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第13話


 あたしもめでたく、中学をそつぎょう。そして、ユッくんとおんなじ高校にもごうかく。

あたし、よくがんばった。はくしゅ、パチパチパチ。

「3年間、またいっしょだね」

 あたしが笑顔でいうと、ユッくんが笑顔でウンっていってくれた。

「でも、きょうから3日もはなればなれだね」

 あたしたちは、おんなじ新幹線にのってた。おんなじ新幹線だけど、行き先はべつべつ。

あたしは京都、ユッくんは大阪。きょうはクラスのみんなで卒業旅行、男の子は大阪、女

の子は京都にむかう途中。男女べつべつだから、あたしとユッくんもべつべつ。京都と大

阪ってちかいけど、あたしたちにとっては遠い。おとなりさんのあたしとユッくんにとっ

て、京都と大阪はすっごい遠距離。でも、3日ならガマンするよ。あさっての夜には、ま

たおとなりさんだからね。

 京都についたら、あたしは新幹線をおりた。ユッくんは新幹線にのったまま、ピューっ

て向こうのほうに走っていった。ユッくん、ちょっとだけさよなら。


 京都はとってもキレイだった、本で見るよりずっとキレイだった。すずしいけど、あっ

たかい。風がぴゅうぴゅうして涼しいのに、あたしの体の中はほんのりしてる。ユッくん

にもみせてあげたいな、写真なんかじゃなくてここで。ユッくん、いつか2人でここに来

ようね。

「こらっ、ボーッっとしない!」

 ビクッってして、ふりむいたらサッチがいた。

「なんだっ、おどかさないでよ」

 体にわるいじゃん、ただでさえあたしの体はよわっちぃのに。

「今、ユッくんのこと考えてたでしょ?」

 ドキッ、せいかい。

「ユッくんといっしょに来たいって考えてたでしょ?」

 ドキッ、ドキッ、またせいかい。サッチはするどい、だてに8年も友達やってない。

「いいじゃん、来たいって思っても」

 ユッくんはあたしのすきな人だよ、問題ないでしょ。

「いいに決まってるじゃん、2人でまた来なよ」

 サッチのへんじ、なんだか意外だった。ユッくんにあまえるんじゃない、とか言われる

のかとおもった。

「なぁに、その目は?」

 サッチがいった、あたしが「なんだか意外」って目をしてたからだと思う。

「さいきん、あんまり怒んないね、サッチ」

 あたしがユッくん、ユッくん、っていっても。

「なんかね、あんたたちを見ててわかったの」

 あんたたちって、あたしとユッくん?

「ミサコとユッくんはね、はなればなれにならない仲なんだなって」

 そうだよ、あたしのとなりにはユッくんがいるし、ユッくんのとなりにはあたしがいる

んだよ。たぶん、この先も、ずっとずっと。

「だったら言うことないでしょ、あたしがどうこう」

 もうあきらめたから、ってサッチはわらった。あたしもつられてわらった。

「それに、ミサコもだんだんガマンづよくなってきたしね」

 ユッくんのこと以外、ってサッチはまたわらった。あたしもまたつられてわらった。


次回が最終話になります。

この13話から繋がっていくストーリーの予定です。

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