表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/255

第105話 学園祭6

「こんにちはムラサキさん。それにマシェリーさん。今日はとてもいい天気で、絶好の学園祭日和ですね」


「やぁイリスちゃん。元気そうだね」


「ええ、お陰様で」


 イリスの様子は静かな湖の水面の様に凪いでおり、その様子はまるで賢者の様でした。・・・いえ、ちょっと待って下さい。


「所で、2人はお知り合いですか?」


「ん?まぁそうだね」


「へぇ。確かに仲が良さそうですもんね(ピキピキ」


(あ、これ賢者じゃないですわ)


 どうやらこの修羅、感情がバーストして静かに見えるだけの様です。


(やばいですわね・・・このままにすると落ち着いてきていたイリスが再び荒れてしまいますわ。バイクを盗んで走り出すかも・・・あ、バイクなんてありませんでしたわね)


 咄嗟の事に頭が回らなくなってしまっていた私がおかしな事を考えていると、ここで何故かあの男が動きました。


「ウェーイ☆イリスちゃんチョリーッス!おひさー!」


(ちょ・・・ペガサース!今はそんなこと言ってる場面じゃないですわよ!)


 まさかの翼付けしお祭り大好きホストが会話に割り込んできたのです。


「あ、どもです」


 イリスとしても『お前は御呼びでない!』といった雰囲気を出しており、対応も超絶塩対応でした。

 しかしこの翼付け(ry、塩対応されたにも関わらずイリスにグイグイと迫って行ったのです。


「ちょ、超塩じゃん!そんな顔してると折角の日にもったいないよー!?」


「はぁ」


「こんな日はすました顔より笑顔を見せなきゃ!あ、それでちょっと面白い話があるから話したいんだけど!」


「いえ、いいです」


「そんなこと言わずにさー!ほんのちょっと!1分!小話だから!」


 こんな具合でグイグイグイグイとイリスへと迫り、遂には「・・・はぁ、ちょっとだけですよ」とイリスを折らせてしまいました。


「ウェーイ☆ありがとちゃーん!んじゃちょっと、コレ俺のマル秘ネタだからあっちで話すね!あ、大丈夫!聞こえない程度に離れたらいいから!」


 そして翼(ryは私達に向かって「ちょっとだけイリスちゃんとお話ししてきまーす。あ、先輩ちゃんと待っててくださいよ!?」とだけ言って私達から少しだけ離れ、なにやらイリスと話を始めました。


「あー・・・ごめんね。ペガサスってちょっと空気読まないところがあってさ」


「オホホ・・・大丈夫ですわ、ええ」


「イリアスちゃん達もごめんね?」


「あ、いえいえー」


 翼(ryの行動にムラサキは謝罪をし、その後軽い雑談を振ってきました。そのトーク力は流石ホストと言わんばかりの話しっぷりで、初めて会うはずのグウェル殿下達とも和やかに話し合っていました。


「オホホホ・・・」


 そこに私も加わって話をしていたのですが、いかんせんイリス達の方が気になってしまい、何とか話を聞けないものかとチラチラ見てしまいました。

 するとその様子に気付いたのか、ムラサキがこそっと私にだけ聞こえる様に話してきました。


「あー、あれでペガサスも結構魔法の腕はあるから、話とかは聞こえないと思うよ」


「そうですの」


 そういえばあれでもCランク冒険者の資格があるとかそんな事を聞いた覚えがあるのを思い出します。・・・人は見かけによらないんですねぇ。

 そんなこんなでイリス達の方を気にしつつもムラサキやグウェル殿下達と雑談を続けていると、話が終わったのかイリス達が戻ってきました。


「ウェーイ☆おまたせぇー!もう俺の話でイリスちゃんも大爆笑でニコニコよ!」


「・・・」


 連れ経って戻って来た2人の様子は正反対で、『いやいやそんな訳はないだろう』と誰もがそう思いましたし、私も『いやいや、イリス無表情なんですけれど?』と思っていたのですが・・・


「ふふ、大爆笑はしてませんよ?」


「あれー?そうだったー?」


 いきなりイリスはフッと笑い、笑顔で翼(ryに話しかけていました。その様子にムラサキ以外が『!?』となり目を白黒させていると・・・


「あー、なんだかお腹が空いてきちゃいました。リア、美味しそうな所見つけたって言ってたよね?行こ?」


「あ、はい」


「それじゃあ皆さん、またー!あ、学園祭楽しんでくださいねムラサキさんにペガサスさん」


 そんな事を言ってイリス達は去って行ってしまいました。・・・一体何があったのでしょうか?

