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第121話 来ました

「来ますわよ・・・」


「・・・え?」


「・・・何言うとるんですか?」


「うふふ・・・お薬だしますねー・・・」


 そろそろ12月に入ろうという日の放課後、私は自室に何時ものメンバーを招き何処かの司令官みたいに両手を組んで顎を乗せながら呟きました。・・・あれ?


「何かデジャヴを感じますわね?」


「デジャヴってなんですのん?」


「えっと、既視感とも言いますわね」


「あー、そらあれやね。確か前にも同じやり取りしとるからちゃいます?」


「あら、失礼。そう言われてみれば何となく覚えがありましたわ。・・・ごほん、ちょっとすっきりした所で本題に入りますわよ?」


 ウッカリが終わったところで私は本題を話し始めます。その本題と言うのはその時の話と同じで、『国の様々な場所へと赴き、そこで色々な事を学ぶ』授業のお話です。


「王宮へと赴く日がいよいよ2日後になりましたわ。やる事と言えば当日イリスを見守るくらいになりますけれど、忘れてはいませんわよね?」


「忘れてへんで。ついでに言えばオトンの動向も一応確認して来ましたわ」


「そうなんですの?」


「何かある言うとったんで一応やけどね。結果ウチのオトンは当日王宮には行く予定無い言うてましたわ」


「私のところも同じくでした」


「ふふ・・・私のところもでーす・・・」


「そう言う所はすっかり失念していましたわ・・・よろしくてよ3人共!」


「「「ありがとうございます」」」


 私の至らぬところをカバーしてくれていたみたいで嬉しい限りです。・・・と、ここで私は気づきました。


(私、お父様の動向を確認をしていませんでしたわ!)


 原作では家の父親は姿が見えませんでしたがどうなのでしょうか?下手な事になると困るので、出来るならば当日は王宮には居てほしくないのですが・・・


「お嬢様、御当主様は当日王宮へと出向く用事があった様ですが、私が理由をでっちあげて日付をずらしていただきました。なので大丈夫かと」


「でかしましたわノワール!アナタにはマシェリーポイントを三千点差し上げますわ!」


「ありがとうございます」


 さすノワですね、私が考える前に行動を起こしていた様です。


「ふぅ、なら仕込みも終わっておりますし、後は当日まで出来る事はありませんわね。ゆったりと待つ事にいたしましょうか」


「「「はい」」」


「お嬢様、ゆったりするのはよろしいのですが、もう少しで期末考査が始まります。少し復習などなされては?」


「あ、それもそうですわね。マルシア達も自分の部屋から勉強道具とってきなさいな」


「「「はーい」」」


 ノワールの言によって急遽テストに向けての勉強が始まってしまいましたが、成績を落とすのも気分が良くないので良しとしましょう。


 こうして王宮へ社会科見学?へ行くまで勉強を頑張っているとあっという間に時間はすぎ・・・


 ・

 ・

 ・


「それではこの後王宮へ向けて出発いたしますぞ。解っているとは思いますが王宮では騒がず大人しくする事、いくら許可をもらって見学するとはいえおかしな行動をとると捕まる事もありますからな。よろしいですかな?」


 いよいよその日がやってきました。


「今からしおりを配りますが、そこに今日の予定や特別に教えてもらった一部の王宮の簡易見取り図が書いてありますぞ。なので見学終了後には回収することになるので無くさない様に」


 因みに現在は未だ学園に居り、シフロート先生の諸注意を聞いている所です。

 シフロート先生はしおりを配った後にそれを使い、簡単に経路を説明したり、ここに描かれている場所以外には行かない様に等、重要と思われることを話していきます。

 それを聞いてクラスの皆も唯浮かれている状態から少し引き締まった顔を見せる様になり、シフロート先生の話が終わった頃にはすっかりと『遊びに行く』から『将来の為にも国の重要な場所を見学しに行く』といった雰囲気に変わっていました。


