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52.あなたが絶望が見たいの
その女はドロドロと燃えていた。
焼けただれた頬や燃え堕ちた鼻頭からそっと目を反らす。
喉も焼けているのだろうヒューヒューと不快な音が混じる声が彼女に語りかける。
辛いでしょう?と。
そんなことないわ、と返すと女は面白くなさそうに舌打ちした。
でも、あなたの愛しいあの人はあなたに気づいてもいなかったわね。
あなたの友人たちもそう。呑気な顔で楽しそうにしてたわねぇ。
あなたの苦しも知らないで。
答えない彼女に女は楽しそうに歌うように語る。
ああ、でもそうよねぇ、自分を殺す女になんか会いたくはないわよねぇ。
ねえ、と彼女は女をまっすぐに見つめた。
いつまでこんな不毛なことを続けるの?
女は焼け焦げて唇を失った口を歪めて笑った。
あなたが絶望して死ぬまでよ。