第100話 学園祭1
「さぁ、学園祭が始まりますわよ!」
楽しみますよ~!
え?展開がいきなり過ぎるし時間が飛び過ぎだって?・・・確かにそうですね、テスト勉強をしていたら何故か無人島に居た話とかイリス支援計画第2弾『原作のイベントを利用して戦力を強化』とか『あれ?貴女急に・・・』とか、涙あり笑いありのイベントが色々ありましたが確かにそれらが飛んでいます。
まぁ・・・色々あるんですよ、色々と。
しかし安心してください、これらの事もいずれ語る時が来るでしょうから。
「お嬢様、いきなり叫んだっきり固まって如何いたしました?・・・っは!?・・・お嬢様、大丈夫です、お嬢様もまだまだこれからでございます。ですので現実逃避はほどほどに・・・」
「・・・現実逃避などしておりませんわ」
嘘です。ちょっとしてます。
・・・
・・・さぁ!そんな事より学園祭です!
「るんたった~るんたった~。今日は楽しいがくえんさ~い。さぁ皆様!講堂へ行きますわよ!」
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「で、あるからして・・・当学園伝統の学園祭は・・・・」
(長い・・・長いですわよ学園長・・・)
現在全生徒は修行真っ最中・・・ではなく、学園長の長い話を聞いている最中です。
来賓等も来られているので色々喋りたくなるのは解りますが、もう少し短くしてほしい所ですね。
・・・やる事もないので、ここで1つ学園祭について確認をしておきましょう。
それは学園に通う生徒のみならず外部からも人を招いて行う学園の一大行事で、現代日本ですと大体の学校では2大行事として体育祭と文化祭とありますが、こちらでは文化祭に力を集めてあるといったもの。それが学園祭です。
力を集めてあると言った通りに規模は凄く、生徒達は潤沢にある寄付金を使ってそれぞれ催しを行います。それを行う事によって自分達のクラス・サークルはこんなに凄いのだという事をアピールするという事ですね。
そしてこの学園祭、何といっても凄いのが万人に解放されているということです。それこそ上はお歳を召した王族、下はよちよち歩きの平民と誰が来ても良い事になっています。
(数十年前まではそんな事なかったみたいですけれど、ある時期から変わったんですのよね?・・・話は長いけれど、偉大な方ですわね学園長)
実はこの学園、今も平民には敷居が高い所とはなっていますが、今の学園長に変わる前までは貴族専用の教育機関だったらしいのです。
それこそ『爵位=この学園内での力関係』みたいな駄目な感じの場所だったらしく、あまり教育機関として機能していなかったみたいです。
(ゲームにも名前は出てこなかったし、覚えにくい名前でしたのでうろ覚えですが・・・貴方が居たからこの物語は始まったのかもしれませんわねウェルニヌュズベェル学園長。・・・ウェラルルゥースベルト学園長だったかしら?)
この様な立派な志を学んだからイリスは『藍の聖女』足り得たんだな、と良い事を考えていたのですが、学園長の名前のせいでイマイチ締まりませんでした。
(本当に覚えにくすぎですわ・・・っと、そろそろ終わりますわね)
学園祭の事から何故か学園長の名前の愚痴にまでなってしまいましたが、どうやらその学園長の話が締めに掛かっていることが何となく解ったので、私は意識を切り替えました。
(後は・・・来賓代表の挨拶位ですのね?グウェル殿下が学園に通っているから王族から誰かくるのかしら?もしくは・・・)
プログラムを配布されたパンフレットで確認してみると後は『来賓挨拶』と『開催宣言』のみとなっており、誰が挨拶で来るのかなーなんて思っていたその時・・・
『ドン!』
という音と共に大きな声が聞こえました。
「俺の出番だな!」
そちらへ目を向けると、そこに居たのはあの人でした。
(あー、一応偉い人という位置づけですものね『魔王』って・・・)
あの人こと、赤の魔王フレッドがのっしのっしと壇上の方へと向かって行くと、講堂内がざわざわとし始めました。
『誰だあの人?』『見た事ないけど・・・公爵家の方か?』『何かどこかで見た事あるのよね』『む・・・あ奴は・・・』『ちょっとアナタ、あの方って・・・』
その反応は大体2つに分かれ、生徒達は『誰?』で来賓の大人たちは『なんでここに?』でした。
まぁフレッドの正体と所業を知っている大人達の反応は解らないでもありません。だってちょっとアレな貴族からしたら、彼は歩く時限爆弾みたいなものですもんね?
