第一章 エルフ村編 第一話
どれくらい眠っただろうか。
もう、何時間も経ったような気がする。
周りから、風の音とか聞こえてくる。
そうか、これが死ぬってことなのかな、と勝手に解釈した。
まあ、死ねたなら、それは本望だろう。
まて。
風の音?それに、なんか草みたいな感触する。おかしくないか?
思わず目を開ける。そしたら、目の前に何本もの木が見えた。なんだ?ここ?
僕さっきまで学校の屋上にいたような…
とりあえず立って、周りを見渡してみる。たしかに、どこかの森だ。森に違いない。
なんで?
飛び降りた後に、意識がなくなった時のことを思い出してみる。そうだ!あのとき、確か変な声に話しかけられて、謎の光に包まれたんだった!
あれが何か関係あって、こんなところにいるのだろうか。
でも、死ななかったのか…。
まぁ、いじめっ子たちもここにはいないし、いいか。
しかし、どうも、お腹が空いている。森だけど、森の外に出れば、家があって、何か食べるものがあるかもしれない。
そう思って、僕は元いたところから歩き始めた。
二時間後
全く、この森からでれなかった。いや、この森広すぎだろ!!
やべ、お腹空きすぎてやばい…
すると、ジャーッと何か流れるような音が聞こえてきた。ん?この音は、もしかして、、川の音?
水!?
いま、水を飲んだら生き返る!
飲みたい!
そう思って、僕は音が聞こえる方向を探した。どうやら、水の音は僕の右のほうにあるらしかった。
その川は、見たこともないくらい綺麗な水が流れていた。昔、家族で行った綺麗な水の川よりも綺麗かも…
僕は思わず、しゃがみこんで、その水を飲もうとした。
「飲まないほうがいいですよ。」
後ろから、綺麗な透き通った声が聞こえてきた。僕は思わず振り返る。
見ると、長い黒髪をした超絶美少女が立っていた。というか、同じクラスの坂本恵さんだった。でも、なんか変な白いドレスを着ている。なんでだろう?
坂本さんは、僕が中一の時から想いを寄せる人だった。
「さ、坂本さん??」
「は?サカモト?なんですそれ?」
「…。え、僕のこと知らない?」
めっちゃ怪訝な表情をしている。
どうやら本当に知らないらしい。
坂本さんにそっくりな少女を話を続けた。
でも、よくみると、耳が少し長くて、尖った形状をしている。なんか変なアクセサリーでもつけてるんだろうか。
「その水を一口でも飲むと、10歳若返ってしまいます。それでもいいなら、飲んでください。てか、そんなことも知らないんですかぁ?」
と、不思議そうな表情でそう言う。
「わ、若返る?」
なんじゃそりゃ!そんなんありえるかぁ!
「あなた、どこから来た人ですか?」
「え?東京だけど。」
「トウ…キョウ‥?」
少女は首を傾げている。まさか、知らないのか?
「恵ちゃん?ふざけてんの?君と僕おんなじとこに住んでんじゃん。」
「え!?あの、え?
なんでわたしの名前知ってるんですか??」
知ってるも何も、クラスメイトだもん。
しかし、彼女の態度は、ふざけているようには感じない。むしろ、真っ当な反応をしているように感じる。
すると、急に彼女の服のポケットが動き、謎の生物が出てきた。
なんか、子猫に羽が生えたみたいな動物。なにこれ。かわいい。
「メル?どうしたの?」
メルと呼ばれたその羽の生えた子猫さんは、僕のところにやってきて、甘えるように、ミャア、と声をあげた。
かわいい、かわいすぎる。
僕は家で猫を飼っているので、思わず撫でる。
てか、おかしくない?こんな羽の生えた猫見たことない。
てか、いねーよ!こんな猫!
「うそ、この子が懐くなんて‥わたし以外に懐いたことないのに」
メグミちゃん?が驚いたように言う。
そうなんだ。なんか嬉しい。
メグミちゃん?は、僕の方へ向かってこう言った。
「あなた、もしかして、勇者様ですね?私たちの村へ来ていただけますか?」と言ってきた。
「え?勇者?ちょっと何言ってるかわかんな…」
「いいから、早くきてください!」
そう言われ、僕は半ば無理やりにメグミちゃんに腕を引っ張られて行くことになった。あの村へ。