第107話 後夜祭2
ここで因みにですが皆様、ダンスと言われるとどのようなモノを想像されるでしょうか。
ジャズ?サンバ?それともブレイクダンス?
まぁダンスには他にも色々あり、想像するダンスは人それぞれかと思います。
でもロマンスの様な剣と魔法ファンタジーにありがちな『中世ヨーロッパ風の世界』となれば、大体はワルツやタンゴといった社交ダンスになるのではないでしょうか?
しかしです・・・あえてロマンスというゲームは、『後夜祭にはこれだろう!』という事でフォークダンスを採用したみたいなんですよね。
そう、あれですよ。『マイムマイム』とか『オクラホマミキサー』の、輪になって踊ったり、次々に相手を入れ替えて踊っていく、ああいうダンスです。
まぁ、完全に『マイムマイム』や『オクラホマミキサー』と同じではなく、それは似て非なるダンスでしたが、『輪になって踊る』や『踊る人が変わって行く』といった特徴は同じでした。
なので・・・
『~~~・・~~・・・~~~~~』
「あっ・・・もう終わりですか・・・」
「へへっ・・・次はウチの番や」
『~~~・・~~・・・~~~~~』
「短い・・・短いで・・・ほんま・・・」
「うふふ・・・次は私です・・・」
『~~~・・~~・・・~~~~~』
「・・・あぁ・・・もう終わり・・・」
「次は私ですね。お願いいたしますねお嬢様」
この様に、私達は相手を次々と変えながら踊っていました。
(んんんん・・・美少女達とお手手繋いでるんるんとダンス。予想以上に楽しいですわ)
そして私はというと、頭の中でこんな事を考えながら踊っていましたが・・・まぁ仕方ないですよね?本当の事ですもんね?
(オホホホ。よろしくってよ~よろしくってよ~!・・・でも、次からは知らない人ですわね)
私は頭の中でウハウハと笑っていましたが、あくまでこのダンスは人をドンドン変えて踊って行くダンス、知り合いと踊った後は知らない人とも踊ったりします。
まぁ幸いにも男女を分けて踊っているとかではないので、相手が再び美少女になるという可能性もなくはないのですが・・・
(えぇっと次は・・・ん~!残念!男性でしたわ!その次は~・・・暗くて見えませんわね)
残念な事にそうは問屋が卸さない様でした。しかし暗くてわかりませんが、次の次の方は美少女の可能性もあるので、気を落とさずに行きましょう。
『~~~・・~~・・・~~~~~』
と、その時音楽が変わりノワールともお別れの時となりました。
「あぁお嬢様・・・お嬢様ぁぁぁ」
「いやいや・・・別に今生の別れじゃあるまいし、大袈裟ですわよノワール」
「・・・まぁそうですね。それではまた後で・・・」
とノワールを見送った後、次の方・・・見知らぬ男性へと相手が移りました。一応知らぬ方なので挨拶をしておくかと思い、声をかけます。
「よろしくお願いしますわね」
「デュフッ!よろしくなんだな!オイラはモレラって言うんだな」
(キャラ濃っ!)
声をかけた相手は・・・物凄くキャラが濃いお方でした。
喋り方もそうなのですがビジュアルも濃く、何故かバンダナと指ぬき手袋を装備し、グルグル眼鏡でチェック柄のシャツをズボンにインという、『貴方地球の方?』と言いたくなるような出で立ちをしていました。
「デュフッ!君、超可愛いんだな。巻いた髪も似合ってて、凄い素敵なんだな」
「ありがとう存じます。貴方も・・・その・・・センスがいかしてますわね?」
「デュフフッ!ありがとなんだな!」
(濃いっ!チェンジっ!チェンジですわっ!)
特段悪い人ではなさそうなのですがそのキャラの濃さに私の頭がパンクしそうになった時、急に辺りが暗くなった事に気付きました。
「オホホホ・・・あら?なんだか暗く・・・」
「デュフッ!?だ・・・大丈夫なんだな!慌てず焦らず落ち着いて!なんだな!」
「え・・・ええ」
『ダンス中の皆様申し訳ありません。現在トラブルにより明かりが不調となっております。しかし最低限の光量は確保されておりますので、そのままダンスの続きをお楽しみください。トラブルが直り次第、光量は元に戻させていただきます』
大分暗いなぁと思ったら、どうやらトラブルにより明かりの魔道具の光量が落ちているみたいでした。
ですが確かに案内の通りに点々と灯っている篝火のおかげで最低限には辺りが見える様でした。・・・しかしです、暗くなったせいか次の相手がどんな方かの確認は出来なくなってしまいました。
(ん・・・まぁ仕方ないですわね。次の方を楽しみにしてダンスを続けますか)
そうして割り切った後踊っていると音楽が切り替わり、モレラと名乗ったキャラの濃いお方とお別れとなります。
『~~~・・~~・・・~~~~~』
「デュフッ!ありがとだったんだな!」
「ええ。こちらこそモレラ様」
(・・・ふぅ、次は薄味の方だとよいのですが)
モレラのキャラの濃さと明かりのせいで次の方の確認が出来ていませんでしたが、次はそこまでキャラの濃くない方、若しくは美少女だといいなと思い手を差し出すと・・・その手の感覚は豆があるモノのほっそりと滑らかで、『これは女の子の手!』という事が瞬時に解りました。
なので私は体をふらつかせた体でその方へと密着する事にしました。
「あっ・・・と、ごめんあそばせ?暗くてふらついてしまいましたの」
(あぁ~前の方の濃さにやられてしまいましたわ~。・・・って事で仕方ないですわよね?)
