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狗の魔術師を駆るモノ  作者: 青木森羅
~ショウゴの旅~
10/37

『サイシン』 5


「公園の中は……人の反応があるな」


 ベンチか何かに座っている人が確認できた。あまり数は多くないが、簡単に躱していける人数ではなさそうだった。


「ボイスチェンジ・マイクONだ」


 モニターに、波マークが表示される。マイクがつくと表示される印だ。


『公園から退避するんだ!』


 レーダーに表示されている人影が立ち上がる、そして蜘蛛の子を散らすように出口に向かって走っていった。


「よし!」


 操縦球そうじゅうきゅうを動かしハウンドを前進させ、マークの位置でハウンドを停止させる。


「ハウンド、ステルスOFFだ」


 モニターの波が引いていく。


『ハウンドソーサリー、オンライン。チャージカウント、リスタート』


 ピーピー、と警戒音が鳴る。

 公園の入り口を見ると、戦車がこちらの狙えるように二カ所の入口に待機していたようだった。


「バリアON!」


 叫ぶと同時に戦車からの攻撃が始まる、紙一重で間に合い砲弾が当たる事はなかった。

 それと、まだ『トウテツ』の姿はなかったのも救いだった。


「ッ!」


 杖の姿が頭に映る。

 ハウンドの細い腕が、杖を正面に向けて回す。先端から、文字のような模様のような物が描かれた円が出現した。右手の人差し指が動き、ハウンドはその動きに合わせて杖を振り下ろした。


 ビービービー!

 その意識を打ち消すように警戒音が鳴る、これは事前にマークしておいたモノが現れた時に流れる音だ!

 センサーに目をやると後ろに反応がある!


「後ろか!」


 急いでハウンドを動かす。その直後、壁に張り付いていたモノがその場所に落下してくる。体勢を直したその姿は、薄闇の中では視認する事が難しく、銀色に光る刃だけが見えた。


「今度こそアンタを殺させてもらうよ、ソーサリー!」


 砲撃がいつの間にか無くなっていた、その理由は戦車を見てひと目で分かった、砲身が何かで切られたように短くなっていた。

 それは相対しているトウテツのやった事なのだと、すぐに分かった。

 ハウンドを一歩だけ下がらせる、それに合わせるようにトウテツは飛び上がった。

 それは攻撃の為ではなかった事はすぐに分かった。


「消えた!?」


 正確には消えたのではない、熱源レーダーにはきちんと反応があるのだけどその視認性の悪さ。それと神出鬼没を可能にしている足音の無さ、それはソナーセンサーに感知しない程の高性能だった。


「あのビルの方か!」


 ハウンドの頭をそっちに向けるのだが、


「ハハハ! お前に私は捕まえられないよ!」


 その声が聞こえると同時に熱源の場所が変わる、先程までのビルの反対側。


「ソーサリー自体の熱源感知能力は高性能なんだろうけどね! そんなのはこっちだって知っているんだよ!」


 トウテツは更に移動をする、しかも何度も何度も。次第に残っていた熱にセンサーが反応し、あちこちのビルを赤く見せた。

 そして足音のない理由も理解できた、接地している所と吸着できるような機構があるのだろう。

 

「マズい! レーダー、OFFだ!」


 画面から赤が消えた、そして一陣の光が闇を切り裂き向かってきた!


「死ねぇ!!」


 ハウンドに左を向かせる、トウテツの刃はハウンドの前腕部を貫通していた。


「チッ!」


 トウテツはナイフを引き抜くと、再度闇の中に消えていく。

 左手を乗せた操縦球の指の部分を操作して指を握ろうとしたが、ピシピシを音を立てるだけでうまく曲がる事は出来なかった。

 ゆっくりとハウンドを動かす。


「どうした? やけに動きが遅いな!」


 笑いながらそう話しかけてくる。


「さっきので諦めたのか?」


 ハウンドをビルを背にしてに立たせた。


「それならば!」


(ビルは目の前と左手にあるのだけだ、これなら!)


 左手の方からキラりと光る何かが見えた!


「ヘカよ!」


 右手の操縦球を指のボタンに力を入れながら引き、再度伸ばす!

 右手に表れた小さなかけらが表れ、そのひとかけらが伸び黒と金の小さな杖の形に変わる。

 迫り来るナイフと姿の見え始めたトウテツに向けて杖を回す、丸くなっている杖の先端から円が現れた。


「ヌール!」


 円の中心から光の柱が現れ、真っ直ぐにトウテツを貫いた!

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