第102話 学園祭3
「えぇ・・・何でこれがこんな所にありますの・・・」
何故かこの時点ではある筈のないあるアイテムを手に入れてしまった私はソレラを手に持ち、ワナワナと震えていました。
「いやでも・・・私が使ったところでどうにかなるのかしらコレ?というか、流石にゲームの時の様な効果は出ないですわよね?」
ソレラを裏返してみたり、宙にかざしてみたりしてしげしげと眺めます。・・・いやしかし、本当に何故これがこんな所で?
(うーん・・・これを手に入れた場所にヒントが・・・?)
私は取りあえず、これを手に入れた場所・・・いえ、手に入れるまでの経緯から思い返してみる事にしました。
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『次は~・・・21番。21番です』
『『ビンゴー!』』
『はい!お2人様ビンゴとなりました!・・・他にビンゴした方はいませんか!?いなければ今回のゲームはこれで終了となりまーす』
「ん~・・・駄目ですわね。リーチもかかりませんでしたわ」
「ウチもですわ」
「ふふ・・・私はリーチかかりました・・・かかっただけですけど・・・」
「私も同じくかかったのみでございました」
私達はビンゴゲームに参加していました。
しかし誰も結果が振るわないまま終わりを迎え、司会者の『今回はこれで終わりです!次回は2時間後となります!』との終わりの声を聞いて、いよいよ駄目だった現実を覚りました。
「まぁ・・・仕方ないですわね。ビンゴは所詮運ゲーですわ」
「ん?それならお姉様がビンゴにならんだんは不思議ちゃいます?」
「私、別に運はいいわけではありませんわよ?」
「またまたー!」
やれやれと駄目だったことを口に出すとサマンサにそんな事を言われてしまいましたが、本当に運がいいわけではないのですが・・・
(いえ・・・こんな世界の金持ち美少女のお嬢様に転生したので運は良いのかしら?あれ?でもそのまま行くと破滅まっしぐらの悪役令嬢に転生は運が悪いと言えるかも知れないですわよね?どっちかしら?)
ふと自分の事を振り返ると運が良いのやら悪いのやら解らなくなってきました。
「・・・ま、どっちでもいいですわ。という事で!次は運が絡まないモノをやりに行きますわよ!」
考えた末、『良い時もあれば悪い時もある。そんなモノですわよねー』と結論付けた私は次の催しモノへと行く事にしました。
が、次も運ゲーだと盛り下がるかも?と思ってしまったので、次は運が絡まないモノにしようと言うと・・・
「「はーい」」
「どちらへ行かれますか?サークル開催のモノまで含めると結構ありそうですが」
サマンサとシーラは特段それに不満はなかったらしく同意をしめしてくれ、ノワールはパンフレットを見ながら次の行先を尋ねてきました。
「そうですわねぇ・・・」
私も特に『これ!』と目を付けていたモノも無かったのでパンフレットを見ようとすると・・・
「あ、お姉様。どうせならあそこ入って考えません?」
サマンサがある部屋を指し示しました。
そこには『3-3 喫茶店』と看板がかけてあり、座って何かを考えるには丁度良さそうな場所になっていました。
「あら、いいですわね」
「ほな、入りましょ。すんませーん、4名でー」
私達はその部屋へと入りお茶とケーキを頼んだ後、パンフレットを広げました。
「んー・・・こっちの方へ行くのはどうかしら?」
「こっちもおもしろそうですよ?」
「・・・私的には・・・こっちのほうが・・・」
そうやってああだこうだ話し合っていると、入口の方がガヤガヤとし出したのでチラリと見てみると、丁度団体様が入ってくるところでした。
『いらっしゃいませー、何名様ですかー?』
『あ、9名です!いけますか?』
『はーい、あちらの席へどうぞー・・・あ!』
『おう』
「あ・・・ノワール!」
「はいお嬢様『闇の暗幕』」
その団体様が主人公御一行様だと気づいた私はすぐさまノワールに合図をすると、ノワールは認識阻害系の魔法を使い私達を覆いました。
「取りあえずこれでバレないかしら?」
「赤の魔王様とグウェル殿下がその気になればバレるとは思いますが、恐らくは大丈夫かと」
魔王達も常時気を張っている訳ではないので多分大丈夫だというノワールの言を信じ、私はホッと一息を着きます。
しかしこの広い学園で偶々エンカウントしてしまうとは・・・中々ミラクルです。
「ま、今日はマルシアとイリアスに任せてあるし、あまり気にしないでおきますわよ?」
私はそんな事を言いましたが、居るとやはり気になるモノ。なのでなんとなく聞き耳を立ててしまっていると、イリス達も行先について話している様でした。
