謎の声
「おい、まおちゃぁん。金もってこいって言ったよなぁ?」
そう甘い声で言って僕のことを殴る。
3人で。
しかし、僕が暴力を受けているのに、同級生はおろか、先生まで止めてくれることはない。
我ながら僕もこの環境によくなれてきたと思う。
暴力が始まったのは、最近だ。
まず、親がお金持ちだということで、少しからかわれたり、靴を隠されたりする、という軽い嫌がらせから始まった。
僕の名前は、真緒だが、この女の子っぽい名前がいじめの原因にもなったのだと思う。
でもなんで、父さんと母さんは、僕にこんな女々しい名前をつけてくれたんだろうか。
もっとかっこいい名前あったじゃん。
いじめっ子の名前は、レオとゴウキとカイト。こいつらの名前は遥かにかっこいい。
さて、時系列を現在に戻そう。
今僕は、学校の屋上にいる。
なんでかって?
もう、生きるのに疲れたから。
いじめられてて、生きてる意味、ないじゃん?親もいじめられてるって言っても信じてくれないし。
今朝も、いじめっ子3人にお金を巻き上げられたばかりだ。
それに、僕のクラスの中で好きな女の子を、学年の掲示板で晒された。
今朝、その好きな女の子の顔を見たら、
無表情で、目を逸らされた。
あー、完璧に嫌われたわ。僕。
まぁ、で、死ぬことに決めたわけだが、やっぱり怖いのだろうか。足が震えている。
どれくらい時間が経っただろうか。
僕は飛び降りた。
享年、14歳。
僕が死んでも、あいつらは笑うだけなんだろうなー。
でも、テレビに出るかも。中学二年生が自殺!って。不本意だけど。
すると、突然僕の目の前が明るくなった。そう、光に包まれてる、、みたいな…
え、なにこれ。
なんか、飛び降りる瞬間で時が止まってる、って感じ。
すると、僕の耳に声が聞こえた。いや、声が語りかけてきた、と言ったほうがいいかもしれない。
(君はまだ死んではいけない。わたしの無念を晴らしてくれ。私になるのだ。)
は?何言ってんの?意味わかんないよ。
僕もう、この世界に未練なんてないんだって。
光がさっきよりもかなり強く僕の周りを包み込んだ。