第12話 今度こその自己紹介
この謎状態の収集を、マジカルなパゥワァ↑を先生が使ったのかどうかは知らない。
が、なんやかんやして教室は元の状態に戻ったらしく、俺は気がつくときれいな床に寝っ転がっていた。
「いやぁどうも。なんかすいません。」
体を起こしつつ、首の後ろと頭の中冷や汗まみれで先生に謝ると、先生は声をかけてくださったのだ。
「まあ毎年こういうこと起こるし、別にそんなに気にしなくていいよ。」
と。
俺には先生の顔が天使に見えた。
窓と床板突き破っても怒られないなんて、、。不安しかない。この学校大丈夫か?
その後俺は先生の案内で自分の座席に行く。
何故か”うーん”という文字弾丸がヒュンヒュン飛んでる危険地帯があったり、空中にエスパーっぽい力で浮かんでいる子がいたり、何故か俺を見ながら震えている女の子がいたりと、ずいぶん変わったメンツだ。
しかし人数がずいぶん少ない。教室は普通の中学校くらいの広さなのに、座っている生徒は全員で10もいない。俺と先生を入れてやっと8人である。
そんなことを思いながら歩いているとすぐに席に到着した。
俺の席の横はパーカーを着た女の子が座っていた。
(え?なんでこいつ教室で釣り竿持ってるの?というか顔めっちゃかわええ。)
そんなことを思いつつ席に座る。
俺が座ったのを見て先生は教卓の前に立って言う。
「さて、この学校に来てくれてありがとうございます。早速ですが速水くんが学校の結界と、防衛システムをダウンさせてしまったので、先生はその修復に行ってきます。その間にテキトーに自己紹介とかやっちゃっといてください。」
と言っていなくなる先生。俺はあることに気づき、ホッとして、、絶望した。
(あ。これこの学校がやばいんじゃない。
、、、担任の先生がとてつもなくテキトーなんだ。(察し))
まあ言われたからには自己紹介すべきだと思って、前に行こうと顔を上げると先客がいた。そいつはメガネをつけてローブを着た、いわゆる魔法使いっぽい格好で立っている。そいつはメガネをクイッと上げたあと、雪崩のような勢いで喋りだした。
「どうもこんにちは。僕の名前はグラスというんですよね。妹も一緒に入学しているので仲良くしてあげてほしいんですよね。好きなことは喋ることなんですよね。あと本を読んで知識を蓄えることも好きなんですよね。得意なことは魔法全般なんですよね。そこそこ自信あるんですよね。うんちくでは誰にも負ける気がしないんですよね。どうもよろしくおねがいしますね。みんな、私も入れてです奇抜なメンツが揃っていますよね。、、なかなかに興味深いです。」
最後にクイッと眼鏡を上げてゼーハー息を荒くしながら戻っていったグラス。妹が無愛想な顔で背中をさすっている。意外と仲良さげだな、ていうか兄妹なのにで似ていなさすぎだろ。そんなことを考えていると、またもや一足先に他の人に教卓に立たれてしまった。
周りを不安げに見回しながらキョロキョロしている。俺と一回目があった時、何故か泣きそうになっていた。なんかあったのかな。会った覚えがないんだけど。
「えーと、おの、その、、、ぁぅぅ。」
とか言って黙りこくってしまった。目ん玉落っことしそうな勢いでキョロキョロしているので、いつまで黙ってるのかなと思い、声をかけてみる。
「あの、、どうしたの?」
すると顔色がさらに悪くなって、大急ぎで喋り始めた。
「えと、わた、私のなまガリッ」
壮絶な音を立てて舌をかんだ女の子。痛そうに口を抑えている。ダラーッと手の間から血がたれてきた。
みんなの心が一つになった。
(え?そんなに血が出るの?)
