第103話 文化祭4
ロマンスは基本的には乙女ゲー、つまり恋愛シュミレーターゲームです。とどのつまり、好感度を稼いで対象と仲良くなるゲーム。
所でいきなり話は変わりますが・・・結婚もしくは婚約するとなった時、相手に何かを贈るとしたら皆様は何を思い浮かべるでしょう?大体の人はあれを思い浮かべると思います。
そう・・・『指輪』です。
地域によっては違うモノかもしれませんが、大体の人に聞くとそう答える筈です。
話をロマンスに戻しますが、ロマンスにも仲良くなった攻略対象にある指輪を贈る事ができます。・・・因みにロマンスはRPG要素も入っておりますので、指輪を渡す事により能力値も多少アップします。とそれは置いておきましょうか。
つまり何が言いたいか。まぁ勘のいい人なら大体解ったと思いますが・・・
そうです。私はそのアイテムをゲットしてしまったのです。
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とまぁ、このアイテムを手に入れた経緯や場所を思い出してみたモノの、結局何故あんな場所で掘り出し物としていたのかはさっぱり解りませんでした。
「お姉様それがそんなに気にいったんです?」
「ふふ・・・先程購入してからずっと見ていますよね・・・」
「まぁ・・・ええ」
私がこの『ペアリング』(本物)を購入してから流通研究サークルの部屋を出る今の今ままでずっと見ていたのに気づいた2人は、私がこれを凄く気に入っているから見ていたのだと勘違いしていました。
(本当の所は別に気に入ってるから見ていたわけではないのですが、それを言うと説明が面倒になりますからね・・・。しかし・・・ん~・・・これって正規ルートだとストーリーで手に入れるんでしたわよね?確か・・・)
『ありがとうございましたー』
「んむ。吾輩色々買えて大満足である」
(そうそう、確かあんな感じのオジサマの依頼をこなした後に報酬としてもらう・・・って!えっ!?)
私が考え込んでいると丁度流通研究サークルの部屋から1人の貴族っぽい方が出て来たのですが・・・その方は正に、報酬としてこのアイテムをくれる筈の人物でした。
(あら?あららららら?まさか・・・)
「んむ?どうしたのであるかお嬢さん?吾輩に何か用でも?」
「あ、いえ。何でもないですわ。唯ダンディーなオジサマだなと思っていただけですわ!オーッホッホッホッホ!」
「そうであるか?ありがとうお嬢さん。おっと・・・では吾輩はこれで!待ち合わせに遅れるのである!」
その貴族っぽい方の事を目をひんむいた状態で眺めていたら声をかけられてしまいましたが、何とか誤魔化しました。・・・やれやれ。
(・・・やれやれついでにこのアイテムも見なかったことにしておきましょうか。ええ、そうしましょう)
何となくまたやらかしてしまった気がした私は、それ以上考える事を止めて帰る事にしました。・・・後の事は未来の私がどうにかしてくれるでしょうと信じながら。
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「オ~ッホッホッホッホ!学園祭2日目ですわ~!今日も楽しみますわよ~!」
「起き抜けから大変機嫌がよろしゅうございますねお嬢様。何か良い事でもございましたか?」
「何もないですわ~!ええ、何も~」
「そうでございますか?ならこちらへ、兎に角朝のご用意を致しましょう」
「ええ」
昨日何も問題が起こる事無く学園祭を楽しんだ筈の私は、今日も元気いっぱいでした。ええ、何も問題は無かったので元気リンリンですよ。
そんな私はノワールに身だしなみを整えてもらい、軽く朝食を取った後は部屋にて待機です。
「今日は学園長の長い話を聞く事も無いので良い日ですわね」
「ですが明日には再び閉会式で聞くことになると思われます」
「・・・ですわね」
学園祭初日ですと一旦講堂に集まってから開始となりましたが、2日目である今日は9時になれば自動的にそれぞれのクラス・サークルが店を開いてスタートとなります。
なので1年生である私達は、それまでは部屋にて待っているくらいしかする事がないのです。
そうやって部屋でお茶を飲みながらのんびりしているとサマンサ達が部屋に来たので、一緒にお茶を飲みながら待つことにします。
するとアッという間に9時になったので・・・
「いざ!出陣しますわよ!」
私達は学園祭へとくりだす事にしました。
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学園祭2日目、この日にはフレッドは既に去ってしまっているので案内の必要はありません。なので、本日はマルシアも私達と一緒に学園祭を回る予定となっております。
そして昨日の内にマルシアがイリス達の2日目の計画を調べ出してくれたので、私達と回る先が被る事も無くなっているのでのびのび遊べます。・・・まぁ多少被っていても全然問題はないのですが。
(なので今日も何の気兼ねもなく遊べるぞ~!・・・と思っていましたのに!何でいますのよ!?)
