第20話 うんちくバトル
俺は椅子に座っているグラスの隣の机に座っていた。
グラスがマシンガンのごとくうんちくというか世間話っぽいもの?を喋り続けている。まあ付き合っている俺も俺だが、、。
授業が終わったあと先生が「じゃ、帰っていいですよ〜。はー、ねむ。」とかぼやきながら出ていってしまったので、その時なんとなく俺がグラスに話しかけたのだ。
そのあとグラスにグラスの師匠のことを聞いたような気がする。
そのあともグラスと何か話したような気がするのだが、何を話したかは忘れた。
、、永遠とグラスが話し続けているせいで記憶の彼方に飛んでったようだ。
「、、というわけでですね、師匠はいやあの変態、変人?違うそんな生易しいものじゃ、、話がずれました。そこまで無能なわけではないんですよね。実際に教室の時間の流れを一時的に止めて、その後、ドタキャン気味に帰ったときに一瞬で下校時刻まで時間を飛ばしたわけですから。まあその話はおいておいて、最近発見された核の内部にある紐状の物質、その神の魂の構成を司るもののコピーや複製などを自動的に行っている新しい種類の魔素が発見されたんですよ。僕の師匠の手によってね。無駄に頭はいいんですよねあいつ。ホントなんで壊れた世界なんかにいるんんでしょうね。まあ、、。」
一旦話を切ろう。
「ちょっとまて。まず一旦落ち着け。で、質問だ。壊れた世界ってなんだ?」
「ああ、そんな話ですか。ってええっ!!え、そんなことも知らないの。あなた一体、、。」
ニヤニヤしながらグラスが聞き返してきた。
こっちは元人間なの。しかもおまけに天使になってからもずっと修行しててこっちの常識に疎いの!
「うっせー。俺にこてんぱんにされたやつが何を言ってんだ。それに、聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥っていうだろ。」
「ふんふん。わからないことは素直に聞けっていうことわざですね。しかし似たようなことわざとして、馬の耳に念仏っていうのがあるんですよ。」
したり顔でグラスが行った。
「はいはい。馬鹿な俺にはわざわざ説明しても意味がわからない。ってふざけんなよ。第一全然意味違うじゃねーかよ。まあ馬鹿の考え休むに似たりって言うし。グラス、、、お前も、お前なりにがんばれよ。」
そう言って、いい笑顔でサムズアップする俺。
「それは私に向かっていってるんですか。」
「グラスって言ってるだろ。バーカ。」
「何が馬鹿ですか。これは白黒はっきりつけましょう。どちらの頭がいいのかというのをね。」
「受けて立つ。まあ俺が勝つけどな。」
謎の勝負が始まった。先手はグラス。
「、、はい。第一問。」
「じゃーじゃん。」
「っ!? えー。”ことわざ”は漢字でなんと書くでしょうか。」
「言べんに彦で、諺だ!」
「ぬぐ。」
悔し楼なグラスと反対に嬉しそうな俺。
「第二問。」
「、、、。」
「、、おい効果音つけろよ。」
グラスが全然口を開かなかったからつっこんだ。空気読めよこいつ。(注:ただし自分のことは棚に上げる)
「え?あ、あれはわたしもやるんですか。」
