第124話 サークルの冬期合宿開始!そしてフラグが・・・
終業式で恒例の学園長によるありがたい話を聞いた翌日、私達冒険家サークルのメンバーは2台の馬車でゴトゴトと揺られながら山の麓へと向かっていました。
「この頃天気が崩れがちでしたのに、今日は晴れててよかったですわ」
「ですがお姉様、山にかかる雲を見る限り天気は崩れるかもしれません」
「あらマルシア、よくそんな事が解りますわね?」
「はい。昔鉱山関係の方に教えてもらった事が・・・・」
今の所安全な道という事もあり、馬車の中で雑談をしながらのんびりとしていたのですが、もう1台の馬車が横付けをして来るのが見えました。
何事かと思っていると、業者席に座っていたシフロート先生が、同じく業者席に座っていたノワールへと話しかけている様でした。
「おーい!のんびりしていると天気が崩れてきそうなので、ちょっとスピードを上げますぞー!」
「畏まりました!ついて行きますので、どうぞご自由なペースでお進みください!」
「了解ですぞ!」
雑談にも出てきた事でしたが、どうやらこのままのペースで行くと着いた頃には天気が崩れるかもという事なので若干急ぐ事となった様です。
「おー、すごいやんマルシア。アンタの言う通りになるらしいなぁ」
「ですが私の予想では、崩れても夜辺りからだと思っていたんですけどね」
「ふふ・・・でも天気が崩れるって言うのが当てられるだけでも凄いです・・・」
「いやでも、それだけなら実は結構簡単に見分けれる方法があって・・・・・・」
とは言っても実際に頑張るのは馬と業者、私達は相変わらず雑談を続けていました。
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「さぁさ!グズグズしていると雪の降る中震えて作業になるので急いでテントだけでも設営してしまうのですぞ!私は馬達の方にかかりっきりになるので手伝えませんが、何かあったら聞きに来るように!・・・以上!それでは作業開始ですぞ!」
急いだ甲斐もあって予定よりは大分早く目的地へと着いたのですが、私達はシフロート先生の急かす様な声に慌てて動き始める事となりました。
「そないに慌てる必要あるんですかね・・・っほ」
「はっ・・・私達より・・・ほっ・・・経験があるシフロート先生の言なので聞くべきですわよっと・・・あ、シーラそれとってくださる?」
「・・・はいはーい・・・重いです・・・」
「お嬢様、私とマルシア様は比較的手が空いたので、竈の設営と薪拾い等に回ります」
「ええ、それも早く終わりそうならグウェル殿下達の方も見て差し上げて。私達より慣れてない筈ですので、手助けがいりそうなら協力して差し上げるべきですわ」
「畏まりました。ではマルシア様」
「はい」
私達はソコソコ慣れている事もあり、役割分担を決めてこなし準備を進めます。
やがて準備が終わり、グウェル殿下達の方も終わったとノワールが報告して来たので、私達は一度シフロート先生の元へと向かう事にしました。
「シフロート先生、マシェリー班は設営完了しましたわ」
「グウェル班も終わりました」
「了解ですぞ、では少しだけですが話しますかな」
シフロート先生も馬達の避難スペース作りや自分の宿泊場所等も作り準備万端となっていました。
更にこのような時の為にか少し開けた人が集まれるスペースも作ってあったので、シフロート先生は私達へそちらへ移動する様にと促してきました。
「うん、全員揃っている様ですので話を始めますぞ。伝えたと思いますが、今回の合宿は特に課題も無く3泊4日過ごしていただきます。これは冬の野営がどの様なモノか体験していただく為ですぞ」
この様な語り口から始まり、諸注意や万が一の何かが起こった時の取り決め、最低限のルール等が語られます。
内容は極々普通で、何かあるとすれば『収納系の魔道具やスキルの制限』くらいでしょう。
「特に我がサークルには珍しい闇魔法の使い手であるノワールさんが居りますからな。彼女の魔法を使えば冬の雪山だろうと快適になり得てしまうので、流石にこれを無制限にすると今回の合宿の意味が薄れますからな。あぁ、勿論殿下の方の魔道具もですがな。流石にそのクラスの収納が出来る魔道具を持って来るとは予想外でしたぞ?」
そういう事を言われましたので、予め収納から物資を取り出し、本当に緊急時以外はそれ以上は取り出さない様にと制限を設けられました。
「では話はこれで終わりですぞ。後は各自好きなように過ごしてください。唯、念のために再度言っておきますが、ここから離れ過ぎず山にも上らない事!これは絶対ですぞ?解りましたな?絶対ですぞ?」
なにやら最後に『何そのフラグ?』と言わんばかりに念押しされて解散となりましたがさもありなん。なんせこの近くには昔から祀られている神の社的なモノがあるらしいのです。
勿論の事私はその正体を・・・知りはしませんが、何となく心当たりは有るので近づかない様にしましょう。
(でもこういう時って大体誰かがやらかすんですのよね・・・そう、例えば・・・)
「皆、聞いたな?山の方には上ってはいけないぞ?何故なら山の中に神様を祀る社があるらしいからな。下手に近寄って何かあるといけないからな」
「ですが殿下、気になりませんか?」
「む・・・それは確かに気にはなるが・・・」
(そう、あそこで不穏な会話をし始めた男子ィ~達ですわね。あら?何やらイリアスも『興味あります』みたいな顔で会話に加わりましたわね・・・あれは・・・)
なんて思っていると・・・
「いや、だが仮にも王家を名乗る僕がそんな事をするのは駄目だ」
「「「確かにそうですね」」」
「あ、なら近くの探索をして食べられるものでも探しませんか?」
「「「イリスさんの意見に賛成!」」」
何故かフラグっぽい事を言っていたのにいきなりそれが折れました。
(あらぁ~?ここで普通なら『なら冒険してみよう!』となるかなって思ったのですが・・・?・・・ってそうですわ!?普通こういうフラグが建った時に厄介な事を持って来るのは主人公サイドではなく悪役サイド!つまり・・・私ではありませんの!?)
何故!?と吃驚しているとある事実に気付いてしまいもっと吃驚してしまいました。
ですが私も公式悪役、直ぐに落ち着きを取り戻し、そんなフラグを建てたシフロート先生の期待に・・・
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「悪役さんのちょっといいとこ見てみたい」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いですの。
イイネ☆ブックマークがもらえると 一世一代、悪役令嬢の輝きを見せて差し上げますわ。
マシェリーの一口メモ
【フラグ、それは芸人のノリにも似ておりますわね。だって・・・絶対するなよ!?絶対だぞ!?何て言われたら・・・ねぇ?】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】
 