(あ、噛んだ。)
(「ガリッ」って、、どうやって、噛んだら、そんな音が、出るんだよ。)
(痛そぉぉーー。)
(噛みましたね。そうそう、噛むの「噛」という字は、実は「嚙」の俗字なんですよね。そして本来の
「噛」という漢字の意味は「かじる」なんですよね。「かむ」といういみの言葉だけで全部で「嚙む」・「噛む」・「咬む」・「嚼む」・「咀む」と、5種類もあるんですよね。、、なかなかに興味深いです。)
訂正。見事に誰の心の声も合ってなかった。
(転生?したら俺のクラスメイトが個性的すぎた件。)
くだらないことを考えながらも、その女の子がもう自己紹介続けるの無理そうだったので、俺が教卓に立って自己紹介を始める。
「えーっと、僕の名前は勇晤といいます。なんだかんだあって神を目指してます。好きなことは読書と、サッカーと、うんちく語りです。」
と言ってグラスにがんを飛ばしたら、結構きつい目でにらみ返された。心なしかメガネもギラリと光った気がする。なんだかんだありすぎたせいで、今の今まで俺のうんちくディクショナリィが火を吹いていないが、本来俺は自分の頭とうんちく語りに自信があるのだ。そのせいで幼稚園、小中で、はぶかれたのだが、、。
「これからお願いします。うーん得意なことは、、体術ですかね。」
、、あの数百年か数万年か詳しい時間は知らないが、あの地獄の修行のせいで俺の体術スキルはえげつないレベルまで上がっている。師匠にボコボコにされたあとに、オート修行のときにやっていた内容をもう一回繰り返すという悪魔の修練が会ったため、自慢ではないが、もう宇宙最強と言っても過言ではない。まあ、あの師匠相手だと足の小指一本で潰されたが、、。
、、、。
「あのときのリベンジマッチだ!!」
「、、まだ諦めないのかお前。もうこれで34519回めだぞ?」
「なんで知ってんだよ!」
その後滞りなく、ありとあらゆる攻撃を横に一歩動くだけでかわされ、最終的に足に指をかけて転ばされた。(タイミングがみごとに俺の重心が移動する瞬間に合っていたため、俺は見事にすっ転んだ。)
「はい乙〜。」
「くっそぉぉーー。」
「さて、負けたからペナルティで筋トレ追加ね。」
「嘘ぉ〜ん。」
、、、。
そんな一幕もあったが、、ていうかあの師匠どうやって倒すんだよ。神になって大幅に身体機能が上がったとしても、勝てるビジョンが思いつかない。てか神って肉体あるのか?
そんなことを思い出しながら、俺はさっさと席に戻った。
その後も、、。
「、、名前はヴィナ。よろしく。」
とだけ言ってさっさと戻ってきた無愛想なやつがいたり、、つーかそれ俺の隣の席の子だ!
「ふわあぁぁ。僕の、名前は、ライト、だよ。よろ、しく、、、、ねむ。」
とか言ってるやる気なさげなエスパーエスパーしてるやつがいたり。
「よぉぉぉぉーろぉぉぉぉーしぃぃぃぃーくぅぅぅぅーおぉぉぉぉーねぇぇぇぇーがぁぁぁーいぃぃーー。むぐっ。」
と文字弾丸が出まくってるので、みんな総掛かりで喋らせるのを必死に止めたり、と忙しかった。
(この時うんちく野郎は最前席で直撃食らってぶっ倒れてた。対象的に隣りにいた妹は、ずばばばばっとカンフーに似た動きで全部の文字弾丸を撃墜していた。やりおる。)
そんなこんなでなんとか自己紹介が終わり、先生が戻ってきた。
周りを見回して一言つぶやいた。
「なんで教室に入るたびに教室が壊れてるんでしょう?」
、、教室は特大文字弾丸や、迎撃のために出した俺の体術やら、サイコキネシスやらのせいで、シッチャカメッチャカになっていた。
文量をちょっとずつ増やそうと思ってるので、投稿時間が遅くなりがちです。