第6話 〜彼の過去〜
前回の最後をほんの少しだけ変更しました。書いて出してを繰り返しているので、こういうことがこれからも起こると思います。すいません。
彼は生まれたとき周りから祝福されていた。彼はそれが嬉しかった。彼は周りの大きくて、動いて、音の出るものに褒めてもらうことが、好きになった。そのものから放たれた温かい気持ちが、自らに溶けていく感触が好きだった。
彼はいつ、何をしても、周りから褒められた。彼が、やや他の子どもたちよりも、頭が良かったためだ。
彼は周りから褒められて、幸福だった。
彼は段々と大きくなっていった。あるとき、彼の家族に妹が生まれた。
いきなり彼は、今まで道理に何もしなくても褒めてもらえる存在では、なくなった。
彼は誰かに褒めてほしかった。どうすれば褒めてもらえるかということを、今までの少ない記憶から探し出そうとした。彼はこのとき、初めて考えるということをした。
ある日、彼は気づいた。彼がなにか新しいことをすると、周りの大きくて動くものは褒めてくれるということに。
彼はその日から今までしていなかったことをしようとした。それは彼が初めてした努力だった。努力さえすれば周りのものは自分を褒めてくれた。彼はその頃、周りによくいる2つの大きな物のことを、親という概念であると知った。いつも褒めてくれるのはその「親」だった。気づいた理由は単純に、周りが勝手に教えてくれたからだ。
彼はある日、親が興奮して話している声を聞いた。
「..ついに勇晤も.....に行く歳になったのね!!」
「ああそうだな。もうこんなに大きくなったしな。」
しばらく話を聞いていると、親たちはどうやら自分がどこかに行くことになる、ということを話しているのだとわかった。彼はワクワクしてきた。今までよりも褒めてもらえるかな?と思った。
ついに彼が幼稚園に行く日が来た。
彼は親に服を着せてもらい、バックをかけてもらった。親は彼を、何もしていないのに褒めてくれた。
何もしなくても親に褒めてもらえるということは、彼にとって久しぶりのことだった。
彼は、父親に連れられて幼稚園に行った。最初幼稚園は楽しい場所だった。周りの小さい「物」たちと遊ぶのは面白かったし、何より親にその日のことを片言で話すだけで、褒めてもらえたからだ。
しかし、そこは段々とつまらない場所になっていった。
周りにたくさんいる小さい「友達」という「物」に混じっている、大きな「物」は、なかなか自分のことを褒めてくれなかった。
しかも周りのおおきな「物」は自分のしていることの邪魔をしたし、小さい「物」もたまに自分の作ったものを壊したりした。
彼はあるとき、その幼稚園においてあるブロックのおもちゃに熱中した。
理由は「親」や大きな「物」(その時、その「物」を先生というのだということを知った。)が、今までと比べ物にならないほど、褒めてくれたからだ。また、そんなことを言わなくても、単純に面白かったというのもある。
それは彼が見ていた、テレビのロボットに似せて、作ったものだった。
彼は得意になって何度もそのロボットを作った。何度も何度も作った。
ある時、ある事件が起きた。
彼が周りの小さい「物」に、蹴られたり、殴られたりという、今までと明らかに違う嫌がらせを受けたのだ。理由は当時はわからなかったが、おそらく他と違い、周りと絡まず、ただ一つのものだけを作り続けている彼のことが、理解できなかったのだろう。理解できなかったから排除しようとした。それらにとって、彼は異物だったから、、。
彼は怯えた。その小さい者たちを先導している、少し周りより大きい、小さい「物」を恐れた。
彼にとって周りからぶつけられる敵意、警戒心、自分を排除しようとする気持ちが、自分にぶつかってくることがたまらなく怖かった。
彼は今まで以上に大きな「物」たちに、頼るようになった。そのものたちは少なくとも自分に好意を向けてくれるから、褒めてくれるから、、、。
2020/10/26
タイトル変更しました。
2020/11/3
何箇所かに、若干の補足をつけました。