 余りの事に私がポカーンとしていると、翼をつけた男がススッと寄って来て私に囁いてきました。


「あーっと・・・何かイリスちゃんがマシェリーちゃんに対して良く思ってなかったみたいだから取り成しておいたんだけど・・・良かった?」


「・・・え?」


「まぁムラサキさんの事について宥めるついでって感じだったんだけどさ・・・」


 どうやら話を聞くとこの翼をつけた男・・・天使の様です。あ、いえ、天使の様に良い人間の様です。

 どうやら小話とか言ってイリスと2人になった後、ムラサキの事をイリスに謝っていたそうです。

 何を話したかは詳しくは教えてくれませんでしたが、それによってイリスからムラサキへの複雑な感情は和らぎ、同時に私の事に対しても適当に話を合わせて取り成してくれたみたいです。


「ま、そういうことで・・・ムラサキさーん!続きまわりましょー!」


「ん?ああ。それじゃあ可愛子ちゃん達、またね」


「皆!よかったらまた店に来てねー!オナシャーッス!」


 天使ペガサスは話す事は話したと言った感じで私から離れ、ムラサキの方へと寄って行き・・・そのままムラサキと天使ペガサスは去って行きました。

 そうして2人が去って行ったあと、私はついつい呟いてしまいましたね。


「人は見かけによりませんわねぇ・・・」


 と。


 ・

 ・

 ・


 そんなこんながありましたが、あの後私達は色々な場所を回り学園祭2日目を満喫しました。

 そうして満喫し終わって自室でくつろいでいると、部屋へと訪問者がやってきました。


「こんばんわー!」


「あらイリアス?どういたしましたの?」


 どうやらイリアスはあの後の事を報告しに来てくれたみたいだったので、お茶を飲みながら話を聞く事にしました。

 そうして聞いたところによると・・・


 最近稀に見る機嫌の良さで、グウェル殿下達も『情緒が昔の様に戻った』と言っていた。

 ふとした瞬間ボーっとする事があったが、今日はそれが無かった。

 イリアスと2人になると愚痴をいう時があったが、それも無かった。


 との事でした。


「まぁそんな感じなので、いつぞやイリスさんを元に戻すって言ってましたけど、もう大丈夫かもですね」


「・・・」


「如何しましたマシェリー様?」


 私はイリアスの話を聞いて思った事があったので、それをイリアスへと伝える事にしました。


「イリアス・・・」


「はい?」


「今度また『輝く星』に行って天使ペガサスに高いお酒でも入れてあげて下さる?費用は渡しますわ」


 思った事とはズバリ、天使ペガサスの事です。だってイリアスの話と天使ペガサスが話してくれた事を考えると、イリスの変化は確実に天使ペガサスのおかげでしょうからね。


「・・・え?あ、はい、解りました?」


 そんな私のお願いにイリアスは『?』となりながらも了承をしてくれた後、この後もイリスの様子を見てきますと言って帰って行きました。

 そうしてイリアスが帰った後、私は天を仰ぎながら心の中で『天使ペガサス、本当にありがたく存じます!今度会ったら一杯おごりますわ!』と呟きました。

 ・・・因みにですが、それだけ感謝しているならば店に直接言って言えばイイと言う意見には、ホストクラブはもうお腹いっぱいなのでいいですと返しておきます。



 とまぁ魔王を見かけたり修羅を見かけたりと色々ありましたが、こうして学園祭2日目は過ぎていきました。



 マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「奴は天使だったのか」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いですの。

 イイネ☆ブックマークがもらえると 私も天使になりますわ。


 マシェリーの一口メモ

 【何時もウェイウェイ言ってる人も、実はいい人だってこともあるってことですわね。】


 マシェリーより宣伝

【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。

最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/

よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