白銀の魔導王
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この体の、腕も、指も、髪の毛一本でも。
全てが国の、民草のためのもの。
余のものなど一つもない。
『エル神国百三代魔導王白銀のフェイ』
長い歴史を持つエル神国においても最強の王を挙げるなら余であろう。
人間と竜種が共生していた時代。
人間よりも圧倒的に知能が高い竜種が作り出した炎剣レーヴァテイン。
炎剣レーヴァテインを奉加され、操ったものが最初の魔導王ソロモンとされている。
魔導王となる者であれば炎剣レーヴァテインによって巨大な炎を操る。
レーヴァテインの莫大な炎は大陸全土を七日七晩あれば焦土に化す事も容易い。
余にとってはレーヴァテインなど必要ないが。
火の魔導なら七日七晩あればやはり大陸を焦土と化せるであろう。
風の魔導であればすべてを薙ぎ倒す暴風で。
水の魔導であれば大洪水を、地の魔導であればすべてを飲み込む地割れで。
人間同士の争いにはまったく役立たない力ではあるが。
すべてを破壊した後に、再生する賢王たる資質が余にはないのだから。
余はエル人特有の金糸と碧眼を持っていない。
白銀の頭髪に深紅の瞳。
最強たる余が、寂寥を象徴する最たる生物、兎と同じ特徴を持つのは皮肉であろう。
余には子が三人いるが伴侶もなく、子にもほとんど会ったことがない。
レーヴァテインを扱える余の、いや、魔導王の後継者を作っただけだ。
結局、余は傀儡だ。
国の、神官達の、民草の。
だが、余にも欲しいものが二つあった。
一つは。
『ただの兵士として炎王シモンズとの決着』
最強たる余だ。
対人においても遅れをとることなどなかった。
相手が魔導絡繰など起動させる前に焼き払い、氷柱で叩き潰し、風圧で切り裂き、土の弾丸を繰り出して必殺とする。
魔導で反応を極限まで向上させれば、どんな相手も剣技で翻弄できた。
しかし、余の持てる全ての力を出し尽くしてもシモンズには圧倒された。
あと数合、切り結んでいたら余はこうして思案に暮れることもなかったろう。
奴との決着は余にとっても悲願であった。
そしてもう一つは――
『』
……結局どちらも叶うことはなかった。
余が欲したものすべてを奪い去った、あのからくり兵。
国の傀儡と傀儡人形。
幾分も違いのない存在かもしれぬが、それでもアルが憎い。
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