第16話 そして彼女との戦い
遅くなりました。眠い〜。
、、、が現実は非常である。俺にはたたかうという選択肢しか残されていない。
さて、じゃあいっちょ胸を借りましょうか。
そう思いため息をついてから俺は走り出す。
簡単に負けるつもりはない。しかし相手が強いことも事実。
まずは小手調べに、、。
「電眼、電眼、電眼、電眼。」
走りながら眼術を乱発する。
バリバリと音を立てて大量の電撃が、数々の紫色に輝く裂け目を浮遊させている少女に飛来した。
「「な!」」
観客席から声がする。
俺の目から放たれた電撃は、さきほどまで針ほどの太さだったものが、大人の太ももほどの太さの、雷撃と呼ぶほうがしっくりくるものになっていたのである。
まあ、俺は先程の戦いでまともにやる気を出していなかったからな。
鑑定眼でグラスを測ったときに、完全な数値となって相手の能力が割われたのである。
そりゃそんな力量差あるやつに本気出すわけ無いだろ。
しかし、その雷撃は少女がぱっと腕を降ると裂け目が移動して吸い込まれてしまった。
まあそんな簡単には行かないか、、、。ていうか強すぎひん?
むー。初見の技だったら効くかもしれないな。
というわけで実践。
「炎眼、氷眼。」
すると俺の目から白く冷たい氷のきりと炎の塊が彼女を襲う。
、がやっぱり腕のひとふりで消されてしまう。
すると反撃とばかりに裂け目がいきなり前に飛び出してきた。
それを新体操のごとく避けながら眼術を乱射する俺。
「な!がん術をあれほど自由に使えるのですよね!!ええええーー」
というグラスの声が聞こえてくる。外野は黙ってろ。
するとグラスの声がぷつっと切れた。
先生がニコっと笑ってたため、先生が結界をいじったんだろう。
そんなことを考えながらもおれは炎眼と氷眼を乱射し続ける。
しかしすべての攻撃が腕のひとふりでかき消されてしまい、きりがない。
向こう側は燃え盛る豪炎。そしてその手前には大量の氷柱ができているが、彼女の周りには結界のように裂け目が大量にが浮かんでいて、そこの内側だけがポッカリと円形に空白地帯となっている。裂け目はだいたいA4のコピー用紙ほどの大きさのもので、それが彼女のまわりに40、50枚ほど浮いている。
そこで一気に大量に眼術を放ち、その対処に裂け目を動かしている彼女の動きをじっと見る。
そして裂け目を動かしている手の動きを見計らい、俺は電眼をはなった。
かなり出力が抑えられていた電撃は裂け目の隙間に通り、彼女の体に当たる。
ビクッと彼女の体が震え一瞬の硬直時間が生まれた。
そのすきを逃しはしない。
「炎眼炎眼炎眼炎眼炎眼炎眼炎眼炎眼あああぁぁぁーー!!」
大量の炎の塊がが裂け目の隙間を通り、燃え盛る炎を上げた。
しかし硬直を払った彼女がすっと手をふると炎はあっけなく消されてしまった。
それで少し苛ついたのか、彼女は本気で攻撃を仕掛けてきた。
大量の裂け目が薄く紙のようになり、筒のように丸まっていく。
そこにさらに他の裂け目が上からコーティングするように形が作られていき、一本の槍となった。
ぼそっと彼女がつぶやく。
「この槍は触れたすべてのものを抵抗なく無限の虚構世界に飛ばす。一回でもかすったら私の勝ち。」
そして口元を緩めるとその槍がものすごい速度で投擲された。
それを俺は片手で横に側転し避ける。
しかし俺が立ち上がったときには、彼女の腕にはすでにまたあの槍が握られていて、、。
地獄の追いかけっこが始まった。
俺は走りまくりながら、投げられる槍の乱舞を避けて、その合間に炎眼で足元を狙う。
しかし彼女もサッサッと身軽に避けるため、炎は地面に当たり爆炎を上げた。
彼女は更に槍の数を5本にふやし、連続投擲してきた。ガトリング砲のように大量のやりが絶え間なくギリギリの位置を飛んでくる。
そこで俺は自分の足元に氷眼をはなち氷柱を作って、その足場をふんで飛ぶ。
何回似たような攻防を繰り返しただろうか。いつまで続くのかと思われた技の応酬は、段々と勢いをなくし、ついには止まった。
俺はかなり疲労困憊と言った様子で、彼女も少し息を荒くしていた。
少し息を吸ってから彼女が言った。
「私の攻撃にここまで耐えられたやつは初めて。だるいし、そろそろ終わらせない?」
俺も答える。
「ああ、そう、し、ようか。」
息は荒く、少し足もふらついている。
しかし、ここまで来たら戻れない。
俺は最大出力で叫んだ。
「ぅぅぅ、るぁぁぁーー炎眼!!」
豪と音を立てて、炎の塊というよりかは、ビーム砲と言ったほうがいい出力で、炎が俺の前方から吐き出される。
その対処にほとんどの槍を分解し、空間の裂け目でバリゲートを作るヴィナ。
それで視界を奪った俺は、自分の足元と、その手前に氷眼を撃ちまくり、真上に飛んだ。
ヴィナは、私は、炎が完全に消えたのを確認し、一部の結界を外して槍を組み直す。
そして、念には念をといれて砂嵐の魔法を唱え、視界を悪くしてから一気に2つのやりを連続で投擲する。それは砂嵐で見えづらくなった視界に映る早見のシルエットに吸い込まれた。
しかし思ったよりもあっけなかった。
以外に粘っていたので、少し期待したのだが、つまらない奥の手だったな。
そう思い、砂が晴れるとそこには無傷の速水が立っていて、、。
視界の上の方の隅で、キラッと何かが光った。何かがくる!
右足を軸にくるりと反転。そして上に飛び上がる。
そしてすぐ前に呼び戻した槍を投げつけた。
砂が巻き上がり、腕を降って裂け目を移動させ、砂を吸い取り視界を確保した。
しかしそこでも速水はニヤニヤと笑っていて無傷。氷眼で横に突き出た氷柱をつくり、そこに足の先を引っ掛けて逆向きにぶらさがっている。
幻覚系のなにかか?それとも瞬間移動系?いや、空間系の能力は使えないはず、、。そもそもこいつは魔力量が極端に少なく、だからこそ私も魔力感知を使わずに、目視で速水を探す羽目となったのだ。幻覚系といえども魔法が使えるのだろうか。私が感知に困るほどの魔力量で?
急に周りが暗くなった。
「上か!?」
しかし、そこには氷の塊が。
「な!?」
つい叫び声が漏れる。じゃあ速水はどこに、、?
「残念。下でした〜。これでおわりだあぁぁーー。」
と、下からもうスピードで速水がジャンプして接近してきた。
まずい。このままの状態だと回避が間に合わな、、。
「「あ。・・・。」」
二人の声がハモる。
そしてピキッとこめかみに筋を浮かべたヴィナが呪文を唱えた。
「、、、巨石生成」
、、会場に、がごっという鈍い音と、男の子の悲鳴が上がった。
俺は白くなっていく景色の中で思った。
、、、、、白。
2021/1/24後半部分の一部変更。誤字修正




