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2.黒白の魔女、登場。

今日はもう一話、更新したいかな。








「ふんふふふーん、ふんふふふーん!」




 黒白のローブをまとった一人の少女が、鼻歌交じりに街を歩いていた。

 右手には身の丈ほどありそうな箒。小柄な彼女ではあるが、それでもその箒の大きさは周囲の目を引いた。そして人々は、小声でこう話すのだ。



「アレが魔女か……」

「噂では、まだ半人前だとか……」

「いずれにせよ、薄気味悪いことに変わりはないさ……」



 そんな言葉を聞いたかどうかかは分からない。

 少女はおもむろにフードを外して、大きく息をつくのだった。



「いやぁ、久しぶりの街は迷うなぁ!」



 次いで出てきたのは、周囲の声をまったく気にしていない言葉。

 赤の髪を風になびかせる彼女は、なにやら古ぼけた地図を取り出して、同じく赤色の円らな瞳でそれを凝視した。そして、一つ大きく頷いて言う。



「よし、こっちだな! 待ってろよ、セシリア!!」



 口にしたのは、神官少女の名前。

 やけに親しげな口振りと、表情に周囲はまたざわつくのだった。







『アンタはとりあえず、ゆっくりしてて。私はちょっと、話をつけてこないといけない相手がいるから……』



 セシリアはそう言って、教会を後にした。

 残された俺は、ひとまず客間――というのが正しいか分からないが――で、まだ疲労感のある身体をゆっくりと休ませる。しかしながら、あまりにも静かな場所なので暇になってきた。



「ちょっとだけ、教会の中を探索するか……」



 そんなわけで、俺はやけに見慣れた教会の中を歩く。

 礼拝堂に出るとそこには、煌びやかなステンドグラスがあった。圧巻という言葉が正しいのだろうが、やや威厳に欠けるのは所々に蜘蛛の巣が張っているからか。

 セシリアという少女は、どこかずぼらなところがある。


 それは、ゲームに出ていた情報から分かることだ。

 だけども――。



「どうして、俺は……」



 ふと、気になった。

 どうして俺は、この世界のことだけ憶えているのだろうか。

 元の世界での記憶はどれも思い出せない。名前だって、喉に詰まるような感覚があって出てこないというのに。



「まぁ、いっか」



 しかし、考えても仕方ない。

 そう思って、俺はまた探索を再開しようとした。


 その時だ。




「ん? そこにいるのは、セシリアじゃないよな……?」




 一人の少女の声が、入口の方から聞こえたのは。



「え、誰だ……?」

「見たことない奴だな。それに、変な服装だし……」



 彼女は小首を傾げながら、しかしすぐに笑って言った。



「まぁ、いいか! まずは自己紹介だな!!」



 そして、元気いっぱいにこう名乗るのだ。




「アタシの名前は、マリー・レイン! 街外れの森に住む魔女だぜ!」――と。




 


面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!


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応援よろしくお願いします。



異世界転生って、難しいですね_(:3 」∠)_

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