第11話 事故紹介
「さて、校門に入ったはいいが、どうすればいいんだ?」
そんなことをつぶやきながらぐるぐる回っていても、埒が明かない。
「とりあえず昇降口らしき場所に行けば、主事さんかなんかは、いるだろ。」
そう言っては見るが、なにか気が進まない。だって学校だし、トラウマの塊だし。
そんなことを考えつつ、校門のすぐ中を歩き回っていると、ある所に壁があることを発見した。というか、正確に言うと、そこから先に進めないような見えない結界?っぽいものがあるのだ。無理に通ろうとすると、結界がむにゅっとへこみ、元の形に戻ろうとして、跳ね返ってくるため、ズルズルと押し出されてしまう。
結界というと硬い物というイメージがあったのだが、この結界はモンスターじゃない方のスライムみたいになっている。
そのむにゅっとした感覚が面白くて、何回もムニュッ、ズルズル、ムニュッ、ズルズルと繰り返していると、奥に行こうとすればするほど、元の形に戻ろうと、結界が反発していることがわかった。すると限界まで奥に行きたくなるものだ。奥へ奥へと思いながら、むむむむと唸りつつ結界を押していると、いきなり結界の感覚が消えた。勢いよく結界を押していた俺は急には止まれずに叫びながら奥にすっ飛んでいく。
「のぉぉぉーー。NO!NO!ぉぉーー。」
そのまま錐揉み回転しつつ教室らしき部屋の窓を突き破り床に突き刺さる俺。ぽかんと口を開けてこちらを見ている同級生になるであろう人たち。俺の頭が真っ白になる。
「YA・RA・KA・SI・TA!!」
そのまま俺はぶくぶく泡を口から吹きながら気を失った。泡を食って本当に泡を食べていくスタイル、、。
〜〜生徒サイド〜〜
今日はついに学校に行く日だ。ワクワクしているが同時に不安でもある。友達はできるだろうか、みんなにいじめられないだろうか。
そんなことを考えつつ門をくぐる。校門は木でできている。というか、ただの切り株に学校名が書かれたプレートが下げられているだけだ。
このときに忘れてははいけないことは左の門に触れておくこと。これをしないと入るためのゲートが開かないのだ。中級神の上の方の実力者でも割るのに苦労する結界が張られているため、正しい手順を踏まないと入ることができなくなっている。生徒を守るための不審者対策だろう。しっかりと校門に15回(注:一回で十分です)ほど触れていたため、校門をくぐると目の前に薄い木の板が出現した。そこに手のひらで触れる。こうすることによって誰が入ったかを特定して、安全に学校生活を遅れるように、と配慮されているのだ。
「だ、大丈夫かな、、。正しく私だと認識誰なかったら捕まえられちゃうかも。あ!こうやって疑ったからもしかしたら入学させてもらえないかもしれない、、。今からでも謝罪したほうが、、。」
膝をついて土下座しようとしていると、何故か急いでいたかのように中途半端な大きさの扉が目の前に現れる。すぐにその扉が大きくなり、木のレトロで巨大な扉になった。大きさはだいたい手を広げても2,3人は通れる幅で、縦幅も、横幅に釣り合うように大きくなっている。その大きな扉を小さく体を縮ませながら入ると、いきなり教室の中に出た。
おそらく先ほど個人を特定していたので、そのデータを使ってその人の教室のところに自動で扉をつなげたのだろう。
そんなことを考えつつ、ホッと息をついて回りを見回すと、なかなかに変わったメンツのクラスメイトが目に入った。
カンフーのような服を着ている小さい女の子にものすごい勢いで話をしている男の子がいる。その男の子は長めのローブを着ていて、メガネをかけていた。
話をされている女の子はおざなりにしか話を聞いていないようだが、そんなことはお構いなしと言わんばかりの勢いで、その男の子が喋っている。その女の子と男の子は、教卓の前の席に座っていた。
また、教室の中なのになぜか釣りざおを持っていて、パーカーを着た女の子がいる。
その子は深くフードをかぶっていて宙に浮かんだ裂け目に釣り糸を垂らしているようだ。
フードの隙間から見える顔はなかなか整っていて、髪の毛は艶のある白金色をしていた。
近くにあるもう一つの裂け目は魚籠のようなものだろうか。
そのようなことを考えつつ、更に周りに視線をめぐらしてみる。
ほかにもひっくり返って空中に浮かびながらゆっくりと回ってる男の子がいる。
その子は目をつぶっていて、耳にヘッドホンのようなものをつけている。
何かを悩んでいるようでうーんうーん声を出しながらと悩んでいる女の子もいる。
異様なのは、その子がうーんと言うたびにその子の口から”うーん”という文字が飛び出て、教室の前の壁に埋め込まれている黒板に突き刺さっていることだ。
”うーん”という文字が突き刺さっている場所を見ると、前の黒板に座席表が貼ってあることを見つけた。残念ながら左半分は破けて、何が書いてあるかは読めないが、自分の席はわかったためそこに向かおうとする。おそらく紙が破けているのは悩んでいる女の子口からの高速で発射されている文字のせいだな。と考えを巡らせていると、なにかの声が聞こえてくることに気がついた。
「ぅぁぁぁーー。」
その音が窓の外から来ているような気がして窓に近寄ると、物凄い勢いで黒い物体が近づいてくるのが見えた。
それが自分にぶつかってきそうだったため、私はとっさに叫ぶ。
「薄影!」
すると、体がすうっと透き通った。体の向こう側が透けて見えている。
窓を突き破った男の子がガラスを撒き散らす。
しかしそのガラスの破片は体をすり抜け、床に突き刺さった。
ほっと息を吐いたのもつかの間、外から飛んできた男の子の体が私にぶつかり吹き飛ばす。
「え!?」
私は魔法が効かないことに驚きいたのもつかの間、宙を飛び、壁に叩きつけられて、そのまま気を失った。
その時教師と思しき神が入ってきた。その女性は着物を着ていて髪を結い上げている。
教室は何故か臨戦体制をとっているカンフー少女に魔法陣を浮かべている眼鏡の男の子。
そして迎撃のためにサイコキネシスのようなものを出した男の子がいて、教室には大量の“うーん“という文字の形をした塊や、ガラスの破片が突き刺さっており、しまいには倒れている女の子とガラスに混じって床に突き刺さっている中学生ほどの男の子がいた。
彼女は周りを見回してつぶやいた。
「あれ?今の時間って模擬戦の時間じゃなかった気がするんだけど、、。」
すると、それを聞いた我関せずというように黙々と釣りをしていた女の子がボソリとつぶやいた。
「何言ってんだこいつ。」
総pv数が400を超えました。あリがとうございます。