「うるせー。とにかく効果音つけやがれ。第二問!!」
「、、じゃ、じゃじゃーん。」
「ぶはっ。なんじゃそりゃ。その変な言い方。ひー。腹いてー。」
「う、うるさいですよね。さっさと始めてください。」
グラスが真っ赤になって言っている。
残念だが俺はここで勝たせてもらおう。うんちくには自信があるのだ。勉強はあまり好きではないが、うんちくは嫌いではない、と言うかはっきり言って好きだ。新しいことを知るのはすごくワクワクする。
「はいはい。照れてやんの。あー、第二問。花言葉で牛乳がつく花を答えよ。そしてその由来もな!!」
「フッ。」
自信満々な俺の鼻っ柱を折るようにやけに自信有り気なグラス。
「今笑ったね。その心笑っているね。、、ゴホン。じゃー、答えを聞かせてもらおうか」
「なんですかその裏声、、。ふふふ。それは最近私も知りましたよ。正解はレタス!!由来は、フランス語の”花言葉”の言葉の発音が”牛乳”に聞こえたという説。そしてレタスから牛乳のような白い液が出るからという説がもう一つ。極めつけは、牛乳から母乳が連想され、母乳ではなく動物の牛乳を使って子供を育てる母親は冷たい、ということで冷たいという花言葉が生まれたそうですよね。」
「ぬぐあぁぁ。俺のうんちくシリーズの四天王だったレタスの花言葉があああ。」
「はぁーはっはっはぁぁーーー。」
「くっ。やつは四天王の中でも最弱、、。そしてこの花言葉シリーズは連続して言うことによって効果が上がるのだ!!」
「どんとこい、ですよね!!」
「連続だ!今度は意味だけだぁ。第三問第四問第五問第六問ーーー!!ピーマンの花言葉、マリーゴールドの花言葉、ごぼうの花言葉、、、そして柿の花言葉!もひとつおまけにトリカブトの花言葉あああァァァァ。」
「あー、ごほん。ピーマンが海の恵み。マリーゴルドが絶望。ごぼうがいじめないで。柿が広大な自然の中で私を永遠に眠らせて、ですよね。そして、トリカブトがえーっと。」
「ぬぐぐぐ。しかし、お前ももはやここまでだ。今まで数多くのうんちく王を倒してきたトリカブトの花言葉だ!いかにきさまでも倒すことはできない太古の神獣。くらうがいい!!」
(注:うんちく王=無視せずに話を聞いてくれた数少ない心優しい人。あんたは天使や、、。)
「なんかキャラ変わってません?っと、そんなことはどうでもいいです。トリカブトの花言葉は、、。」
「うんうん。」
一泊おいてグラスが深く息を吸う。
「すぅぅー。親切心誠実崇高な行い勇気高潔寛大さ信念栄光美しい輝き人嫌い厭世家復讐敵意死あなたは私に死を与えた、武者修行、、です。はー、はー。」
「、、と、トリカブトの花言葉が破れた、だと、、。嘘だろ。もともと花言葉の知名度がない上に、ある程度言えるやつでも武者修行が抜けるから、俺のうんちくの中でも最強の一角だったのに、、。」
くずれ落ちる俺。しかしそこに、まだ息の荒いグラスが手を差し伸べてきた。
「まだ勝負は終わってませんよね。」
「っお、お前。」
「では行きます。」
「うっしゃー。こいよ。おらぁ。」
熱い男達の戦いはまだまだ続く!!
