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彼と私のぐだぐだ恋愛日記。

ぐだぐだデート。

作者: ひばり れん
掲載日:2014/02/15


本日も晴天なり。

まさに雲一つない青空。

絶好のデート日和。


なのに、なんで。

私は室内にいるのでしょう?


「ねぇー、どっかいこうよー」なんて無謀な挑戦はできない。

それは彼がとても、独占欲が強いから。

外にいる男性全てが害虫扱いであり、私は誰にも譲れないものらしい。

聞きたくなかった事実を知ったあの日、鳥肌が止まらなかった。


今日も安全にお家デートです。

わーなんて安全なんでしょう。


つまらない。実に退屈である。


むくれている私の色素の薄い茶髪を三つ編みにする彼を見て思う。

どうしてこの人と付き合うようになったんだっけ?


そもそも中学の卒業近くになってから、だったと思う。

告白されたのだ。ものすごく普通な感じに。

「好きです」「付き合ってください」これ以上なく、無難。

それがファーストコンタクト、だったと記憶している。


「やっぱりどんな髪型も似合うね」

「・・・ソウデスネ」

「次は何がいいかなー。ポニーテールとか?」


せっかく時間をかけて編んでいた三つ編みを解き、もう一度梳く。

しゃ、しゃ、と。決して大きくない音が鼓膜を刺激する。

なんだかお姫様みたい。・・・囚われの。


勇者さんはいつ来るのかな?はよきて。


「ねぇ、なんでお家デートばっかりなの?」

「んー?だって室内ならどんなにくっついても怒らないじゃん」


公の場だと照れるという、私の心理をきっちり分かってらしたのか。

否定できない自分が情けない。

だって恥ずかしいじゃないか!人前でバカップルみたいなこと、絶対無理だ。


悔しい。

他でもない、この彼に自分の考えを見透かされているのが。

この上なく、悔しい。


「もしかして、お外にデートしたいの?」

「だって退屈だもん」


見飽きるほどに訪ねている彼の部屋。

本棚に並ぶ参考書のタイトルを暗唱できるほどに眺めている。


「うーん、お外はなー」

「なんでそんなにいやそうな顔するの?」

「だって俺の彼女なのに、他の人が見るなんておかしいじゃん」

「・・・・ぅん?」

「俺だけが愛でるべきであって、他の人は一目だって見ちゃダメなの!」


おかしい。

日本語でコミュニケーションしているはずなのに、彼の言おうとしている事が理解できない。

退屈の所為で脳みそが溶けてしまったのだろうか。


「だから貯金が溜まったら、遊園地を貸切にしてデートするんだ」


それは死亡フラグだよ、というツッコミはしなかった。

そんなことに無駄にお金を使わないで欲しい。

普通に、一般料金で、楽しもうよ。

デートだよ?私達まだ高校生だよ?

金銭感覚がずれているというわけじゃないと思いたい。


「それまで、まってて?」

「やだ」

「あれれー、今日はわがままさんだねー」

「むー」

「じゃぁ、お買い物でも行く?」

「え、いいの?」

「お手てつないで行こっかー」

「やだ」


あらあら困った子ねぇ、と言いそうなおばさんのジェスチャーをする彼。

困っているのはこっちだよ、の文句苦情はしまっておいた。


髪を束ねて、上へ上へと持ち上げ、縛られた感覚。

ポニーテールが完成したようだ。後ろまで綺麗に整っている。プロの技か!

