くらえっ!秘儀消えながら燃える魔球!by結城
ではどうぞ
練習を始めてから数日、俺たちはポジション決めをしていた。
最低限ピッチャーとキャッチャーは決めておかないとならないからだ。
「とりあえず、神姫、ユニ、風花は除外の方向で」
俺の言葉に言われた三人以外がうなずく。その反応が気に入らなかったのか、神姫が抗議する。
「なんでなのじゃ!」
その言葉に俺は余裕を持ってかえす。
「ルールをようやく覚えたやつにピッチャーなんてやらせるか!」
「むぅぅ.....」
勝った。ユニもそれで黙ってくれたし、風花は自分の運動能力がわかっているからなにも言わない。
「で、どうやってきめるの?」
「オーディションでいいんじゃないでしょうか」
おお、それは名案だっとか言って煽る結城。とくにみんな不満もないのでオーディション開催。
「まずはピッチャーからね」
じゃんけんで順番を決め、それぞれが投げる。俺は早々にピッチャーを辞退し、いろいろ乗せられキャッチャーをすることになった。
最初は千尋のようだ。
振りかぶって投げる。........速い。
さすが運動部の助っ人によく呼ばれるやつだ。運動神経がかなり高い。
次は、晴人だった。
基本文化系の晴人、意外性を見せず普通の球だった。
次の瀬名も同じようなかんじの球だった。
その次、結城だ。
こいつも一応運動神経が高い。
さぁ、どんな球を投げるのか。
「しっかりとれよ!葉」
「わかってらぁ!」
俺も声をあげてお返しする。
「くらえっ!消えながら燃える魔球!」
それは意味がない!と思いながらその結城いわく「消えながら燃える魔球」をとる姿勢に入る
............いつまでたってもボールがこない。
ボールは俺のはるか頭上を飛んでいた。
「あれ?」
結城、いくらすごい魔球でも入らなきゃ意味がないぞ。
結城にせがまれ何球か付き合う。
どのボールもワンバンしたり横に行ったりする。
野手の時はコントロール抜群だったのにな.....。
コントロールが定まらないという理由で結城はピッチャー降板。
最後に橘だこいつは未知数だな。
そんな橘、振りかぶって思いっきり投げる。
ドバシィ!
音が響く。俺のミットにボールが入った音だ。
「「「「「「「「.......えっ」」」」」」」」
その場にいる全員が驚きの表情になる。
何でこいつこんなに速いんだ?
その剛速球を投げた本人は普通の顔をしている。
速い球を投げたっていう自覚がないみたいだ。
そこからは満場一致で橘がピッチャーになった。
俺はずっとキャッチャーのようだ。
.......まじかよ、あの球とるたびに手がめちゃくちゃ痛いんだが。
そんな俺の意見なんて誰も聞かず、今日はお開きになった。
深夜、みんなが寝静まった頃俺は一人で近所の公園に来ていた。
会長から、今夜夜に会えないか、っていうメールがきたからだ。
「遅いですわよ」
そこにはいまだ制服のままの会長がいた。
「今日は何の用ですか、会長」
会長に問いかける。俺だって眠いのだ。帰って寝たい。
「簡単な用です。...あなたあっちを裏切ってこっちにきなさい」
「はっ?」
「だからあっちを裏切ってこっちにきなさいと言ってるのですわ」
何考えてんだこの人?
俺は動く気がないし、そんなことをすれば旅館のアピール作戦も台無しになるんだ。
だれがいくか、そんなもん。
俺はその旨を会長に伝える。
「そんなの冗談ですわ」
.....冗談なら言うなよ。
これで俺がもしいく、って答えたら絶対に引き抜くだろあんた。
「本題はこれです」
会長が見せてきたもの。
それは、何枚かの書類だった。
「それは、最近近くで活動している強姦魔と少女を半ば無理やりに援交させている人物の手がかりですわ」
「会長、なんでこれを俺に?」
会長がなぜこんなものを持っているかっていうのは、会長の両親の兄弟が警察官だからだ。
なぜ俺が知っているかって?普通に教えられたのさ、会長に。
そんなことより、またいやな予感がする。前に会長と会った時に感じたのとは違ったものを。
「実はその二人、わたくしたちの学校の生徒と教師かもしれないのですわ」
ここまで来たら、会長の考えなんてわかる。
いやだなぁ、俺と会長の徹夜の原因、ほとんど会長が勝手に事件に首をつっこんだからだもんなぁ
「正確には強姦魔は生徒、援交を無理やりやらせているのが教師だと思います」
現実逃避をしかけている俺に向かって、会長は言い放つ。
「わたくし一人では限界があります。協力しなさい。必ず犯人を突き止めますわよ」
そう言い放った会長と俺の間を、春とも夏とも言い難い五月特有の生暖かい風が走った。
シリアスになってしまった......
できる限り頑張りたいです。
読みづらいところがあったら言ってきてください。