第106話 後夜祭1
「・・・ふぅ・・・はぁ~」
学園祭の3日目の16時頃、既に遊びに遊びつくした私はお茶を飲みながらため息を吐いていました。
「どうなされましたかお嬢様?お茶の方に不備でもございましたか?」
「いえ、違うのですわノワール。学園祭がもう終わりだと思うとね、こう・・・お祭りが終わっちゃうぅぅ・・・みたいな感じがして・・・」
「成程」
そうなのです、今日は学園祭の最終日。つまりはお祭りの終わりの日という事です。
なので私のテンションはダダ下がりとなっている訳ですね。
「はぁ~・・・」
「ため息何てついてどないしたんお姉様?」
「あら・・・サマンサ。ごきげんよう」
「ごきげんよーっ!ってテンションひっくいなぁ・・・」
「お嬢様はお祭りが終わりだと嘆いていらっしゃるのでございます」
「あ~・・・そういうことな」
私がため息をついていると、いつの間にか一旦自分の部屋へと帰っていたサマンサが部屋に来ていました。そうなると流石にこれ以上ため息ばかりついている訳にはいかないと思い、私はお茶を一気に飲み干して大きく息を吐き、気分を入れ替えます。
「ま、終わりは何事にもある、ですわね。・・・そうとなれば、よろしくてよ!・・・って、後は閉会式があるだけだから、気合を入れてもなにもありませんでしたわね」
「やね」
「でも、元気があるに越した事は無いですわよね?という事で・・・オーッホッホッホ!」
「ごきげんようお姉様・・・って、何かありましたか?」
「・・・ごきげんよう・・・何か凄く元気ですね・・・ふふふ・・・」
「あー、あれやって。学園祭が・・・・・」
私が気分を入れ替えれたところでマルシアとシーラも来たみたいで、私がいきなりハッスルしていることに吃驚していました。
そんな2人にサマンサが先程あった事を教え、『今は空元気タイムや』と言うとマルシアがこんな事を言いました。
「お忘れですかお姉様、まだ後夜祭があるではないですか?」
「・・・そう言えばありましたわねそんなの」
「あれ?後夜祭にはあまり興味はないのですか?」
「ん~・・・」
マルシアに言われて思い出しましたが、確かに学園祭には後夜祭というモノがあります。
しかしですよ?ロマンスの中で学園祭の後夜祭と言えば『攻略対象』のスチルをゲットする場所でしかないんですよね。
(仲良くなった攻略対象を誘って後夜祭あるあるのダンスでスチルを一枚ゲット。・・・うーん、乙女ゲー要素はあんまり必要でなかった前世の私にとっては、唯のスーパースキップタイムだった後夜祭。・・・正直アイテムとかもゲットできなかったし、本当にスキップした思い出しかありませんわ)
一応一度だけ人とプレイしていた時に見た覚えがありますが、正直内容は左から右へと抜けていたので、やはり全然記憶にありません。
なのであんまり興味が無かった・・・というか、存在を忘れていたのですが、そんな私の反応を見てマルシアがズズイっと顔を近づけてきました。
「お姉様、後夜祭はですね、いい感じにムーディーな明るさの中でダンスをするわけですよ・・・」
「ええ。それは知っておりますわよ?」
「そのダンスはですね、別に男女で行う訳ではなく、女性同士でも問題が無いダンスなんですよ・・・」
「な・・・成程?」
「それでですね・・・私、というか私達はですね・・・結構楽しみにしていたわけですよ・・・お姉様と一緒に踊るのを!」
「あ・・・あー・・・そういうことですのね」
私が興味なかった後夜祭のダンス、マルシア達はどうやらこれを楽しみにしていた様なのです。
(ふむ・・・でも確かに言われてみるといいかもしれませんわね?ゲームでは『何が面白くてこんなの見るんじゃ!スキップスキップ!』とかやってましたが、現実の今ならば盆踊りとかそういうお祭りの踊りに参加するといった感じになりますものね)
よくよく考えてみるとそんな事を思ったので、私は後夜祭について前向きに考えてみました。
その結果・・・
「オーッホッホッホ!いいじゃありませんの後夜祭のダンス!るんたった~るんたった~」
超絶気分が乗って、超ハイテンションになってしまいました。
「乗り気になってくれてよかったです」
「ええ!考えてみたら後夜祭もお祭りですもの!楽しくない筈がありませんわ!」
「・・・見事な手のひら返しや」
「私の手は髪型同様ドリルですのよ!オーッホッホッホ!」
「いや、それ自分でいうんかいな・・・ってお姉様、そろそろ閉会式の時間ちゃいます?講堂いかな」
「あら、そうですのね。じゃあ行きましょうか!るんたった~るんたった~」
ハイテンションになった私には怖いものなどなく、学園長の長い長ーい締めの言葉も『うんうん!深いお言葉ですわ!』といった感じで楽しく聞くことが出来、気が付いたら後夜祭開始の合図を聞いていました。
「あら?何時の間に?」
「何時の間に言うたら、お姉様がふわふわになってるんるーんって言っとる間にですけど?」
「オホホホ、そうですのねー。っと、まぁいいですわ。それで?ダンスは何時から始まりますの?」
浮かれ過ぎていた私は話を聞いている様で聞いていない状態だったので、これからの予定がさっぱりと解りませんでした。
なのでそれを聞いてみると、どうやらダンスはもう少し後との事でした。
「それまではあっちのステージで何かやるから見たり、そこらの出店で何か買ったりして楽しんでね、やそうですわ。因みに出店は外の人等がやっとるみたいですよ?」
「へぇ~」
後夜祭は『お疲れさまでした!』という意味も兼ねているらしいので、後夜祭の催しは一部を除き学園生以外が行っているとの事。・・・因みにですが、ダンスの時の演奏なども外の人が行うみたいです。
「ふむ・・・でしたらダンスが始まるまでは何か食べると致しましょうか。夕食も食べておりませんし」
まだ少し時間があるとの事だったので私がその様に提案すると『賛成』という言葉が帰って来たので、私達は出店を回る事にしました。
外の人がやっているというだけあってジャンキーな食べ物が並んでおり、私達がキャッキャ言いながらそれらを食べていると・・・
『~~~・・・~~~~』
「音楽?」
「あ、ダンスが始まるんとちゃいます?」
「ふんふん・・・どうやらその様ですね」
「ふふ・・・ようやくですか・・・あ・・・でも未だ買った物が残ってますね・・・」
「残りは私の方で保管させていただきます」
「ええ、頼みましたわノワール。それでは皆様、行きましょうか」
「「「おー!」」」
何時の間にやら時間が結構経っていた様で、ダンスの為の音楽が鳴り始めたのに気づいた私達はダンスを行う場へと向かいました。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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マシェリーの一口メモ
【学園長の深いお言葉一部抜粋すると『えぇ~~~で、あるからして、我が学園生達が自分達で考え自分達で実行したモノこそ、掛け替えのない宝であるからして~』というようなありがたい話をずっとしていましたわ。深いお言葉ですわよね?】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】