を上げました。
「シーラ、そういや探してる薬草ってどんなんなん?薬草探すって聞いただけで特徴とか聞いてなかったわ」
「・・・あ・・・えっと・・・こんなの・・・」
すっかり失念していましたが、私達は探す薬草の事を聞いていなかったのです。
そしてそれはシーラも同じくで、慌てて背負っていた背嚢から図鑑を取り出しその薬草のページを皆へと見せます。
「ふむ、見た目は大した特徴もないんですね。よく見ていなきゃ見逃しそうですね?」
「ふふ・・・そうなんですよね・・・だからこそこの薬草は珍しくて・・・・・・」
図鑑を見て薬草の特徴を確認している時マルシアがそう呟くと、それに追随してシーラが薬草オタクの知識を発揮しペラペラとその薬草について語り出しました。
それは再び歩き出してからも止まらず、私達はBGM程度にそれを聞きつつ進む事にしました。
「ふふ・・・で・・・ですね・・・この薬草は効果がまた面白く・・・・・すると・・・・で・・・・・またこれが・・・・・」
「うんうん、そやね」
「かんしんしますね」
「・・・」
止まらぬBGMを聞きつつ、その目当ての薬草を探しながら私は1人先程の事を考えていました。
(グウェル殿下までフラグみたいな事を言うなんて、何ですの一体?そんなに私に山の社へと行ってほしいのかしら?ですけど、誰がそんな見え見えの罠にかかるモノかって感じですわよね)
シフロート先生に続きグウェル殿下までフラグを建てる様に言ってきましたが、私はハイブリット悪役令嬢、そう易々とはフラグには乗りません。
そうやって私が心の中で肩を竦めていると・・・
「・・・あ」
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「ん?またもやフラグ?」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いですの。
え?☆やイイネをくれるんですの? そんなモノに誰が引っかか・・・。
マシェリーの一口メモ
【私は人間、熊ではありませんわ。】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】




