第111話 撮影会3
『撮影会開始ですわ!』と言ったものの、開始して最初の数時間は予想通り人が全然来ませんでした。
フラッと立ち寄った方も数名いましたが・・・
「ん?劇やるんじゃないのか」
こんな感じの事を言った後に去って行きました。
そうしてそんな事が続いた後、大商人(願望)サマンサがとうとうシビレを切らしました。
「やっぱ当日の宣伝は効果出るの遅いわ!これはもっと積極的に動かなあかんわ!」
それまでは大人しく?声を出して『らっしゃーいらっしゃーい』とか言っていたのですが、あまりの人の来なささにウガーと吠えてしまいました。
とは言えです、実際に動くとしたら何をするべきでしょう・・・フラッと立ち寄った方が言われるように劇でもしたらいいのでしょうか?
それをサマンサへと言ってみると、彼女は少し考えた後にこんな事を言いました。
「先ずはそうやな・・・ウチラの着替えやっ!」
「・・・え?」
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「私が使用人の服を着るだなんて・・・新鮮ですわね!」
「私もスカートは久しぶりでございます」
「ええですやん2人共!特にお姉様は何着ても似合いますわ!」
いきなり『これ来てや!』と言われ使用人の服、まぁメイド服ですね(何故かミニスカでしたが)を来た私達の元へとサマンサも着替えて登場したのですが、何故か彼女は踊り子風の衣装を着ていました。
「あら・・・サマンサもお似合いですことよ?」
「おおきに!まぁウチは元から口にヴェールつけとるで、それも合わさってやな!逆に言うとこんな感じの衣装しかあわへんのやけど!」
サマンサは以前の事件により口元にマスクをつけたヤンキースタイル・・・ではなく口元にヴェールをつけて傷を隠しているので、確かにそれを合わそうと思ったら踊り子風の衣装は最適かもしれません。
という事は、同じように目元を隠したシーラやニーハイグリーブをつけたマルシアは・・・
「ふぇっふぇっふぇ・・・おまたせいたしました・・・」
「こ・・・この格好は少し・・・」
「シーラ・・・魔女みたいな笑い声が漏れてましてよ?マルシアは・・・グッドですわ!」
2人はどんな格好なのかと思っていたら現れました。
サマンサと同じく目元を隠す必要があるシーラはローブを被った魔法使い風、ニーハイグリーブをつけたマルシアはそれを誤魔化すために・・・何故かビキニアーマーを着ていました。勿論、記念に記憶君を使って映像は残しておきましたよ?
「後ついでやからモデルの人等も着替えて来てもろとるで?念のために色々衣装用意しといたけど、それが助けになったわ」
「どうせ撮影するならいい感じの衣装で!と思ったから用意しておきましたけれど・・・丁度良かったという事ですのね」
「まぁそういうことやね。・・・ちょいと大丈夫かコレ?いう衣装もありましたけど」
「オホホホ」
恐らくサマンサが突っ込んだのは私が用意しておいたセクシー系衣装でしょうけれど・・・撮影会と言ったら必要ですよね?
というか、映像を残しておくとなればそっち方面の目的のが強いだろうという事で、元からそういうつもりも少しあったのでセクシー系衣装は用意しておいたのです。ホストやホステスの方々を雇ったのもそういうつもりがあったからですし。
(いつの世も・・・いえ、どこの世もエロは強しですわ!)
「まぁ、それだけやったらあんまり変わらんかも知れへんけど」
「えっ!?」
サマンサは私の考えを見透かしているのか、そんな意見を言ってきましたが・・・駄目なんでしょうか?
「お姉様の考えも間違いではないとは思うけど・・・今って昼間やし場所もこんな場所やん?よっぽどのエロ親父しか堂々とこの場に来やへんで?」
「なん・・・ですっ・・て・・・」
サマンサのズバリとした意見に私も少し納得してしまいました。・・・ですがそれなら何故着替えさせたのでしょうか?
「ふっふっふ・・・・お姉様は次に『それなら何故着替えさせたのか?』って言う」
「それなら何故着替えさせましたの?・・・っは!?」
「お見通しですわ!ってまぁそれはエエとしてや、それを緩和させるために最初に言うとった劇を混ぜ込んだらええんとちゃうかと、ウチはそう思ったんや」
「成程・・・一理ありますわね・・・」
サマンサの考えてくれた事を聞いて納得した私は、正直今の状態だと駄目だと思っていたので早速その考えを実行に移す事にしました。
しかしです、劇をするなんて急にいっても『輝く星』や『夜の帳』の方々が了承してくれるのでしょうか?
