THE BLACK PARADE 登場人物紹介
本作のヒロインにして主人公。
山奥の廃工場に放置された謎の廃車両を発見し、偶然その場に居合わせた河野留美と出会い、彼をめくるめく冒険の世界へといざなう。
本名不詳。
どこか浮世離れした、意味深かつ劇的な言動が印象的。
反面、口調は平坦で、表情もあまり動かない。
腰に届きそうなほど長い黒髪と、学生服とも正装ともつかない衣装のような服装が目を引く。
面と向かって話すとちょっと気圧されてしまいそうなくらい、眼力が強い。
どこで身につけたのか、関節技主体の格闘技を体得しており、アウトドアに役立つサバイバル知識や、その他の雑学もやたらと豊富。
口癖は「素敵ね」とか「お馬鹿さん」とか。
不明点の方が多い、謎の少女である。
河野留美。
本作の語り手にして、もうひとりの主人公。
現実逃避的な経緯で廃工場を訪れた際にフジノと遭遇し、彼女の冒険につきあわされることになる。
フジノとの廃車両を賭けた絶対的に勝ち目のない戦いを(ズルという)奇跡の力で勝利してしまう。
敗北のショックで泣き崩れてしまったフジノを慰める意図から、廃車両という場を共有しようと持ちかけたことで、二人は無二の友人になった。
……それが、彼女の重要な部分を決定付けてしまう選択だったとも知らずに。
巻き込まれ型主人公を地で行く男。
無欲で卑屈な、普通の少年。
近眼。眼鏡っ子。
わかりやすく童貞。
ツッコミを入れずにはいられないツッコミ人間。
やりすぎなほどに細部に渡ってツッコミをやり通すその姿には義務感すら感じさせる。
自らの弱さや不出来さに対するコンプレックスが強く、無意識に抱くに至ってしまった諦観と妥協から行動力を封じ込めている。
だが、少年が出会ったフジノという少女はそんな彼の信条から逸脱しすぎていた。
だから純粋に格好良いと思い、憧れたのだ。
篠原雛。
留美の学校のクラスメイトであり、彼とはとても仲の良い友達。付き合いの始まりは小学生時代に遡る。
背は高く、巨乳。そんな女性的な体つきと反比例するかのように、飾らない出で立ちの女の子。
そんな見た目ゆえに、ぱっと見にはボーイッシュで格好良くさえ見える。
しかし、性格の方は弱気で、引っ込み思案なタイプ。自分からアクションを起こすことは少なく、小動物的な雰囲気。
基本的には聞き上手で、不平や不満を言わない優しい女の子。
相手を悪く言うということをまずしないため、留美にとってはとてもリラックス出来る数少ない相手。
廃車両を襲撃した、不良チームのリーダー格。
着崩した学生服で紫煙をくゆらせるその姿は不良そのもの。
だが、一般的な不良というにはちょっとくどすぎ感のある変な言葉遣いで話す。
眼光鋭く、意志の強さが伺える。
喧嘩はそれなりに強いようだが、フジノの策略に割とあっさりと敗退した。
詳細な事情は不明だが、本来のテリトリーだった「北区」を抜け出し、わざわざ山奥の廃工場に溜まり場を作ろうと考える程度に遊び心に溢れ、仲間思いの人物である模様。
張修吾。
不良チームの参謀格を自称する、痩せぎすの男。
一応の立ち位置はチームの頭脳担当らしく色々と考えは回るようだが、ヤンキー口調なのですごく頭が悪そうに見える。
頭は良いけどバカなのが玉に瑕の噛ませ犬タイプ。
世の中に対する反骨心が強く、気に食わない事柄には口出しせずにはいられない面倒くさい性格をしているが、喧嘩はそこまで強くない。
塚本のことはリーダーとして尊敬している。
敷田孝弘。
口も態度も悪いが小柄で声は高いチンピラ少年。
気性が荒く喧嘩っ早い、チームきっての武闘派。
難しいことは考えない狂犬だが、野生の勘でちゃんと物事は思考している。
喧嘩は強い。根性もある。だが単純なので搦手に弱い。
全体的に偽物っぽい不良チームの中では、一番ホントの不良っぽい。
奥井譲
恰幅の良い大柄な男。
図体のデカさを買われて不良の世界に入ってきたが、争いごとは苦手な穏やかな性格の持ち主。
相応にプライドはあるようだが、人当たりは良く、むしろ普通の良い人感が強い。
無口なわけではないが、他の面々と比べると喋るほうではないので、なんとなく影が薄い。
遠藤祐希。
主人公になりそこねる少年。
色々と鬱屈していたところを塚本に拾われ、不良の世界で生きていたが、根本的な解決を見ることはなかった。
フジノと出会い、その有り様に刺激を受けたようだが、彼女の元には既に留美がいたので彼女の求める主人公にはなり得なかった。
不運な境遇と、主人公よりも真っ当な主人公気質。
全ては巡り合わせ。
故に、哀れなる失敗作。