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第116話 事件と選択

「・・・?なんですって?」


 私は聞き間違いだろうと思い、もう一度訪ねたのですが・・・


「誘拐現場を目撃しました」


 その答えは変わる事は無く、本当に事件があった事を私へと知らしめました。

 勿論そんな事を言われて落ち着いていられるはずもなく、私は物凄く動揺しながらマルシアへと詰め寄ってしまいます。


「どどど・・・どういう事ですにょ!?にゃにがっ!?あ・・・あっ!騎士団!騎士団に知らせてイリスを助けなくては!!」


 マルシアへと詰め寄った後は呂律と頭が回らない状態で話し、辛うじて頭に浮かんだ『通報』の文字に私は直ぐ行動を起こそうとしました。

 そしてアワアワしながら詰め寄っていたマルシアから離れようとした時、逆にマルシアからガシッと肩を掴まれて止められてしまいました。


「お放しなさい!詰所へと行かなくては!捜査は初動が肝心ですのよ!?」


 しかしそれで易々と止まる私ではありません。私は今世にて鍛えられたマッスルにて何とかマルシアの手を振りきって騎士団の詰所へと行こうとします。・・・が、そこでマルシアがガバッと私を抱きしめて拘束を強くします。

 勿論私はそれに抵抗して暴れようとしたのですが、次のマルシアの言葉を聞き一気に力が抜けてしまいました。


「お姉様落ち着いてください。何も私はイリスが誘拐されたとも、その誘拐が成功したとも言っていません」


「・・・へ?」


 そして力が抜けたのでもう大丈夫だと思ったのか、マルシアは私の体を放・・・さずに、私の耳元に口を近づけて囁くような声で続きを話し始めました。


「確かに誘拐を目撃しましたが、それは見知らぬ子どもが誘拐されそうになっていたのを、です。しかもその子供も、その場でイリスが犯人を取り押さえたので無事です」


「そ・・・そうでしたのね・・・」


「はい。一応私達も飛び出せるように身構えていましたが、イリスは怪我一つなく取り押さえていましたよ。だから安心してください・・・フゥ~」


「ひゃっ!」


 耳に息をフゥ~と吹きかけられたので変な声が出たのですが、頭は多少まともな思考が出来る様になっていたのでマルシアを引きはがし、もう少し詳しく話を聞く事にしましたが・・・


 その結果、私の頭は血の気が下がって逆に冷え冷えになってしまいました。


「や・・・やばばばば・・・」


「どうしたんですかお姉様?そんな『大事な宿題が忘れた頃に出て来た!』みたいなお顔をして」


『それに近いですわよ!』と叫びたい所ですが、先ずは落ち着く為に深呼吸です。


「ひ・・・ひっひっふー・・・ひっひっふー・・・」


 ・・・何か違う気がしますが、ちょっとは落ち着いたので問題なしでしょう。

 それよりも、私はもう少し聞かなければならない事があったので、それを尋ねてみます。


「ち・・・因みにですが・・・その誘拐犯ってどうなりましたの?」


「それが・・・私達が緊急事態だったのでイリスの前に姿を現して騎士団を呼んでくると声をかけた瞬間に自決してしまいました。どうやら仕込んでおいた毒を飲んだようです」


「・・・最後に何か言ってませんでした?」


「そういえば何か言っていましたね」


「ふふ・・・確か『偉大なる炎に栄光を』・・・です・・・」


「・・・その誘拐犯の持ち物とか調べたりしましたの?」


「はい、後で騎士団が調べるとは思いましたが軽くは」


「・・・赤い魔石が使われたペンダントとか持っていたり?」


「はい、持っていましたね」


(はーい決定ですわー!・・・○○○キンですのぉぉぉおおお!)


 もしかしたらと心当たりがあったので尋ねてみた所、当たってほしくはなかったのですが当たりの様です。

 実はこの事件、以前話していた破滅への第一歩と連鎖する事件なのです。・・・完全に忘れていましたがね!


(あぁぁ・・・これで連鎖が繋がり・・・『コンボだドーン。順調に悪役令嬢への道が進んでるドン。いっぱい破滅イベントで遊べるドン』となってしまいましたわ。何で忘れていたドォォン・・・)


 詳細は後ほど語るとして触りだけ言うと・・・この誘拐、アークレッド家が絡んできています。



 ・・・



 アークレッド家ですよ?アークレッド家!忘れたのですか?2話辺りに出て来たではないですか!?(メタァ・・・)


(アークレッド家はオーウェルス家がつぶれる要因の1つである闇取引をしている家で、ちょっとカルトも入っているヤバイ貴族ですの!・・・って何で私説明口調ですの?)


