ⅩⅡ:再会?
「せんせ~、前回って何をしましたっけ~?」
「復習か? まかせなっ!」
・ギルドなのに煌びやか!
・羽ペンが縦に真っ二つ!
・紙が粒子化!
・未だに主人公の名前は明かされない!
「復習終わりっ!」
「……護衛に魔物退治、薬草の採取、人探し、害虫駆除、無くし物探しまで……本当に何でもアリだな……」
衝撃の事件(詳しくは前話をチェック!)から、たった3600秒で立ち直った僕は、せっかくなので依頼を受けようと張り切っていた。
「う~ん……ど・れ・に・し・よ・う・か・な・か・み・さ・ま・の・い・う・と・お・り・に・は・あ・え・て・し・な・い、っと。 ……ん?」
無数にある依頼から1つを選び出したその時、丁度新しい依頼が張り出されようとしています。
『よいしょ、よいしょっ(ペタッ)』
『ねぇ、これでいーの?』
『大丈夫ですよ。 さっ、後は見つかるのを待ちましょうね』
『『はーい!』』
小学校1年生くらいの女の子2人(金髪で桜色のワンピースの子と、銀髪で空色のワンピースの子。2人ともツインテールだ)が、受付のお姉さんに元気な返事をして向こうの方に駆けていく。
「……何の依頼だろ?」
『あんな小さい子の依頼だ。 簡単なものに違いない』と踏んだ僕は、お供の3匹を連れて、新しく張り出された依頼をチェックする。
それには、お世辞にも綺麗とは言えない字でこう書いてあった。
『 なまえはわからないけどね、まっくろなおようふくをきていてね、あおいろのすらいむさんをね、つれているおにいちゃんおさがしています。
みつけたらね、わたしたちのおむこさんにしてあげる☆
依頼者:キャルト、キャロル
報酬:10,000,000F 』
半分より上が著しく読み辛いが、辛うじて人探しの依頼という事だけは読み取れた。
『こんなの読めねぇよ!』って人の為に読み易く直すと、
『名前はわからないけど、真っ黒なお洋服を着ていて、青色のスライムさんを連れているお兄ちゃんを探しています』
って書いてある。
「へぇ。 黒い服を着ていて、青いスライムを連れた人か。 そして報酬が、一・十・百・千・万……1000万!?」
わぁびっくり。 そんなお金があれば、作者が100年も生きられるじゃないか。
……って、ん? 何だろう、この強烈な違和感は。
「あぁっ! 何故か僕の1つ前の台詞に振り仮名が打ってある!? 何これどういう事!?」
い、いや、おちつくぇ……コホン。 落ち着け僕! 学ランを着ているのは僕だけじゃないはず(こっちに来て見たことないけど)! 青いスライムだって、ショボンと決まった訳ではない(青いスライムを連れた人見たことないけど)!
「……そ、そうさ。 これは僕以外の別人で「あー! くろいふくのおにいちゃんだー!(ガシッ)」「ほんとですっ! さがしたんですよ、おにーさんっ!(ガシッ)」ある確率は限りなく0に近づいたなっ!」
キャッキャ言いながら僕の腕に抱きつく2人の少女を尻目に、必死に悔し涙を堪える僕。 傍から見たら感動の再会だが、当事者の僕には何の心当たりもない。
「ギルドの中は走っちゃダメぇえええっ!!(ドドドドド)」
……と、そこへ、さっきこの子達といた受付のお姉さんが到着。 ……貴方の方が走ってますよね?
「うけつけのおねーちゃん! くろいふくのおにーちゃんがみつかったの!」
少女の1人が、満面の笑みで答える。
「ぜぇ、はぁ……あら、そうだったの? ……貴方が、この子達の言う『おにいちゃん』なのですか?」
それに対して、訝しげにこちらを見てくる受付の(略)。 どうやら僕の事を、『幼女趣味の危険人物』だと思っているみたいだ。 ……良い子の皆は、そういう趣味は二次元だけに留めておくんだぞ! お兄さんとの約束だからな!
「いや、僕は「あーっ! あおいろのすらいむさんもいますっ!」
「ほんとだー! あおいすらいむさん、おひさしぶりだね!」
「ピュイッピュ♪」
僕の声を遮って、少女達はショボンを突っついたりして遊んでいる。 くそっ! 遮られた所為で訂正できなかったじゃないか!
……ん? 今、金髪の子が『お久しぶり』って言ってたよね。 って事はもしや……
「……ちょっと聞きたい事があるんだけどいいか?」
「「うん? いーよ♪」」
「もしかして、僕を召喚したのは君達なのか?」
「「そうだよ(ですよ)?」」
え~、うっそ~、マジで~?