ええ、決して『わーい!女の子だー!』と欲望が暴走して体を密着させた訳ではなく、前の方にやられてしまったのでふらついてしまっただけです、ええ。
「あ、いえいえ。大丈夫で・・・」
「どうしましたの?」
私は密着のどさくさに紛れてその方を抱きしめもしたのですが、その方からの反応が何故か不思議な反応でした。・・・もしかして知り合いだったりしたのでしょうか?
(でも知り合いって言ってもイリアスくらいしか・・・あ、若しくは向こうが一方的に知っているだけかもしれませんわね。私ってば有名人ですし?・・・ん?この匂っているとついつい手を出したくなるような香りは・・・っは!?)
私は漸くその密着している方が誰なのかを気づき、そろりそろりと顔を上げてみると・・・
「イリス・・・」
「どうも・・・マシェリーさん・・・」
その相手はイリスでした。
『~~~~~・~~・・~~~~~』
「あ、音楽続いてますよ。踊りましょう?」
「え・・・ええ。そうですわね」
相手がイリスだと解ると流石に気まずく、あまりべたべたしない様に手はふんわりと握り、顔は反らしめにして無言で踊っていると、意外にも向こうの方から喋りかけてきました。
「ダンス・・・楽しいですね」
「え・・・ええ」
「・・・私とじゃ楽しくないですか?」
「そっ・・・そんな事はありませんわよ?」
そうです、ただ何となく気まづいだけで楽しくない訳じゃないのです。・・・寧ろ、イリスと踊っていると何故だか童心に帰ったかのように懐かしいまであり・・・何となく、昔同じように踊ったあの子の事まで思い出しました。
(あ~・・・ありましたわねぇ・・・若き日の青春・・・って、私は今も若いし青春中ですわよ!?)
思い出に浸って1人でボケ突っ込みをしていた時、イリスがポツリと言葉を呟きました。
「そうですか。ちなみに私は、何故だかとっても楽しく、嬉しくなります」
「そう・・・」
「はい」
何と返していいかと困ってしまい、それより先無言で踊り続けていると、曲が切り替わり相手も切り替わる時が来ました。
『~~~・・~~・・・~~~~~』
「それではありがとうございましたマシェリーさん」
「ええイリス」
踊っている時は気まずい様なむず痒い様な不思議な感じでしたが、終わるとなるとなんだか名残惜しい気もしてくるので不思議なモノでした。
しかし踊りの流れを止めるのも良くないので視線を切って別れ様とした時・・・
『xxx・・・。xx。・・・xxxx』
再び前世の思い出がふと頭に浮かび・・・
「ふんふんふ~ん、ふ~ん」
「あら・・・その声に、その見覚えのある輝く瞳は・・・」
「輝く瞳なんて・・・そんな・・・」
頭に何か思い出が浮かびそうな時、鼻歌が聞こえて来たのでそちらに意識が行くと・・・出て来た相手はイリアスでした。という事は、どうやらイリスのグループが固まっている所に当たった様です。
「何を言っているの、ほら、こんなに綺麗に輝いているじゃありませんの」
「ひょえっ!ちょ・・・ちょっと密着し過ぎでは!?」
「オホホ・・・良いではありませんの・・・良いではありませんの・・・」
先程の事は頭からふっと消えてしまったので気持ちを切り替える事にした私は・・・イリアスへとグイグイ迫る事にしました。
正直、最近イリスグループに取られかけているので、『貴女は私のモノ!』という事をアピールしなくてはならないと思ったからです。
「ちょ・・・マシェリー様!そんなにくっ付いたら踊れませんんん!」
「オホホホ!踊れますわ!ほらほら!」
「ひょえぇぇ・・・!」
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と、こんな感じでイリスと不思議な感じになったモノの、後夜祭自体は楽しく過ごす事が出来ました。
しかしです、そうして学園祭が終わった後は私、いえ、私達にとって大変な季節になる事を・・・私は忘れていませんでした。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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イイネ☆ブックマークがもらえると 私の笑い方がデュフフッになりますわ。
マシェリーの一口メモ
【体育祭と言えばフォークダンスというのはあくまで作者個人の意見ですわ。意義、異論はみとめますわよ!】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】