「向こうさんもウチラと同じっぽいな。・・・あ、お姉様」
「なんですの?」
「あれやったらイリス達の行先聞いて、そっちと違う方面にいったらええんとちゃいます?」
「それはありですわね」
同じく向こうの話を何となく聞いていたサマンサがいい案を出してくれたので、それを採用する事にしてパンフレットを眺めます。
「ふむふむ・・・向こうがあっちに行くなら私達はこちらの方へ行けば良さそうですわね」
「まぁ完全に避けやんでもええんとちゃいます?ってことでこっちはどないです?」
「・・・こっちもありだと思います・・・個人的にはここが気になりますし・・・」
「ならこちらへ行ってからこっちの方を回り、ここを経由していけばよろしいかと」
パンフレットをテーブルに置き、イリス達の話に聞き耳を立てながらこっちだのそっちだのと行先を決めていきます。
やがて私達より後に来たイリス達が喫茶店を出ていった後に私達の計画も決まり、私達も喫茶店を出る事にしました。
『ありがとうございましたー』
「こちらこそ。美味しゅうございましたわ。・・・さてと、それでは行きましょうか?」
喫茶店を出ると、早速先程決めた計画の通り学園内を回る事にした私達は、第一目的にした場所へと向かう事にしました。
それからは・・・
『最高得点です!この中からお好きなのをどうぞ!』
スタンダートな輪投げをしてパーフェクトを達成したり・・・
『おぉーっと!2番の選手のゴーレムがブッチギリだー。このまま優勝なるかー!?そして最速記録が出るかー!?』
魔力で動くミニ魔導ゴーレムのレースでコースレコードを打ち立てて見たり・・・
『我こそはS級冒険者ガルガンチュア!邪竜よ!覚悟っ!』『シャギャー!』
魔法を演出に組み入れてある演劇を見たり・・・
『3・2・1・0!そこまで!・・・新記録出ました!』
ペロポコパポスを制限時間内にどれだけ捕まえれるかの催しで新記録を出してみたり・・・
『この魔法薬は・・・な効能があり、一般的には・・・』
薬学研究サークルの発表を見たり・・・
と、これらの他にも様々な場所を巡り、様々な催しを楽しみました。
「ふぃ~楽しみましたわ~」
「今日はこの辺にしときます?時間もあれやし、なんなら後2日ありますし」
遊びまくり心地よい拾いを感じていると、どうやらもういい時間みたいです。そして確かに学園祭は後2日続くので、今日はこの辺にして撤収してもいいかもしれません。
「ふふ・・・既に締めている処もありますしね・・・無理して入っても直ぐに終わっちゃいます・・・」
「んー・・・あ、なら最後にあそこだけ寄りませんこと?未だ30分ほどは開いてるみたいですわよ?」
そんな時、偶々私は『流通研究サークル 掘り出し物マーケット』と看板がかかっているお店が目に入ったので、最後に入る事を提案してみました。
すると『のんびり品物を眺めるのも、締めのクールダウンとしてはいいかも?』との事で寄って行こうという事になり、私達はその部屋へと入る事にしました。
『いらっしゃいませー』
中へと入ると所狭しと色々な物が並べられ、これは確かに掘り出し物もあるかも?といった感じになっていました。
「っく・・・ウチにとってはここはテンションアゲアゲの部屋やったかもしれませんわ!」
「商売人としての魂が疼く的なあれですわね」
「その通りっ!・・・明日も来ません?」
「いいですわよ?」
そんな商売人サマンサがはしゃぎ出し、ワイワイしながら皆で品物を見ていた、その時でした。
「ん?これとかウチの第六感がええもんやと囁いとるわ。どう思うシーラ?」
「・・・一見何の変哲もない品だけど・・・いいかもですね」
「イイものでもありましたの?・・・え?」
サマンサとシーラが見ていたある物、それが正に・・・
この時点ではある筈のない、あるアイテムでした。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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マシェリーの一口メモ
【ペロポコパポス。それは小さな体にふわふわの毛を持った不思議な生き物。目は5つあり口も2つありますがとても穏やかな生物です。しかし実は・・・】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
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よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】