すげぇ執念・・・・by結城
大分遅れてしまってすいません。
いろいろと忙しかったもので。今年から受験生ですけど今までどうり更新できるよう頑張ります。
体育祭、二日目。朝から野球の試合の俺達はグラウンドでストレッチをしていた。
今日の午前中に準決勝、明日の昼から決勝戦だ。明日の午前中はたくさんの客が来ている旅館の仕事で忙しいので、今日の午後だけが犯人を捕まえるチャンスとなる。
「おい葉、何をボケっとしておるんじゃ。とっとと余のストレッチを手伝え」
っと今は神姫のストレッチを手伝ってるんだった。はいはい。言われたとおりにやりますよ。
「なんじゃ、その顔.....不満でもあるのか」
不満か......特にないが、強いて言えば、こいつの体がかたすぎて、全然ストレッチにならないことぐらいか。
「体、かたいな。お前」
「うっさい!ほっとくのじゃ!」
しかし、自分の足どころか膝にぎりぎり手が届くようなやつを、俺は初めてみるぞ。
そんなこんなしながら、試合が始まるのを待つ。
と言ってもあと10分ぐらいだが。
「ねぇ、兄さん」
「なんだ」
「相手チーム、遅すぎじゃないですか?」
確かに遅い。あと10分だというのに影も形もない。
「何か事情があったんだろもう少し待ったら来るさ」
しかし、待つこと5分。
後5分で試合開始だというのに、来ない。
「ご主人さま。本当に来るんですか?」
「来ないなら不戦勝になるな」
こんなに遅れるのは一体どこのチームかとトーナメント表を覗いてみる。
相手チーム名は....TA会か、どんな名前だ。
「もう不戦勝でいいんじゃないでしょうか」
そうだな、と瀬名の言葉に頷き、審判の元へ駆け寄る。
「すいません、相手が来ないんで、俺達の勝ちでいいでしょうか」
「ああ.....はい。いいでしょう」
「そうですか。ありがとうございます」
審判から離れ、みんなの元に近づく。
その途中。
どっっっぱぁぁぁぁぁん!!
大きな物音をたて、グラウンドが揺れた。
「な、何があったのじゃ!?」
「わからん!ただ危ないから下がってろ!」
神姫は言われたとおり俺の後ろに隠れる。
俺はいまだ土煙が舞っているグラウンドの中心を睨む。
そこから、声が聞こえた。
「その、不戦勝、待ってもらおう!」
「我らは今ここにきた!たくさんの準備を整え、怨敵への恨みを溜め....ようやくここまでこれたのだ!この、深見葉を倒せるところを!」
「ね、ねぇ葉。向こうはあんたを名指しにしてるけど、あんた向こうに何したの」
「わからない。たぶん何もしてないと思うんだが....」
「黙れぇい!自分が何をしたか覚えていない愚か者が!我らはずっとお前に対する恨みだけ抱えて生きてきた....」
「ふわわ....葉、向こうの人たちどんどん怖くなってきているよぉ」
風花の言うとおりだ。すごく怖い。放っておいたら未知の生物になってしまいそうなほど負のオーラがある。
「忘れたのなら思い出させてやる!」
「我らの名前は、TA会!別名....橘朱莉、赤峰瑠花ファンクラブだぁあああああ!」
あぁ、わかったよ。なんでこいつらが俺を恨むのかを。
ちなみに、会長も人気がある。もともと可愛いし、偉そうな性格の割には生徒の相談を聞いたり、要望を叶えに走りまわったりしていて、ギャップ萌えなんだそうだ。
「てか結城。お前名誉会員だろ?」
「ああ、そうなんだが、最近は顔を出してなかったしな.....」
向こうの様子を見てみる。
「橘様、必ず、必ず深見葉からの呪縛を解き放ってあげますから」
「赤峰会長、俺、もうちょっとで深見葉を倒せるんだ!」
「待っててね会長。貴方に助けてもらった恩、深見葉を倒すことで返しますから」
「はぁ、はぁ、あかりちゃぁぁん」
「はぁ、はぁ、会長ぅぅぅぅ」
みんな独り言をつぶやいてた。最後の二人はやばくないか?
怖い、手かきもい。今からこんなチームとやるのか。
怖くてきも過ぎる。橘ですら、若干きもがってるぞ。あの無表情の橘が。
「それでは、深見温泉旅館チーム対TA会チームの試合を始めます。礼」
「「お願いしまーす」」
ああ、こんなチームとやるなんて本気で嫌だな。