第13話 、、、と、今度こその模擬戦 VSグラス戦
さて、なんやかんや、なんやかんや、なんやかんやあったおかげでやっと普通の授業が受けられると思ったが,それは俺の杞憂だったようだ。いや、杞憂の使い方が間違ってるか。この状況は思ってたよりも状況が悪い方向に流れていってるわけだから、、なんていうんだ?
と、こんなことを考えてると先生の声が聞こえてくる。
「さて、会場は校庭を使っていいですよ。、、、、まあ許可とってないけど、まあいいでしょ。」
と、元凶が喋ってるのが聞こえる。
俺はため息をついた。
、、、さて、いまなんでこんな状況になっているのかと言うと、やっぱり話は少し前に遡る。
それはぐちゃぐちゃの教室の片付けが終わったときのことだ。
「さてみんな席に付きましたね。それでは第一回模擬戦バトルロワイヤルデスマッチ大会を開催します。」
と先生が言った。
俺は思う。
(、、、なんかいろいろ混ざってるし、試合形式なんなんだよ。)
先生は輝くような笑顔で続けた。
「というわけでトーナメント形式で、勝ち抜き戦の勝ち上がり総当たり戦です。あれ?なんかおかしい気がするけどまあいいか。」
俺は思う。
(東部療育センターいけよ。東京にあるおっきな病院だぞ。)と。
座っていた椅子から立ち上がろうとするとずっと無表情だったヴィナがニヤリと笑っているのを見つけた。
周りを見回すと皆、歩きながら首をこきこきいわせていたり、腕をゆっくり回していたりする。
(嘘だろ。みんな戦闘狂かよ、、。俺は平和主義なのに。)
そんなことを思いつつ、、。
話は冒頭に戻る。
ぞろぞろありの行列のごとく、みんなで先生が宙から出現させた扉をくぐって校庭に出ていくため、俺もそれに続く。
なかなかなシャレオツな扉だ。そんなことを考えつつ扉の外に出るとそこは校庭だった。
先生がパチッと指を鳴らすと白線がサーっと引かれていく。すると、先の内側の土がどんどん消えてい、きその内側が石のレンガでガッチリした闘技場のようになった。そこに先生が手をかざし、結界を作って闘技場を覆っていく。
「速水くんの異常な魔力抵抗を考慮して、最上級の結界を貼っておきましょう。ぬうぅぅー、はぁぁぁーー。」
とか、女の人が言っちゃいけない感じの声を先生が出していたが、聞こえないふりをした。
とまあ、なんだかんだでコートの準備が整った。
先生の周りに一瞬魔力反応が出たかと思うと全員の目の前にパッと紙が出現した。俺は地面に落ちる前に素早くそれを掴む。
やけに長い+何言ってるのかが、いまいちわからない+謎のデコレーション+文字の汚さにより、ほとんど何が書かれているかはわからなかったが、トーナメント表だけはなんとか読み取れたため、最初の対戦相手があのグラスとかいうクソ眼鏡だということはわかった。
(トーナメント表の直線のはずの部分がなんで、お祭りの宝釣りの紐みたいになってるんだよ。)
とかそんなことを思いつつコートに向かう。
コートは教室から出てきたほうを背にして、右左に一個ずつ。その奥にも一つずつ、計4コートある。
先生が結界は外から中には普通に入れるようになってるよ。と言っていたため手を突っ込んでみて、入れそうだったから中に歩いていく。
中に入り切ると、視界が若干明るくなり、周りが広くなったことは驚いた。
すぐ後ろにある半透明の膜をペタペタ触ると硬い感触が伝わってくる。どうやら内から外には出られないようになってるみたいだ。
すると向こうからグラスが入ってくるのが見えた。
ゆっくりと歩いていて,にこやかな笑みをたたえてはいるが、メガネの奥の目はこちらの一挙一動をじっと見つめている。
さて、学園生活初めてのバトルの始まりだ!!
