Ⅱ:召喚先は森の中
前回のあらすじ。
・スライムが仲間になった!
・異世界に召喚されるようだ!
・落ちた!
ドシン!
「痛゛ッ!」
落下から0.2秒後、俺は背中をしたたか打ち付けて着地した。
「ピュイ?」
「ピャピッ?」
そんな俺を見下ろす、青と赤の生物。
ったく、僕をクッション代わりにしやがって……
……って、えぇ!?
「ふふふ増えてるぅ!?」
そんな馬鹿な! 赤いのなんてついさっきまで居なかったぞ!?
「ピャピッ?」
よく見ると、正面が『´・ω・`』じゃなくて『`・ω・´』になってる。
……なんだろう。 ツッコんだら負けな気がする。
「ってそれ以前に…… ここは何処だぁ!! 見渡す限り木しか無いんだけど!!」
あまりの理不尽さに、ついつい大声を出してしまう。
例えるなら、富士の樹海のド真ん中に手ぶらでで放り出された様な気分だ。
「ピヤッ!(ぴょんぴょん)」
……と、赤いのが少し離れた所で跳ねている。 僕を呼んでんのか?
『 スライム(赤)が付いて来いと言っているようだ……
付いて行きますか? はい いいえ 』
「はぁ、仕方ない……」
案の定頭に浮かんできた選択肢の『はい』を押して、僕はよろよろと付いて行く(まだ背中が痛いんだよっ!)。
~~10分後~~
赤いのに付いて行くと、少し開けた所に出た。
「グルル……」
そして、そこには体長5メートルはありそうな、大きな熊さんがいました♪
「あははは……」
「グルル……」
にじり寄ってくる熊に対して、俺がとる行動は1つ――
『 ギガントベアーが現れた!
どうする? 闘う →逃げる 』
「逃げるぞお前ら!(ダッ!)」
「ピュイッ!(ピョンッ!)」
「ピャピッ!(ピョンッ!)」
「グルアアアッ!!」
――そう。 全力で逃げる事だ。
~~???side~~
「ねぇ、帰ったら何食べる?」
「えっと……う~ん……その……」
「……ごめん。 聞いたアタシが馬鹿だったわ……」
アタシ『トウカ』とその相棒『シズク』が、依頼されていた魔法草を手に入れ、町に帰る途中の事だった――
『助けてくれぇー!!』
『ピュイー!!』
『ピャピー!!』
――そんな悲鳴が聞こえてきたのは。
「えっ!? とととトウカちゃんどうしましょう!? 誰かが助けを呼んでますよ!?」
「ほっときましょ。 どうせ、駆け出しの【魔物使い】が実力を過信して、森の主にでも戦いを挑んだんでしょ」
「でも……」
「ほらっ、行くわよシズク」
軽い冗談を言ってから、シズクの手を引いて帰り道を進む。
……と、背後の草むらから、ガサガサと大きな音がした。
「ん? ……えぇっ!?」
そして振り返ったシズクが、目を丸くして驚いていた。
「シズクどうしたの? ……まさか、アタシの言った事が本当に起こった、とか言うんじゃないわよね?」
アタシは後ろを振り返らずに、歩きながらそう言った。
「トウカちゃん! そのまさかですよっ!」
「もぅ、何言ってんのよ。 そんな「そこの2人!助けてくれぇっ!!」……嘘ぉっ!?」
声にびっくりして振り返ると、2匹のスライムを従えた少年(たぶん【魔物使い】)が、必死の形相で助けを求めていた。
その背後には、鬼の様な形相を浮かべたギガントベアーが。
「……逃げるわよシズクっ!!」
「えっ!? でm「いいから早くっ!!」
混乱しているシズクの手を引いて、私達は走り出す。
「えっ!? ちょっと待ってっ!!」
「ピュイッ!」
「ピャピッ!」
【魔物使い】達も走り出す。
「グルアアアアアッ!!」
ギガントベアーも走り出す。
「…………って、何でついてくるのよっ!!」
…………皆、同じ方向に向かって。
2/18) 文章をちょこっと訂正。