「以上で諸注意は終わりですぞ。そろそろ時間ですし、出発いたしますかな」


 シフロート先生もそれが解ったからか、満足そうな顔をしながら出発すると合図をかけます。

 私達はそれに返事をし、意気揚々と王宮に歩いて・・・はいきません。


「それでは5,6人ずつ馬車へと乗り込んでください。台数には限りがあるので、なるべく相乗りでお願いしますぞ」


 流石に王宮に徒歩で向かうのはあれですしこのクラスの生徒は大体貴族ですからね、勿論馬車で向かいますとも。


 こうして馬車で揺られる事数十分・・・


「「「おぉ~・・・」」」


 私達1組の極一部を除く者以外は王宮の門近くにて感嘆の声を上げていました。ですがそれは仕方がありません、なんせ王宮と言えば国の顔や中枢とも呼べる場所、一般貴族の屋敷等とは格が違います。


「へぇ~」


 まぁ私の家は一般の貴族ではないので、これ位の宮殿でさほど感動したりはしませんけどね。


「流石に本物は門の裏側も綺麗ですわね。あら、実際見ると見えている魔法陣も綺麗ですわぁ」


 まぁ別の意味で感動して感嘆の声はあげていますがね!なんせゲーム画面でしか見れなかったのを生で見れるのですから!


 そんな感じで、ここに住んでいるグウェル殿下以外が『おぉ~』だの『へぇ~』だの言っていると私達の元に鎧を来た騎士の方々がやってきました。

 彼らは道案内兼監督役で、5,6人のグループに1人付く事となっているそうです。なので私達学園生は予め決めてあったグループに分かれ、案内役の騎士と挨拶をかわします。


「皆さんの案内役となりましたサンスリー・ラ・トコナッツです。よろしくお願いします」


「ええ、よろしくお願い致しますわね騎士トコナッツ。私はマシェリー・フォン・オーウェルスと申しますわ」


 私達の前に来た騎士へと先ずは私が挨拶をし、それに続いてマルシア達も軽い自己紹介を続けます。

 それが終わるといよいよ王宮の見学開始!・・・なのですが、私はその前に騎士トコナッツへとスッと近づき小さな声で声をかけます。


「・・・虹の色は?」


「・・・百合色」


 何を言っているんだと思われるかも知れませんが、これは元より決めていた合言葉です。


「よろしい、では今日は頼みますわね?」


「はい。俺は今日何も見ていないし聞いていない。唯案内をした、それだけですね?」


「ええ」


 実はこの騎士、今日の為に予め買収しておいたのです。何故そんな事をしたのかは何となくお分かりかと思いますが・・・



「うわ~、やっぱり王宮はすごいですねぇ」


「今日はのんびりと見学していくといい」


「はい!ってあれ?私達には案内役の人付かないんですか?」


「ああ。安全面でも王宮内だから問題ないだろうし、案内は僕がする事にした。先生も『殿下にとっては家ですからな。問題ないでしょう』と言っていた」


「へぇ~」



 そうです、あの『いやいや、問題やろ!』とでも突っ込みたくなるような会話をしているイリスの様子を確認する為です。

 流石に5,6人に対して1人付いている騎士を誤魔化してイリスの様子を確認するのは不可能ですからね、予め仕込んでおいたのですよ。


「それでは皆さん、案内役の方と挨拶出来た人から王宮へと入ってください。案内役の方は王宮を回り終えたら再びここへ案内をお願いしますぞ!」


 そうこうしている内にシフロート先生がそんな事を言ったので、私達はイリス達の後を付いて王宮内へと入る事にします。



 はてさて、上手く事が進むといいのですが・・・



 マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「馬車でキタ」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いですの。

 イイネ☆ブックマークがもらえると 馬車が戦車になりますわ。


 マシェリーの一口メモ

 【チャリ(オット)でキタ。とか言うネタでも入れようと思いましたが、チャリオット=戦闘用馬車なので、流石に王宮にそれで向かうのは不味いという事で本編には出せず不採用となりましたわ。】


 マシェリーより宣伝

【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。

最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/

よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】

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