深く息を吸って息を吐き、呼吸を整える。思ったほど緊張していない。修行中ちょくちょく覗きに来ていた虚構神や、師匠ほどの威圧とかオーラみたいなものを、こいつからは感じないのだ。
(そこそこ強くなってから改めて師匠とか虚構の神を見ると、なんとなく強さっぽいものがわかるようになっていた。
そこで驚いたのが、意外と虚構の神も、かなり強そうだったことだ。
少なくとも、今の俺だと太刀打ちできなさそうなくらいは。)
そんなわけで、強さの桁がおかしい奴らとじゃなく、せめて戦いが成立するくらいの強さのやつと戦ってみたいと思っていたのだ。また、あれだけ頑張って修行した自分の強さを確かめてみたかったというのもある。
そんな意味では俺も、若干戦闘狂っぽくなっているのかもしれない。
そんなことを考えていたら、先生が試合開始の宣言を始めたため、集中力を整え始める。
「それでは、第一回戦をはじめます。両者向かい合っても向かい合わなくてもいいけど、よーい。はじめ!」
というなんとも気が抜ける挨拶で、戦いは突如始まった。
正直俺はグラスについての情報があまりない。強いて言うなら、魔法が得意らしいということぐらいしか、俺はグラスの戦闘スタイルを知らない。
とりあえず小手調べに、、。
「電眼」
俺の目が淡い黄色に輝き、電撃がはなたれる。
「な!?”眼”の眼術!!」
と言って異常に驚いていたから、珍しいものなのだろうか。
なんかいつの間にか使えるようになってた技である。一回師匠に向けて眼術を一通り放ったことがあるが、「”delete”と一言ですべての技が消えるため、全く使い物にならず、封印していたものだった。
しかし、当たる直前にグラスがなにか呪文を叫び、あいつの体が半透明になったため、電撃が通り抜けてしまい効き目はなかった。
「なるほど眼術を隠し持っていたのですよね。でも無駄なんですよね。」
とグラスが言う。
確かに意味がないようだが、十分時間は稼げた。正直俺はあの技が聞くかどうかは、ぶっちゃけどうでも良かった。俺はあのすきに他の技でグラスのことを観察するのが目的だったのだ。
「なるほど、眼術は一通り使えると見たほうがいいようですよね。」
とグラスがつぶやく。あの薄笑いはすでに顔から消えていた。
俺は、グラスが電眼の対応をしているすきに、別の技を使っていたのだ。
「まさか電眼だけではなく鑑定眼まで使えるとは、、。」
そう、あの時俺は電眼を使い、その後すぐに鑑定眼を使ったのだ。
鑑定眼の効果は以下の通り。
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〜〜鑑定眼〜〜
・その眼で見たものの情報を視覚化して手に入れられる。
・使用者の熟練度によって情報の見え方、詳細度、発動の速さなどは変わる。
・対象を視界に入れる時間が増えれば増えるほど、情報は詳細になる。
(例)
速水の師匠(地球の神)は発動までに0秒。
速水は発動までに3秒。
どちらも情報の表示方法はRPGのステータス画面のように見える。(速水と師匠はRPGのような表示方法ですが他の使用者は全然違います。それこそ千差万別です。数字の桁などは使用者が任意で変えられます。速水の場合は上級天使の平均ステータスを100000くらいに設定して使っています。)
(注:ちなみに眼術は使える人が少ないことは少ないけどものすごくレアというわけではありません。)
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その結果グラスのステータスがわかった。
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〜〜グラスのステータス〜〜
名前:グラス
種族:天使族
level:5000((100000000))
加護:魔術の才能【ver:グラス】30((10000))
HP:10000/10000((MAX))
MP:45000000/45000000((MAX))
敏捷性:F
力:H
魔力抵抗:SSS
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衝撃である。
「極振り過ぎワロタ。力とか、俊敏性とか小学生かよ。」
ついつぶやいてしまった。ていうか、魔力量エグ、、。
「うるさいですよね!」
とグラスが怒鳴り、攻撃魔法を大量に叩きつけてきた。その炎と隕石の乱舞を側転バク転宙返り、と昔の俺だったらバク転からできない超絶技巧で、華麗に避ける。最後の締めにびしっとポーズを決めると、周りで見てる他の生徒がぱちぱちと拍手をしてくれた。
詠唱をしていなかったということは、攻撃魔法のみの詠唱破棄とか加護についてそうだな。
そんなことを思いつつ、避けてばかりでなくこちらからも仕掛ける。
牽制にみんな大好きな、お手軽「電眼」を使い、ダッシュで接近する。師匠とは違い、グラスはステータスを見ても遠距離系の魔術使いだ。役割的には移動式の砲台のようなものである。だから近づいて魔法を打つ隙を与えないようにするのだ。
グラスの方も距離を詰められたくないようで、炎の弾幕を張ってきた。グラスが見えなくなるほど緻密な弾幕で、しかもどんどんこちらに飛んでくる。かなり離れている俺も肌をジリジリと焼かれるように思えるほどの熱量を持った塊がこちらに突っ込んでくるのだ。なかなか怖くもある。
普通は回避するか,同程度の魔法で相殺するかしかないが、こちらもただ漫然と師匠にしごかれていただけではない。
「「「「「「「「「 は?!?!?! 」」」」」」」」」
周りの生徒と先生、そしてグラスが思いっきり間抜けな声を出した。
速水は何もせずに炎の塊に突っ込んで行ったのだ。
先生が防御術式を展開するより早く、グラスが魔法を消すよりも早く、速水は炎の中に突っ込んでいく。
誰かの悲鳴がした。
グラスは惨状を見ていたくなくて、つい閉じていた目を開く。
、、、その目の前には、速水が立っていた。
「はい。俺の勝ち。」
グラスの肩に手を置いて、全く火傷をしていないプルプルのお肌で、俺は勝ちを宣言した。
先生は少し固まった後に声を出す。
「え、えっと、第一回戦、速水くんの次の瞬間に俺首落とせるよポースで、第二回戦進出です。」
俺はまだ固まっているグラスを背にし、外に出られるようになった結界から歩いて出て行く。
見上げると太陽?が滲んで見えた。
「俺の努力は無駄じゃなかったんだな。」
恥ずかしながら思ったよりも感動してしまった。だって喧嘩に勝ったの幼稚園以来なんだもん、、、。
ちょっと遅れてすいません。