一進一退の攻防が続き、段々と周りが暗くなってくる。
俺がさっきとは反対に、撃沈しかけたグラスを励ましたこともあった。そんなときあいつは俺に向かって「敵に塩を送る、ですよね」と言って笑っていた。
しかしそんな汗と涙の戦いにも終わりが迫っていた。
段々と互いに疲労が溜まってきて、俺が先に口を開いた。
「、、今の所593問試合をして、296勝296敗だ。ここらで決着をつける。」
「、、そうしましょうかね。」
「よし。、、、これが俺の切り札。」
「、、ゴクリ。」
俺は厳かに言い放った。
「デコポンを漢字で答えよ。」
「な!?」
「いくらお前にもこれは答えられないはずだ。なんせ、新漢語林の公認難読漢字で、パソコンの変換で出ないレベルのバケモノからな!!」
「ぬぐぐぐ。」
「グラス、これで終わりだ。ここまで楽しかったぜ。俺にここまで食らいついてきたやつはお前が初めてだ。いや、食らいつくなんて生易しいものじゃなかった。お前は最初で最後の、、、おれにとっての最強うんちく王だったよ。」
そう言ってうつむくグラスに俺は手を伸ばした。
しかし、奴はまだ勝つことを諦めてはいなかった、ここで気を抜いたのが俺の敗因だろう。
俺が伸ばした手をグラスが払う。
口元に不敵な笑いを浮かび、眼鏡の黒縁がギラリと輝く。
「、、、、凸凹の|とつ(凸)に、、、蜜柑の、柑です。(注:凸柑という字です。)」
「も、もはやこれまで、、、ぐはっ。」
ばたり、と倒れる俺。
しかし地面に背中がつく前にグラスに受け止められた。(注:ここで感動的なBGMが流れてくる)
「私とあなたの勝負はまだ終わりませんよ。まだまだ私、、いや俺達は強くなれる。そう、わた、、いや僕の話を二番目にちゃんと聞いてくれた君となら、俺はもっと上を目指せる、っんだ!」
途中でかんだところには突っ込まない。グラスのキャラがゲシュタルト崩壊を起こしていることにも突っ込まない。
そして俺はガシッと手を掴んで言った。
「俺たちはもう友達だ。」
グラスが不意をつかれたような顔をして声を出した。
「え?」
おい待て。なんでそこで困惑するんだ。
ちょっと不安になってくるだろ。
やっべ。めっちゃ居心地わりい。こういうときはとりあえず叫ぼう。
なんかあるじゃん。昔のトラウマとは思い出すと、ベッドに顔押し付けて叫びながらバタ足したくなるやつ。あれだよあれ。
俺の場合はそれが声を出してその光景を消そうとするという動作なのだ。
、、、はたから見ると虚空に向かって叫んでるヤバい人だけど。
俺は扉の方に魔素が集まっている異変に気づかずに叫ぶ。
「うおおおあああああああーーーー。」
「なんでこの状態で叫んだの?!」
いきなり扉の方からヘッドスライディングをしながら文字弾丸少女が突っ込んできた。少し遅れてラウラがダッシュしながら出て来る。
「わわわ忘れ物おおおおーーー!!ぐぶひっ。」
「忘れ物しっあああ危ない避けてええー!」
そのまま大激突する四人。
よくわかんねえ。うん。とりあえず叫ぼう。
「うおおおおおおーー。」
「ちょっ。どういう状況なんですよね!?」
「うわああごめんなさいーー。」
「ちょっとおおおお。へんなぁぁぁところぉぉぉさわらぁぁないでよぉぉぉねぇぇ。」
「うるせーわ!」
文字弾丸少女の攻撃(口撃?)を迎撃しようとして三人は攻撃魔法やら眼術やらを発動した結果、、。
「「「「@:!’)%&#)”〜$?_????」」」
魔法空間がぶっ壊れて物質や空間がぐちゃぐちゃになった。そこに唐突に着崩れた和服姿の先生が現れる。速水には先生の頭に角が生えてるような気がした。
「まさか教室を形作る空間魔法まで壊すとは、、。将来有望ですが、寝てた私を叩き起こした罪は重いですよ、、。ふざけんなクソガキどもぉぉ!!!」
もともとぼろぼろだった魔法がさらにぐちゃぐちゃになり連鎖的に被害が広がる。
「ちょっ先生やめてください!!他の学校まで被害が、、。」
なんか薄幸そうなスーツ姿の別の神らしきひとが現れたもののすぐに吹き飛ばされる。
「知るかボケえええ!!お前も死ねやああ。」
ほんわかしてる人ほど起こると怖いっていうもんな。俺は現実逃避しながらそう思った。
、、、うん、なんかいろいろとカオスになった。
そういえばあらすじには初めて小説を書いたって書きましたがあれ嘘でした。正確には頑張って書いたものの1500字すぎた辺りで飽きて、その後パソコンを初期化してしまい、普通のテキストエディターで書いていたのもあいまって、時の彼方に消えていっってしまった一作目がありました。その1500字書くのに半年かけたんですよ、、。