「へぇ~・・・今の学園生はこんなものを作ってるんだ・・・。ふむふむ・・・なるほど・・・これがこうで・・・あー、でもあれは無いのか・・・まぁ・・・」
現在私達が居るのは『魔道具研究サークル』の部屋なのですが、そこには何故か・・・黄の魔王であるマクシムが居たのです。
「ん?あの人知り合いなんお姉様?」
「しっ!あの方は・・・」
以前にイリスをつけた時はノワールと2人でしたので、私達以外は彼の事を知りません。
なのでマルシア達に彼の事をこっそりと説明しました。
「えっ!?そうなん?」
「名前は知っていましたが・・・なるほど、あの方が・・・」
「ふふ・・・一見唯の研究員の人みたいです・・・」
「ですが騒ぐと邪魔になりますし、気づかないふりをなさってね?」
「「「はーい」」」
マクシムもキャーキャー言われたくはないでしょうから、私は皆にそう注意だけして気づかないふりをしつつ部屋を回ります。
しかし・・・
(何故マクシムが学園祭に?いやいや、別に来てもいいんですけど、攻略対象ってあくまでイリスが誘ったら来るとかじゃないんですの?)
初登場が学園祭のフレッドはともかく、他の魔王はイリスが誘ったら『じゃあ行くとしよう』とか言って来るのだと思っていましたが、どうやらそうではない模様?
そりゃぁ魔王と言えど人間ですのでお祭り位には来るかもしれませんが・・・ゲームと大分ズレが・・・。
(いえ、もしかしたらイリスが誘っていたりするのかしら?)
「ねぇマルシア?」
実は私が知らないだけでイリスが誘っていたりするのかと思い、昨日一緒に居たマルシアに尋ねてみますが、彼女は何も聞いていないと答えました。
だとすると話題に出さなかっただけで実は誘っていた、その可能性はあるという事ですね。
「だとすると、黄の魔王ルート?・・・でも彼女は大分グウェル殿下と仲がいいですし・・・そうなると・・・」
『魔道具研究サークル』の部屋を出た後、ブツブツとそんな事を呟いきながら歩いていると・・・
「ひょへっ!」
突然、私の脇腹に電流が走りました。
「あ、メンゴメンゴやお姉様」
どうやらサマンサが私の脇腹を突っついたみたいです。
「お・・・お嬢様!私もよろしいでしょうか!?」
そしてノワールはそれを見て、私の脇腹を突っつきたくなったみたいです。
「よろしくないですわノワール。・・・で、一体何でしたのサマンサ?もしかして貴女も唯単に私の脇腹を突っつきたかっただけでしたの?」
が、勿論それは却下しておいて、一体何の様だったのかとサマンサに問いかけると「いや、突っつきたくはあるけど、あれ」と言って前方を指さしました。
「あれ?・・・あら?確かに何かザワザワしていますわね?何かしら?」
その指し示した先には人が集まり、なにやらザワザワと騒がしい雰囲気になっていました。
「もしかしたら昨日一日で凄く人気が出たスイーツとかかもしれませんわよね?気になりますわ!・・・ゴーサマンサ!」
「まかせてや!」
何となく気になった私は、サマンサにゴー!と言うと、ノリがいい彼女は「ウララー!」と言って騒めいている人波の中へと突っ込んで行きました。
そんな彼女に慣れている私達がゆっくりこんと待っていると・・・
「お姉様!」
サマンサが『信じられないものを見た!』とでもいうような形相で戻ってきました。
「どうしたんですの?」
「ぺ・・・ぺ・・・」
「ぺ?」
「ペガサスが居った!白くて羽が生えとった!」
「は?」
(えっ!?ペガサスってラスト位に出て来るやばいモンスターですわよ!?)
どうやら、本当に信じられないモノが居た様です。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「ペアリング・・・?」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いですの。
イイネ☆ブックマークがもらえると 星型やハート型のペアリングが登場いたしますわ。
マシェリーの一口メモ
【夏合宿にも出て来た『ペアリング』、実は実在したモノでしたのよ?まぁあの時のあれは偽物でしたけどね!】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】