「ん゛ん゛っ!あ゛ーあ゛ー」
フレッドは壇上の拡声器の魔道具を受け取ると喉の具合を確認した後、姿勢を正して一礼しました。
「おう!俺の名はフレッドバーン・レッド・ブラッドだ。通称としての赤の魔王と言った方が解りやすいか?」
フレッドがそう言った後、講堂内は騒めきに包まれました。
『え!?まじ!?』『聞いた事はあるけど初めて見た!』『ウホッ!いい男!』『タイプだわ・・・』『やっぱりか・・・』『私意外とファンなんですよね』『ひぃっ!』
多様な騒めきが講堂内に広まってもフレッドは何も発する事なく、ただじっと人々を見ていました。
しかし全然騒めきが収まる様子を見せなかったのに業を煮やしたのか、フレッドは片手を頭上に上げました。
(えっ!?何かする気ですの!?イラッと来たから燃やしちゃったぜ!とかならないですわよね!?)
内心やりかねないぞと焦りながら身構えていましたがどうやらそんな事をするつもりはないらしく、ただ手を下におろして『待った』みたいなポーズを取っただけでした。
しかしです・・・
(んんっ・・・なんかこう・・・微妙に重圧感が・・・)
フレッドは唯手を降ろしただけなのに講堂内には何故か妙な重圧感がかかり、騒めいていた場はすっかりシーンとなってしまいました。
「まぁ色々言いたい事はあるかも知れないが、それは後にしてくれ。あーっとだな、俺がここに来たのは小さな友に招かれたからで、特に何かしようとして来たわけじゃない」
小さな友とか言っていますが、きっとあれはグウェル殿下の事だ。私はそう自分に言い聞かせながら話の続きに耳を傾けます。
「学園長が長々と話してたんで俺がもう言う事は殆どないんだが、そうだな・・・俺も君らが考えた催しを楽しませてもらう。・・・期待してるぜ?」
フレッドが話しだしてからというもの、何時の間にか講堂内には重圧感は感じられなくなり、逆に彼に引き込まれる様な力が生まれていました。
その状態で笑い掛けながら『楽しませてもらう。期待している』と言われたものだから、生徒たちは・・・
『『『うぉぉー!!』』』
超盛り上がっていました。
まぁそれも仕方ないでしょう。なんせ世界のどこに行っても通用する『魔王』の名を持つ人物が、自分達の考えた催しに期待してくれているのですから。
「ガハハ!何かここまで盛り上がってくれると嬉しいもんだな」
フレッドは気分が良くなったのか『ガハハ』と笑い、続いて『あ、そうだ』みたいな顔をしました。
「ついでだから俺の小さな友を紹介しておこう!マシェリー!」
「・・・ぇ~」
「こっち来いよ!こんなに盛り上がってるんだ!紹介させてくれよ!」
気分が乗ったのかフレッドはそんな事をいい私を壇上へと呼びましたが、正直気が乗りません。
本来のマシェリーなら喜んでいくのでしょうが、変わってしまった私は別に目立ちたいという訳ではないのですから。
・・・ん?
(いやいや、なら行くべきですわよね?)
流しそうになりましたが、本来のマシェリーが喜んで行くべきところならば行くべきです。だって、少なくとも原作中はある程度本来の動きをしないと流れが変わりすぎてしまうのですから。
「皆様、ちょっと行ってきますわね?」
私はマルシア達にそう言って壇上へと赴きました。
すると・・・
「おお来たかマシェリー!案外恥ずかしがりやか?・・・っと皆、紹介しよう。俺の小さな友のマシェリーだ!宜しくしてやってくれな!」
盛大に紹介を受けたので・・・
「オーッホッホッホ!ご紹介に預かりました私はマシェリー・フォン・オーウェルスですわぁ~!私も先輩方の催しモノを楽しみにしておりますの~!ぜひ楽しませてくださいませ~!あ、最も優れたクラスかサークルにはマシェリーポイント・・・じゃなくて、オーウェルス家から金一封さしあげますわぁ~!」
『『『おぉ~~!』』』
盛大に盛り上げてみました。
「オーッホッホッホッホ!それでは学園祭、開催ですわぁ~~!!」
『『『おぉー!!』』』
こうして何故か私の宣言の元に学園祭がスタートしましたとさ!・・・因みに、後でシフロート先生から怒られたのは秘密です。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。気づけば100話!これも皆様の応援のおかげですの。ありがたく存じますわ!
因みにもうちょっと話を挿んで学園祭としようと思っていましたが、『あ、100話じゃん?なら祭り・・・学園祭行くか!』となりましたの。・・・ということで、「100話オメ!」「もっとふさわしい話があったのでは?」「マシェリーポイントください」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いですの。
イイネ☆ブックマークがもらえると るんたった~の歌を歌ってあげますわ。
マシェリーの一口メモ
【学園長のフルネームは100文字くらいありますわ。】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】