第115話 双子の魔道具師と錬金術師
「こちらの彼女が魔道具師グロウ」
「よろしくろっ!」
「そしてこちらが錬金術師のグラァ」
「よろしくらっ!」
「まぁ見ての通り双子ですね」
「へぇ・・・」
紹介された彼女達が元気よく挨拶してくれているにもかかわらず、私はというと気の抜けた様な返事を返していました。
それは彼女達に興味が無いからではなく・・・
(か・・・可愛いっ!可愛すぎますわこの子達っ!)
逆に興味津々過ぎて彼女達を見る事に集中していたからです。・・・えぇ、それはもう舐め回す様に見ていますとも。
(きゃんわいいですわぁ~!こんな小さい子達が魔道具師と錬金術師だなんて!・・・というかこの子達、私達より年下じゃありませんこと?)
双子を舐め回す様に見ていた私ですが、突然正気に戻ってしまいそんな考えが頭に浮かんできました。
そしてどうやらそれは顔にも出ていた様で、よっぽど解りやすかったのか鈍感そうなマクシムが説明し出しました。
「アハハ!ご心配なく!確かに彼女達は幼いですが、腕とセンスは熟練の職人顔負けですよ!」
「そうろっ!そうろっ!」
「グラァ達は未だ15歳らけど、正式ライセンスも持っているプロらっ!」
「そうでしたのっ!?・・・あっ、申し訳ありませんわお姉様方」
てっきり同い年、下手したら年下かとも思ったのですが、どうやら彼女達は正式なライセンスも持った年上の女性みたいでした。
ですが、それを聞いたところで・・・
(15歳なのにこのちんまりさ!いい!いいですわっ!エクセレンッ!パーフェクトカワイイ賞受賞ですわよ!)
私が脳内で思っている事は変わらず、というか逆に評価を上げることになってしまい・・・私の脳内でお祭りが起きました。
「では!私のモノになってくれるという事でよろしかったですわね!?」
「ろっ!?」
「らっ!?」
「さぁ行きましょうお姉様方!私が今から屋敷を買ってさしあげますので、今日からはそこで暮らしてくださいまし!あぁ!大丈夫ですのよ?私も出来る限り足を運びますわね?あっ!長期休暇の時は其処へ泊まりますので、一緒に過ごしましょうね?」
私の脳内のお祭りは盛りに盛り上がり、何時の間にか彼女達を囲うという楽しい未来を妄想していました。
そうして頭がお花畑でハッピー&トリップ状態の私は、彼女達を外へと連れ出そうとしたのですが・・・勿論の事ながらいろいろな方面からストップがかかります。
「ステイ!ステイやお姉様!」
「落ち着いてくださいお嬢様」
「落ち着いていられませんわっ!私はこの方達を囲って愛でますのっ!抱き枕にしますのよっ!」
「な・・・何言ってるろっ!?」
「グラァ達は唯仕事の紹介をされただけらっ!変な事はしないらっ!」
「・・・あ・・・あはは・・・俺はこの辺で帰りますね~。あ、グロウとグラァ、魔道具の設計図とかは何時もの所へ送っておいて!・・・じゃっ!」
約1名は何かを察して逃げてしまいましたが、私はその場に残った全員から『落ち着け!』と諭される事となり・・・
数分後・・・
「オホホホ、冗談、冗談ですわ~?私はあくまで魔道具師と錬金術師の方にお仕事を手伝ってもらいたかっただけで、先程のは場を和ませるための冗談ですわ~。・・・あ、でも囲われたいと思ったら言ってくださいまし?私は何時でもウェルカムですの」
私は正気に戻りました?
「お嬢様!」
「あ、そうそうお仕事のお話でしたわね~」
正気に戻りました。
なので、真面目にお仕事の話をする事にしましょうそうしましょう。
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あの後、至極真面目なお仕事の話へと移った私達でしたが、彼女達はマクシムが紹介しただけはあり、実際に記憶君を見せてみると『成程、この鉱石から一旦出力して、この装置を通じ・・・・』と大体の構造を理解したり、『要となる鉱石の純度が低いから・・・・』等問題点を上げて見たりとその優秀さを覗かせていました。
そんな事なので、元から彼女達を雇う事に乗り気だった私は『能力も容姿同様ずば抜けていますわね!最高!最強!最カワ!』と更に乗り気になり、即座に仕事内容や条件等を伝えて契約を迫りました。
するとちょっと警戒気味でしたが『面白そうだし、資金も一杯出してくれそうだからやる(ろっ(らっ』と承諾してくれたので、無事に契約が決定、彼女達は私のモノになりました。
「それは違うろっ!」
「お仕事頼まれただけらっ!」
「あんなに大量にお仕事を受けてくれたんですもの、実質私のモノと言っても過言ではありませんこと?」
「「過言(ろっ!(らっ!」」
「オホホホホ」
因みにですが、私は彼女達に記憶君だけでなくそのオプション、更には冒険者家業に使えるような魔道具の製作依頼までかなり大量に仕事を頼みました。
それは本来一気に頼むようなものではありませんでしたが、有能で有望な職人を繋ぎ留めておく為でもあるので正しい判断でしょう。
(更に、このまま私達の仕事を入れ続け、そしてなし崩しに私達専属の職人という事で完全に引き込んでしまえば・・・クフフ・・・美少女ゲットですわぁ~!)
「・・・何か寒気がするろ」
「グロウもら?グラァもなんか背筋がゾゾゾってするら」
(あらあらいけませんわね・・・欲望オーラが漏れていましたわ)
このまま双子と一緒にいるとおさわりまでしてしまいそうですし、マルシア達との待ち合わせもあるので、私は双子にお暇を告げる事にしました。
「グロウ様、グラァ様、私達はそろそろ帰らせていただきますわね?」
「ん?解ったろっ!」
「頼まれた事はやっておくらっ!進歩があったら連絡するらっ!」
「ええ、よろしくお願い致しますわね。それではごきげんよう」
双子へと挨拶をした私達は店を出てマルシア達との待ち合わせをした店へと急ぎます。
そしてその店へと着くと既に彼女らは座って待っていたのでそこへと合流、別れた後の話を互いに話す事にします。
といってもまぁ、正直イリスの方は何もなかったでしょうから、私達がマクシムやグロウ&グラァの事を話して終わりかなと思っていると、予想外の話がマルシアの口から出てきました。
「あの・・・イリスを尾行した結果なんですが、誘拐を目撃してしまいました」
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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イイネ☆ブックマークがもらえると 私が合法お嬢様になりますわ。
マシェリーの一口メモ
【魔道具師や錬金術師、薬師に鍛冶師等は国家ライセンスが必要な職業だったりしますわ。ちなみに、国家錬金術師には二つ名があったりなかったりとの噂ですわよ?】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】