 謎の意思が語り掛けてきたのでついつい説明してしまいましたが、私も復習になったのでまぁいいでしょう。

 兎に角、今回のこの誘拐事件はアークレッド家が絡んだ犯罪組織が関わっているので、アークレッド家と取引関係にあるオーウェルス家の令嬢マシェリー・フォン・オーウェルスにも多大な影響があるのです。


(前にアークレッド家の事が出たのは『今の私』へと切り替わる前の『早乙女玲』の時で、あの後直ぐに『今の私』へと切り替わってしまったのですっかりアークレッド家の事を忘れてしまっていましたわ。致命的すぎますわよ私ぃぃぃ!)


 完全に思い出した事により自分のポンコツ具合を恨んでいると、あまりにも私が青くなったり悶えたりしているのが心配になったのかノワールが遅くなってきたので一旦帰る事を提案してきました。


 私は一旦落ち着いて考えたかった事もありそれを了承、直ぐに帰る事に決めて学園へと向かうことにしました。


 ・

 ・

 ・


 そうして寮の自室に帰った私は、現在お風呂に入りながら1人頭を悩ませていました。


(ぐぬぬ・・・どうするべきですの・・・このまま放って置いて私は実力を高める事に力を傾けるべきかしら・・・んんん~・・・)


 私の頭には今2つの考えがせめぎ合っていました。


 1つは『アークレッド家は放置して魔王になる為に修行を頑張る案』です。

 これは、このまま放って置いてもオーウェルス家が不味い状況になって来るのはまだまだ先とわかっているので、放置して修行をし何とか魔王に成り、『私魔王ですけれど、何か文句でもありまして?』とすっとぼける方法です。

 一応魔王に成るとアンタッチャブル的な存在になるので恐らく通じる方法ですが、もし魔王になれなかったら確実に終わりがくるでしょう。


 もう1つは『アークレッド家を私が潰し、オーウェルス家の力を持ってあった事を闇に葬り去る』です。

 こちらはの方法は少し悪どいかも知れませんが、私がこの問題を解決し、あった事を闇に葬り『何かありました?』とアークレッド家毎ナイナイしてしまう方法です。

 やったところでバレル可能性は無きにしも非ずですが、成功した場合はもう1つの方法より魔王になれたかった場合の生存確率は上がります。


(ん~・・・どっちもどっちなのですけれど・・・どうしたものかしら・・・あら?)


 声を出さない様に唸って考えていると、私はある事に気付きます。

 それは『お嬢様有る所に我も有り。我無き所はトイレのみ』のノワールの事でした。

 何時もなら入浴中の私に対してネッチョリした視線を向けて来る筈のノワールでしたが、今日は何故か微妙に上の空で、数分に一度くらいしかこちらを見てこなかったのです。


「如何いたしましたのノワール。ボォ~っとして」


「・・・いえ、なんでもございません」


「嘘おっしゃいな。何かあるんですのよね?言ってごらんなさい?」


 なので声をかけたのですが、彼女は何もないと明後日の方向を向いてしまいます。ですが私達は長い付き合い、嘘だとすぐ解ったので改めて尋ねてみると・・・


「・・・はい。お嬢様は今、今日の誘拐の事について考えておいでだと思うのですが・・・誘拐組織を潰す事は考えておいででしょうか?」


「まぁ・・・一案としては考えていますわね。まさか、誘拐組織を潰してほしいんですの?」


「はい」


 ノワールはアークレッド家の誘拐組織を潰す方向で動いてほしいと私にお願いしてきました。

 彼女の方からこう言って来るのは珍しいと感じ、何かあるのかと気になった私は尋ねてみる事にしたのですが・・・この時私は全く予想をしていませんでした。



 彼女の口から、私が知らなかったノワール・マクリスの話と、ノワール・マクリスがどうやってマシェリー・フォン・オーウェルスに出会ったか、なんて話が語られるとは・・・。



 マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「見守りネッチョリ」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いですの。

 イイネ☆ブックマークがもらえると アナタも私の見守り隊に入れますわ。


 マシェリーの一口メモ

 【私にはいつでもどこでもノワールがくっ付いています(トイレ以外)。だってお嬢様ですもの。】


 マシェリーより宣伝

【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。

最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/

よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】

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― 新着の感想 ―
[一言] マシェリーさん、かなり暴走し易いアホな娘ですね、当初の賢い優しいマシェリーさんは何処に行ったのか(笑)
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