「いいよ」
「はい、解りました」
了承してくれました。
「急に無理を言ったにもかかわらずお受けしてくれるなんて・・・」
「「まぁその分報酬を上乗せしてもらえれば」」
「あ・・・はい」
とまぁ報酬を上乗せする事で合意してもらった所で、早速どんな劇をするのかと相談することになったのですが・・・
「サレナ、砂漠の王子の話って知ってるよね?」
「あの冒険を繰り広げて精霊に認められたという話でしょうか?」
「そうそう。あの話をベースに・・・・」
「それならあれをああして・・・・・」
「ならここはこうで・・・・・」
と、この様にムラサキとサレナが知ってる話をベースに話し合いを始め・・・
『さぁ行こう!あのオアシスに眠っている精霊の元へ!』
「あ、お嬢さん、ここでこんな魔法をお願いします」
「解りました『闇の霧』」
『あぁっ!これはあの呪術師が施した罠っ!?』
即キャスティングと台詞が伝えられて劇が始まり・・・
『以上!砂漠の王子と精霊達の劇は終了です。次回は3時間となります。その間は役者達の撮影会が開かれます。詳しくは魔道具売り場の方まで』
「「「ワァァァァ!!」」」
「おい、撮影?だって!」「役者の姿をいつでも見れるようになるらしい!」「えっ!?あのエロいねーちゃんも?」「らしい」「私はあの方の姿を残しておきたいわ!」「かっこいいよねー!」「魔道具売り場行ってみよう?」
役者達の姿が撮影できると告知がなされ・・・
「押さないでー!並んでくださーい!」
「王子役のムラサキさんの撮影列はこちらになりまーす!」
「王女役のサレナさんの撮影列はこちらでーす!」
「男性の役者は・・・・」
「女性の役者・・・・・」
あれよあれよという間に広場には人が集まり、誘導員や販売員の手が足りなくなってしまいました。
それを見て慌てて追加人員を色んな所へと募集はしたのですが、直ぐに来るものでもないので私達も色々な所へと手伝いに行きました。
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と、そうしている内に新しく募集した応援が駆けつけた訳です。
「まさかここまで人が集まるとは・・・」
「ふぅ~・・・一休みや・・・まぁあれちゃうお姉様?宣伝用に外へ散らしたモン達のおかげでもあるんとちゃう?あとは単に街の人等が暇やったり、劇が良かったりしたんやな」
「かもしれませんわねぇ・・・」
「まぁ撮影会始まってからはエロ目的で人増えとる気もするけど」
「やはりエロは強しですわね!」
何とか応援が来て一息つけたのでサマンサと話していたのですが、ここで私は駄目押しを発動する事にしました。
「必要ないかも知れませんけど、役者さん達にお着換えさせてきますわ」
「まぁええんとちゃう?」
「ええ!もっとセクシーな衣装に着替えさせてきますわね!」
「え?」
私はサマンサにそういった後、バッシャバッシャと撮影されているムラサキやサレナ、その他役者の所へ行ってその様に指示を出します。
冒険者以外の役者はここで人気を出せば仕事にもつながると思ったのでしょう、喜んで着替えに行きました。因みに既に人気が凄くあるムラサキやサレナ達もサービス精神旺盛なのか、着替えてくれました。
そうした事により撮影会は更に熱狂し、大盛況のうちに終わりを迎えました。
勿論記憶君の売れ行きも絶好調で、最後には売り切れとなってしまうほどです。
「オーッホッホッホッホッホ!いいですわいいですわー!これなら記憶君の改造をして映画とか撮っても良さそうですわね!オーッホッホッホッホッホ!」
そんな事ですから私の気分も最高潮!高笑いもいつもより多めに出てしまいます。
「好調!校長!学園長!この調子でお金を稼いでいって色々な事に備えますわよー!オーッホッホッホッホ!」
とこの様に私はノリに乗っていました。
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「えー・・・オーウェルス君。君ね、街の警備隊から苦情が来ていましたよ?気をつけましょうね?」
「・・・はい」
「お友達もね、気をつけましょうね?」
「「「・・・はい」」」
学園長に呼び出されて怒られるまではね!
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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イイネ☆ブックマークがもらえると 私が映画王になりますわ。
マシェリーの一口メモ
【今回劇の元となった砂漠の王子の話は、この世界で実話としてあったそうですわ。真偽は不明ですけれどもね。】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】