第15話 無理ゲー
明日続きをもう一話出します。次回はバトル回です。思ったよりも前置きが長くなったので一回切ります。
さて、なかなかに難儀な戦いになりそうだぞ、と俺は思っていた。
空間系の魔法は厄介なのだ。虚構の神だってなかなかにエグい能力を使っていた。
空間系の魔法は非常に潜在的な資質が必要とされ、しかも他のの魔法と比べても威力や強さが段違いなのである。
そこに一役買ってるのは空間系の能力は個々人によって内容がまちまちであり、、といった言い方は正確ではないか。
正確には空間系の能力を持った神は非常に少なく、全世界で見ても、両手で数えられるほどしかいないそうだ。
そのためデータの数が圧倒的に少なく、単純な個人差か、全く別の派生系なのか、といったことが分かりづらく、相手の戦闘スタイルが読めないとのこと。
つまり結論を言うと、その全世界で両手で数えられる実力者の中にいるやつが、俺の目の前に今、壁となって立ちふさがっているのである。
は?何この無理ゲー。
ちなみにこれらのことは、師匠が修行の間にちょくちょく外に抜け出していた合間に、虚構の神に聞いたことである。
で魔法も教えてもらおうと思ったのだが、それはで俺と師匠のあいだへのしゃばり過ぎであるということでやんわり辞退された。しかし今思うとあれは、俺の魔法技能を察して師匠に丸投げしていたものと思われる。なかなかにいい性格してますよ虚構神さん?!
が、魔法の仕組みはある程度伝授してもらえたため、一般知識程度のことは俺でも知っているのである。
でその俺の異世界?と言えるのかわからん異世界知識に照らし合わせてみても、なかなか難しい相手だということがすぐにわかってしまう。具体的に言うとさっき鑑定眼で視たところ、、なんと!名前しかわからないという絶望的状況なのです、、。
どんだけ能力に差があるんだって話。
まあ師匠は名前どころか性別までわからんかったから、師匠より図るかに格下ということはわかるのだが、なんの助けにもならない。まああいつは多分男だろうけど。
で、只今絶賛、格上(推定)に俺はちょいちょい手招きされて挑発され、ちょっとイラッとしている最中である。
どうでもいいけど「さいちゅう」って、「モナカ」と漢字一緒で紛らわしいよね。
そんなことを考えて冷静になり相手を見据える。
手は片手をパーカーに突っ込み、もう片方の手をこちらに向けて手招きしている。
今までの彼女の行動パターンとして、空間の裂け目に釣り竿を突っ込んで釣りらしきことをしていたということが挙げられる。そして近くに魚籠と思われる裂け目がもう一つあった。
それらを仮に魚籠裂け目、釣り堀裂け目とする。
さこから一般的な釣りをベースにして考え?釣り堀裂け目(仮)は空間をつなぎ、魚籠裂け目(仮)は空間を拡張しているものと予想できる。
そして、「VSエスパー少年」のときは、その釣り堀裂け目(仮)の片割れを呼び出し、それを使って波動弾?を打ち返したのである。
RPGっぽくまとめると、彼女の能力は大きく分けて3つだ。
1つ目:反射 (魚籠裂け目(仮)の応用)
2つ目:転移「強制・移動用(予想)」
3つ目:吸い込み (単純に魚籠裂け目を使う)
正直言って勝てる気がしない。誰か助けて、、。
が現実は非常である。俺にはたたかうという選択肢しか残されていない。
さて、じゃあいっちょ胸を借りましょうか。
そう思いため息をついてから俺は走り出す。
簡単に負けるつもりはない。しかし相手が強いことも事実。
まずは小手調べに、、。
「電眼。電眼。電眼。電眼。」
バリバリと音を立てて大量の電撃が、数々の紫色に輝く裂け目を浮遊させている少女に飛来する。
「「な!」」
観客席から声がする。
俺の目から放たれた電撃は、さきほどまで針ほどの太さだったものが、大人の太ももほどの太さの雷撃と呼ぶほうがしっくりくるものになっていたのである。
別に、俺は先程の戦いでまともにやる気を出していなかったからな。
鑑定眼でグラスを図ったときに、完全な数値となって相手の能力が割われたのである。
そりゃそんな力量差あるやつに本気出すわけ無いだろ。