シャラ、と音がする。もしかして小学生女児のしている類の髪留めだろうか。

取ろうとした右手を止められる。


「だーめ」

「子供っぽいのやだ」

「いいじゃん。今日は甘えたさんでしょ?」


お財布と、スマホをポケットに突っ込んで準備完了した様子。

座ったままの私の両手をつかむのではなく、脇の下に手を差し込んで立ち上がらせる。

介護されている人の気持ちだ。


「デート、行こうか」

「・・・・・・・・(ぷぃ)」


にこやかにしている彼がかっこよかったとか言えないから。

なんだか顔が見れなくて、目線を逸らした。

その隙に左手が攫われてしまい、恋人つなぎの生産がされる。


数時間ぶりに彼の部屋から出た。

外に出て、件特有のスーパーに向かう。

いつも好んで利用するスーパーだから、勝手知ったるものだ。

バカップルを見るような、不躾な視線は感じないフリをしておく。

心が折れそうだ。明日以降、このスーパーに来れる気がしない。


「何買うの?」

「うーん、何食べたい?」

「・・・・・・甘いのがいい」

「了解ー」


私と一緒にいる時の彼の顔は、いつも崩れ過ぎている。

にこにこ、じゃなくて、にへらぁ、って感じ。

かっこよさが乖離していて、可愛い感じが押し出されているみたいだ。


彼の左腕にかかっている買い物かごに、クッキーやらチョコレートやらが入れられていく。

慌てて止める。もしかしなくても、彼はポケットマネーで払う気だ。

割り勘という考えは真っ向からない。

それにしたって、一体幾つ買う気なの!


「そんなに買ってどうするの?」

「え、だって」

「・・・・太らせて食べる気なの?」

「うーん、それもそうだね。どれが好き?」

「チョコのは好き」

「俺は?」

「・・・・・(ぷぃ)」

「もーかわいいなぁー」


私が好きだと言ったお菓子以外を棚に戻す。

その傍らで、彼の好みだと思われるお菓子を私が突っ込む。


「これ甘くないよ?」

「・・・・・いいの!」


彼は私とは逆で、辛党である。味覚が合わない事は多々ある。

でもお互いの好みは尊重し合っているから、食べ物のトラブルは今までない。

それに彼が、嫌いなものを無理やり食べさせられると私が怒る、とわかっているから。


「えへへへ」

「なに?」

「優しいなぁって」

「・・・・別に!たまにはいいかなって思っただけ!」

「素直じゃないなぁ」


顔が赤くなっている気がしたので、そっぽを向く。

どうだ、これで私の顔は見えないだろう。ざまあみろ。

なんて。幼稚にも程がある発想に我ながら、馬鹿だと思う。

いつもいつも、こうだ。素直って言葉は私とは無縁な存在なのだと痛感する。


彼が好きなのは、きっと私なんかよりもずっと素直な女子だろうに。


「つれない態度も俺は好きだよ」


こうして甘やかすからダメなんだよ。

ほらまた顔崩れているし、私の顔は真っ赤に染まるし。

冷えてるかなーと耳たぶを触れば、暖かい。これはまずい。

離れようにも、彼に掴まれた左手が邪魔でままならない。

うわー、どうしよー。なんて悩んでいる内に、会計までが滞りなく済んでしまった。


後でレシートを見せてもらおう。

全体の半分、それか自分用のお菓子分くらいのお金位払わないと気がすまない。

そもそも彼は節約という言葉を履き違えてはいないか心配だ。

彼のお金は、彼のために使うべきなのに。


「じゃぁ、帰ろうか」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん」


私の家じゃないけど、と言いかけてやめた。

どうせ彼のことだから、「いつか一緒の家に住むの楽しみだねー」とか言いそうだったから。

まだ、そんな歳じゃないから。そう言って逃げているも同然だけれども。


もしも、婚姻適齢になった時。私はどうするんだろう。

でもそうか。その時まで、この関係が続くかに因るか。


そう考えた私は、当分こうしてぐだぐだと生きていくことにした。

他愛のない小さな話や、デートがいつか、懐かしい思い出話になるのだろうと思って。


「また、デートしようね」

「うん」


外がいい、なんて贅沢なのだろうか。

言いかけた口を右手で抑える。上機嫌な彼を徒らに不機嫌にする必要はない。

相変わらずニコニコ顔の彼を横目で見て、ほっとする。


夕日の中の私達の影は遠ざかるスーパーまで伸びていた。

恋人つなぎしている影が、遠くの方に残されていたのは結構恥ずかしかったけど、まぁいいか。

だって影に顔なんてないもんね。







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