第二話
―に・・・し・・もうん・・ねこ・・ひ・・・
―フ・・タム・遭・・・被害は・の程・・て
―ん?あ、目が覚めたみたい。
意識が闇から浮上したとき最初に目に映ったのは高校生ぐらいの男の子だった。
「おはようございます。淡島さん!具合の方はどうですか?」
「そうだな、割と良好だ。」
「それはよかった!あなた、フェンタムと遭遇した上に頭を軽く打っていたみたいでしたので心配したんですよ!」
―あぁ、そうか。俺は子供を助けて踏みつぶされそうになって・・・・、あれ?なんで無事なんだ?
「それはですねぇ、最近噂のドール型に助けてもらったんですよ~♪」
「ドール型?」
さらりと心を読んできたのは置いておいて、ドール型という言葉に俺は顔をしかめた。
「フェンタムは憑依型と分離型だけのはずだろ?」
「おぉ!割と知ってますね。なら話は早いです!実はですねぇ、もう一つあったんですよ!最近見つかったばかりですけどね!あ、そうだそうだとりあえず本題に入りましょう!」
―なんだこいつは・・・・。心読んでくるし、テンションやけに高いし何より若すぎじゃね?
「あぁ、申し遅れました僕は霧雨藍、フェンタム専門の医者で、心象世界の担当もしています。これでも一応高校生ですけどね。」
「わかった。よろしく頼む、霧雨先生。で、本題ってのは?」
このままいくと、話が進まないと判断し、先を促した。
「失礼しました。つい、興奮してしまって。さて、本題ですが心象世界を見せていただきたいのです。偶然とはいえフェンタムに遭遇して、怪我させられたようなものですから心に傷が出来ている可能性があるんです。で、もしもの時のために心象世界に干渉する許可を頂きたいのです。」
「なるほどな、許可するぜ。よろしく頼む。」
「えぇ了解しました!お任せください!」
そういうと彼は近くに用意されていた、小さな機械を手に取りそれの電源を入れた瞬間、病室は別の空間へと変貌した。
「すげぇ・・・。」
「どうです?初めてのあなたの世界は!」
そこは淡い銀白色の世界だった。
色々な美しいと感じられるモノが散りばめられていて、何故だかとても落ち着いた。
「さてさて、ちょっと検査しますねー♪」
そういってから霧雨はそこらじゅうを走り回りつつ、検査をし始めた。
待っているあいだ、俺はこの世界を堪能することにした。
しばらく見渡していると、景色に紛れて見つけにくかったのだが、確かにそこには白銀色の球体が浮いていた。
「なんだこれ?」
そっとそれに触ろうと手を伸ばそうとした途端後ろから大声がして、おもわず手を止めた。
「あー!!!それに触らないでください!!」
「なんでだ?」
「それは心の核。我々はスパークと呼んでますけどね、それに不用意に触るとフェンタムが生まれてしまうんですよ!!」
「そりゃあぶねぇな。」
「とりあえず、核も無事みたいですしココも大丈夫ですので戻りましょう!」
「あぁ・・・。」
瞬時に元の病室の風景に変わり、霧雨はカルテに書き込んでいった。
「問題はないので明日あたりには退院できそうですね。」
「わかった。」
その後、一言二言会話したあと、霧雨は病室を去った。
俺はそれを見送り、ひと眠りすることにした。