第122話 ストーカーお嬢様は王宮でも絶好調
不自然にならない様に後をつける私達ですが、事態に進展がないので唯々買収した案内役の騎士の話を聞く事となりました。
「しおりを見て頂くと解るかと思いますが、あの部屋で国中から集まって来た報告の取りまとめをしています。ご覧の様に人の出入りが激しく・・・・・」
お話自体は勿論ためになるお話で、『成程・・・』と内心では関心してしまうのですが、私が求めているのはそれではないのですよ!
「中々見たい現場に遭遇いたしませんわね・・・トコナッツ様、すこしよろしいですこと?」
「・・・・・なので、重要度が・・・はい?なんでしょうか?」
「これから案内する先に人目が少なくなる部屋もしくは場所なんてございません?」
「・・・人目をはばかる様な話が出来るところ、という事ですね?」
「ええ」
焦れた私は案内役の騎士トコナッツにイベントが起こる現場に心当たりはないかと尋ねました。
するとトコナッツは心当たりがあったのか私のしおりを見せてほしいと言い、王宮内の簡易見取り図の何か所かを指し示しました。
「この見取り図には描いてありませんが、ココとココ、後ココに適した場所がありますね」
「ふむふむ・・・って一か所は近いじゃないですの!」
指し示された1か所が近かったので慌ててイリス達へと視線をやりますが、その地点に繋がる方向へは進まない様なので息を吐きます。
「オホホ・・・イリスったら焦らすのが好きなんですから・・・」
「いや、別にイリスは焦らすつもりとかないと思うで?」
「いいえ!きっと焦らしていますわ!ほら!言ってる間にも何やら戻ってきましたわよ!?・・・あぁ、でもまた進みましたわ」
そんな風にああだこうだ騒いだりトコナッツの案内を聞いたりして進んでいると、なにやらイリスがソワソワしているのに気づき、私がもしや!と思っていると・・・
「動きましたわっ!」
「多分トイレやけどね」
「・・・」
解っていましたとも。しかも女性あるあるの『あ、私もー』とばかりにイリアスも一緒に行きましたし。
「あふ・・・あ・・・あのお姉様・・・私も・・・それの・・・」
それにつられてかシーラも催してきたみたいで、私達はトコナッツに断りトイレへ行く事にしました。・・・勿論、全員でいきますとも。
流石にトイレにまで付いて行くつもりはなかったのですが、図らずもついて行く形になってしまった私達は王宮にあるドデカいトイレへと入ります。
そこで当然のことながら先に入っていたイリス&イリアスに出会いますが、特に絡むことなく用を足し終えて、何となくイリス達が出ていった後に私達も出たのですが・・・
「あら?あの子達何処へ行くのかしら?」
「グウェル殿下達との集合場所があっちなんちゃいます?」
「いえ、確か私達がトイレへ向かうまでグウェル殿下達は動いていませんでしたわ。だから元の場所で落ち合うはずなのですけれど・・・っは!?まさか!貴女達!追いますわよ!」
ピーンと来た私がイリスを追うと、彼女は完全に道に迷っている様でしたが確実に人気のない方へと歩いて行きます。
そして彼女達はある場所へと辿り着きました・・・そう、トコナッツが教えてくれた箇所の中の1つです。
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ミッションコンプリートです!
イベント内の詳しい会話は、悪い貴族の私が『ゲ・・・ゲスゥ』と唸ってしまうほどのゲスイ会話でしたので割愛させていただきますが、無事イリスはゲス貴族の会話を聞いて怒りを募らせていました。
ええ、それはもう怒りが天元突破していましたね、イリアスが羽交い絞めして止めるほどに。・・・イリス、凶暴すぎません?
