表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トネリコの繋ぐ宙 -2 開闢篇  作者: あーもんどツリー
6/7

行くだけ行ってみようか。(今話は未来の話です)

あんな楽しかった日々でさえも、思い出す度に頭が痛くなるこの体質は最早、辛い以外の何物でもない。

このような罪深い老人を、このゲルマニアの神々は赦して下さるだろうか・・・?

何があったのか、読者は追々知ることになるだろうが、そこは老いぼれの筆だ、勘弁して頂きたいが、なかなか、そうもいかないだろう。

そろそろ、儂の日記は書き終わる。

追憶に捧げた人生の後半戦とも、これでお別れになると思うと、何だか寂しく感じるものだ。

この日記を付け終わった時、儂は筆を絶つことにしよう。

そうでないと、記憶を記録するというのは、老いた身には辛い。


『・・・、fin.』


と、最後の締め(くく)り文句の定番を記した老人は、早々とそれを(たた)み、重苦しい色のソファから腰を持ち上げ、悠々と、はたまたユックリと歩き出す。

何処へ向かうかは、宛てを決めていなかった為に、老人でさえ解らなかった。


「おい、(じじい)よ」

恐らく二年目くらいの若い兵士に、声を掛けられる。

「何だね、若いの」

「貴様が気に食わん。何故今の今まで、何年も何年も、あの家から出て来なかったのだ?

答えねば、貴様の身柄を議会に連行する。

下手をすれば、貴様は斬首だぞ」


兵士の問いかけに、老人はクフフ、と笑う。

何が可笑しいか、と怒りながら問うと、老人はこう答えた。

「いや、申し訳ないな。

何分、世間知らずな老いぼれな者で。

・・・(わし)があの家に(こも)っておったのは、儂の若い頃、そう、お主と同じくらいに見聞きしたことを、記しておったのじゃ」


興味が出たのか、自然と若者の身体から、警戒の色が薄れているようだった。

「もっと知りたいかの?」

「無論だ」

「お主、名は何と申す?」

「私はバルダー。バルダー・アインツマンだ。

貴様は?」


「私はロキ。路木ハルトじゃ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