第110話 撮影会2
11月も下旬になったよく晴れた日、この日が撮影会・・・というか記憶君の大々的な売り出し日でした。
「ん~!いい天気ですわね!」
「絶好の撮影日っちゅうやつやな?」
「絶好の撮影日かと言われると微妙ですわね?聞いた話によると、撮影はほんの少し曇ってるくらいがいいらしいんですのよ?」
「へぇ~」
私達はそんな事を言いつつ、今日の会場となっている街の広場に向かっていました。この広場、普段ですとストリートミュージシャン・・・ではなく、吟遊詩人の方や手品(魔法がある世界なので微妙なジャンル)をする方等が集まり芸を見せたりするのに使われているのですが、今日は私が手を回して貸し切り状態にしておきました。
そんな事だからかけっこう大き目の広場にはシーンとした静けさが漂っており、街の人も『今日は何にもないのかぁ』といった表情で足早に過ぎていく人ばかりでした。
「ん~・・・なぁお姉様、これちょっとまずいんちゃう?」
「何がですの?」
「あんまりにも街の人等が無関心ちゃいます?これ、このまま販売始めても微妙になりません?」
「そこは頼んでおいた方々の、モデルの皆様の力でなんとか・・・なりませんかしら?」
「怪しいかも知れへんな。と言うか今更気づいたんやけど、ビラとかも作っとらんですよね?」
「あ・・・忘れていましたわ」
私はこの撮影会を周知させる為に人を雇い、『あの広場で魔道具の販売します』とは宣伝させていました。
ですが結果のほどは聞いていませんでしたし、正直『こんな画期的なモノで画期的な商法!売れない訳がない!』とか思っていましたから、そういう宣伝にあまり力をいれませんでした。
しかし先程サマンサの話を聞いて、『やばっ?私の撮影会・・・人いなさすぎ?』と感じた事で、私の中に焦りの感情が生まれてきました。
「ど・・・どうしたらいいかしら?」
「・・・え?」
「・・・言われて気付きましたの。力を入れる方向を間違えたことに・・・」
「ええっ!?」
私が目を泳がせながらサマンサに言うと、彼女は物凄く驚き『あちゃー』といった感じになりました。
しかし彼女は歴戦の商人(雰囲気)、そこで諦めずに全員を近くへと呼び会議を始めました。
そうしてああだこうだと話し合った結果、『今から人を使い宣伝するしかないのでは?』と言う意見が出たので『それを採用しよう!』となったのですが・・・サマンサがフッと笑いました。
「でもあれやでお姉様、考えようによってはええかもしれへん」
「どういうことですの?」
「宣伝のしようによっては、これもある意味実演販売にならへん?」
「・・・あっ!確かにそうですわね!」
マルシアやシーラは『???』となっていますが私には解りました。つまり今から行う宣伝にも記憶君を使えばいいという事です。
それであっているかとサマンサに尋ねると、『そういう事や!』と言われたので会っていたみたいです。
「お、丁度モデルの人等が来たで手伝ってもらいましょうや」
そんな時、私が手配しておいた今日の撮影対象である方々が広場に現れたので、私達はその方々の元へと向かいました。
「ようこそいらっしゃいましたわ皆様。今日はよろしくお願い致しますわね」
「ああ、よろしくね」
「よろしくお願いします」
「・・・ヨロシク」
広場に現れたモデルの方々は結構な人数がいましたが、その中で3名が代表してあいさつを返してくれました。
私は再度来てくれた事への感謝を伝える事にします。
「今日は私の思い付きで発案した撮影会にモデルとして参加していただきありがたく存じますわ。『輝く星』『夜の帳』そして『チームレイラ』の方々に深く感謝を・・・」
撮影会をするとなった時に呼ぶといったモデルですが、私が最初説明した時はみんな驚いていたモノです。
なんせこの方々・・・ホストにホステス、そして冒険者の方々ですからね。
「ところで今日の魔道具なのですが、私達も購入することができるんですよね?」
「ええ。勿論ですわサレナ様」
私がサレナと呼んだ女性、この方はホステスクラブ『夜の帳』の今回のまとめ役である方で、私に負けず劣らずのドリルを引っ提げたボンキュッボンの女性です。
「ウチもこの魔道具の話を聞いた時ほしいと思ったんだよね。だから俺達も買わせてもらうよマシェリーちゃん」
「ええ、皆様の分の在庫は確保してございますので後で言ってくださればよろしいですわムラサキさん」
ムラサキは・・・まぁ説明するまでもないですよね。因みに今回は彼が『輝く星』のまとめ役です。
「ウェーイ☆ありがとねマシェリーちゃーん」
「ええ(にっこり」
見かけによらない男、天使ペガサスも居ましたね。・・・というかこの方、通常だとちょっとだけ扱いに困るんですが?
「なぁ・・・やっぱり今からでもやめていいかい?」
「受けた依頼はキチンとやり遂げなきゃいけませんわよレイラ。Bランクの名が泣きますわよ?」
依頼をとして受けたもののの直前になって『あたしなんか撮っても・・・』とひよっているこの女性はBランク冒険者であるレイラ。記憶君の素である記録球を撮りに行った時に依頼を受けてもらった方です。
因みにですが今も定期的に依頼を受けてもらっていて、今回は同じく定期的に記憶球の採取を頼んでいる方達にも来てもらっています。・・・どうでもいい情報として全員女性という事を付け加えておきましょう。
「っと、皆様、挨拶も程々ですが追加でお仕事を依頼してもよろしいかしら?」
全員とサラッと話した後時間もあまりないので本題を話し、宣伝用の映像を撮ってそれを街のあちこちで見せて客寄せしてほしい事を頼むと、そういう事を得意とするお兄様型お姉様方が任せろと言ってくれました。
「まぁ本業みたいなものだしねーウェーイ☆。まぁ俺が適当に人選んでいってくるとしますわ。良いですよねムラサキさん?」
「ああ、たのんだペガサス」
「ペガサスさん、ウチの子達もお願いできる?」
「ウッス!了解っすサレナさん!」
「あ、ペガサスさん?宣伝用の映像ですが・・・コレコレコウイウ・・・感じのを撮ってくださる?」
「・・・アクドイなーマシェリーちゃん。ってまぁだからこそのこのモデル達なのな」
「レイラ達冒険者は違いますが、アナタ達はまぁ・・・そうですわね」
「そりゃ確かに知りさえすれば売れるわコレ!っし、まかしときなー!ウェーイ☆」
私は宣伝隊長になったペガサスさんに軽く指示をしてから、他の方にも指示を出して撮影会の準備を進めて行きます。
「そうそう、その装置をそこら辺に設置してもらって・・・そうですわ。で、モデルの方はこの辺に居てもらうので目印を・・・レイラ!貴女は宣伝に街へと行かなくてもよろしくてよ?あちらで着替えていらして?」
「うっ・・・わかったよ・・・」
途中逃亡しようとしたものへとちゃんと釘も差しながら着々と準備を進め、そうして小一時間程経った時、会場の設営が終了し・・・
「よし!ではいよいよ・・・撮影会の開始ですわ!」
漸く待ちに待った撮影会が始まりました。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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イイネ☆ブックマークがもらえると ウェイさんをTSさせてレギュラー化させますわ。
マシェリーの一口メモ
【ビラは転写の魔法があるので比較的簡単に作れますの。しかしそのくせ実演販売等は無いという、不思議世界なロマンスワールドですわ。】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】