「お姉様の影響ちゃいます?」
「ありそうですね」
「ふふ・・・可能性大ですね・・・」
「私はお嬢様の導きにより心が解放出来たという説を押します」
周りからは一様にイリスが狂暴なのは私のせいと言っていますが、そんな事は無い筈です。ええ。
「兎に角、イリスがゲスイ会話を聞いた事は確認いたしましたわ。さっさとずらかりますわよ!」
「でもお姉様、あれほっといてええんですか?」
「未だ暴れてますね。・・・イリアス、あの子意外と力強いんですね」
「ふふ・・・なんなら私がお薬の力で大人しくさせてきましょうか・・・?」
する事を終えたので帰ろうと言うと、暴れてるイリスを宥めた方が良いと言われたので、ここは1つ先生に登場してもらいましょう。
「ノワール」
「はい、お任せください」
ノワール先生と私は以心伝心、私が言葉に出さずともノワールは精神を落ち着ける様な魔法をイリスに使い落ち着かせてくれました。・・・闇魔法は精神系の魔法も得意なんですよ。
イリアスはそれを好機と見たのか、落ち着いたイリスを説得しにかかっていました。雰囲気的に成功しそうなので、彼女達が此方へ来る前に私達は退散する事にしましょう。
私はマルシア達に今度こそ帰る事を告げ、そそくさと来た道を戻り騎士トコナッツと合流します。
彼は私達の戻りが遅かったことを不思議がっていましたが、『例のアレ』と告げると納得してくれました。
「という事で、後は通常通りの案内よろしくお願い致しますわトコナッツ様」
「はい、お任せを。そちらが本職ですので頑張らせていただきます」
用事も終わった事ですし、後は本来の見学に戻るだけです。
私達はそこからそれまでの事が無かったかのように王宮内の案内を真剣に聞き、そして・・・
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「成程、それで迷っていたけどしおりがあるのを思い出し、何とか帰れたと?」
「「「はい」」」
「よろしい、だが次からは気をつけなさい。そして騎士トコナッツ、君もレディに配慮したのかもしれないが、ちゃんと監督はしたまえ」
「ハッ!申し訳ございませんでした!」
どうやら何処からかタレコミが入ったらしく、私達はメッチャ怒られてしまいました!
(・・・っく!買収が足りませんでしたわ!)
今回のイベントに当たって私は案内役の騎士を買収した訳ですが、彼だけでは買収が足りなかったみたいです。とはいえ、これ以上していると上にバレル可能性が高かったので出来なかったとは思いますが。
私達は騎士の詰所から出ると集合場所であった門付近へと移動します。
そこには『何をやっているんだあの問題児集団は・・・』と呆れた顔で待つクラスメート達が・・・いませんでした。
「皆は先に帰らせましたぞ」
そこに居たのはシフロート先生と馬車が1つだけでした。
どうやら王宮内に止まるのは良くないと皆は先に帰らせ、シフロート先生自身は引率者だったので残っていた様です。
「さぁ、馬車に乗るのですぞ。お説教を始めますからな」
・・・どうやら他にも用事があったようでした。
トホホと思いつつも仕方がないので馬車へと乗り込み、大人しくお説教を受けていたのですが、私はある事に気付きます。
「あの・・・シフロート先生?イリス達も先に帰しましたの?」
「勿論ですぞ?特に残る理由がありませんからな。というかマシェリーさん、今はイリスさんの事より貴女方のことですぞ?普段は確かにウンヌンカンヌン・・・」
途中で遮ってしまった事によりお説教の勢いが激しく張ってしまいましたがそれどころではありません。
何故イリス達はおとがめなし!?というか、そもそも見つからなかったのでしょうか?
そんな風に私がついつい『これが主人公補正!?』何て馬鹿な事を考えていると、その様子を察知したのかシフロート先生のお説教は更に勢いを増してしまいました。
こうして破滅への第一歩となるイベントは私達の精神力と共に無事終了を迎えました まる
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「買収を行う系お嬢様!?」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いですの。
イイネ☆ブックマークがもらえると アナタも買収して差し上げますわ。
マシェリーの一口メモ
【騎士トコナッツはえっっな映像入りの記憶君で買収されたとかなんとか。】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】




