無駄なことなんて一つもないのよ!by千尋
そういや旅館全然関係ないな....とか思いつつ、次話投稿です。
今回は野球中心となっております。....たぶん。
会長と手伝わされて(無理やり)坂本元先生を捕まえた日から二日、今日は体育祭の三日前ということで、昼間手伝ってくれいるお手伝いさんに無理言って、旅館をすべて任せている。
「ほれラストォ!」
結城が打ったフライを外野のユニが危なっかしげに捕る。まぁ一応さまにはなっているからよしとする。
俺はブルペン(あった)で橘の投球練習に付き合っている。
こいつの球に俺が慣れる意味もあるので、どちらかというと捕手練習だが。
「よっしゃ、こい!」
無駄に意気込んでキャッチャーミットを構える。
そこに橘の剛球が入ってくる。
ばっしぃいいいい!
いってぇええええ!さっきからこんな球ばっかりだ。そりゃ俺が捕るための練習だから仕方ないが、それでももうちょっと手加減してくれてもいいと思う。
しかし練習のおかげか、俺がボールを落すということはほとんどなくなった。
「橘、休憩にしよう」
そう言って俺はキャッチャーミットをはずす。本当に手が痛い。
するすると駆け寄ってきた橘が真っ赤にはれた俺の手を見ている。
「.......ごめんなさい。手加減できなくて」
...驚いた。こいつもまともに謝るんだな。
ほうっときゃ泣き出しちまいそうなくらいに橘が俯いている。
「何、こんぐらい大丈夫さ」
そんな橘を見てるといたたまれなくなって、ついやせがまんをしてしまう。
「.....でも」
橘はそれでも心配そうにして何か言いたげだったが、グラウンドからみんなが戻ってくるとまた黙ってしまった。
俺はいまや実質キャプテンに近い千尋に、みんなのでき具合を確かめにいった。
「うわっ、あんたその手大丈夫?あと三日だから直しておきなさいよ」
「わかってるよ。それよりみんなちゃんとできてるか?」
千尋は少し考えてからみんなの評価を言いだした。
「ええと、まず私は完璧として、結城もいける。なぜか野手だとコントロールいいしね。晴人は若干体力ないけど大丈夫。あと神姫ちゃんも結構運動神経が高いから使える。.....ルールを覚えれば。瀬名ちゃんも晴人と同じくらいってとこかな」
「まぁ、そんなもんだろ。こっちも橘は完璧。俺もたぶんいける。.......さて、残りの二人は?」
「......正直言って、使えないわよ。風花はまぁ知っていたし、ユニちゃんも風花並みだからねぇ。それでも、二人とも簡単なフライやゴロ、ちょっとしたライナーもとれるから、多分.......大丈夫」
最後に力なさげにいい、二人同時にため息を吐く。
たぶん大丈夫だろう。たぶん。
その日の夕方。もう本当にキャプテンと化した千尋が、ポジションやら打順やらを発表した。
「これでたぶん大丈夫!一番神姫ちゃん!ポジションはサード!」
「ふむ、妥当じゃの。....ところでサードとはどっちあったかの?」
「二番晴人!ポジションファースト!」
「まぁ、頑張るよ」
「三番私こと相川千尋!ポジションセカンド!」
「四番結城!ポジションショート!」
「まかしとけ!」
「五番!橘さん!ポジションピッチャー!」
「......頑張る」
「六番瀬名ちゃん!ポジションセンター」
「頑張ります!」
「うむ、元気でよろしい!次七番葉!ポジションキャッチャー!」
「一応頑張るよ」
「一応とは何よ一応とは!」
「うわっ、それより早く次、次」
「ちっ、まあいいわ。八番ユニちゃん!ポジションライト!九番風花!ポジションレフト!」
「「はい頑張ります!」」
「もうほんとにこれで決定!さぁ、体育祭絶対勝つわよ!」
おおー!と周りの声が上がる。
今更だが千尋テンション高くないか?本当に今更だが。
夜、会長との待ち合わせ場所であるいつもの公園に到着。
また、いつものように制服姿の会長が.....と思ったが違った。あの日の真っ赤なワンピース姿で待っていった。
「で、会長。なんでその服なんです」
「単にお出かけしていて、そのままここに来たからですわ」
そうなのか、しかし会長の家は門限が厳しく、一回帰ってからでないとだめなような気が.....まぁ放っておこう。
「それで、今日は何するんですか」
「これから体育祭に向けてまでは、何もしなくて結構です」
......えっ、この人がそんなことを言うなんて。
「実を言うと、まだ情報がありませんので、何もできません。そのかわり、体育祭の時は散々こき使うからそのつもりで」
うえぇ、体育祭の疲れてる時に?ま、いいか。
「会長、夜遅いから送っていきますよ」
「ふん、当たり前ですわよ」
そう言ってさっさと行ってしまう会長の背中を追いかけながら俺は、体育祭の時どうするかを考えていた。
次でやっと体育祭に入ります。すごい長ったらしかったですね。
では、感想おまちしております!