表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
居眠り卿と密室の死体と消えた小瓶  作者: 中里勇史


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/3

露見

「何だか妙な雰囲気ですね、ウィン様」

「そう? 貴族なんてみんなこんなもんだろう」

 ウィンは玄関正面の広間を眺めた。

 広間に、二〇歳前後の青年がくつろぐでもなくぼんやりと立っていた。彼も顔色が悪い。

「何だか妙な雰囲気だなあ」

「だからそう言ったじゃないですか」


 そのとき、女性の悲鳴が聞こえた。

「悲鳴だね」「悲鳴ですね」

 青年がウィンを制止しようとしたが、その前にウィンは走り去ってしまった。

 声がした方に向かって廊下を走っていると、部屋から三〇歳くらいの女性がよろめきながら出てきた。直毛の長い黒髪に、青色の瞳の美女だ。やはり顔色が悪い。手を固く握り締めて、ぶるぶると震えている。

「どうかしましたか? 夫人」

「いえ別に……。あなたは?」

「監察使のセレイスと申します。この部屋で何か?」

「か、監察使!? 監察使殿がなぜここに」

「まあ、いいからいいから。ちょっと失礼」

 ウィンは、ガルトレン夫人と思われる女性の脇を抜けて部屋に飛び込んだ。暗くてほとんど何も見えない。奥にも部屋あるらしい。扉から明かりが差し込んでいる。

 奥の部屋をのぞくと、一人の男が床にうつぶせで倒れていた。

 口から血を吐いている。

「ウィン様、これは……」

「死んでるね。気持ち悪いなぁ」

「ウィン様、不謹慎ですよ」


 ウィンは、死体に触れた。

「心臓は止まってるね。息もしていない。やっぱり死んでる。気持ち悪いなぁ」

 顔をしかめながら、死体を仰向けにした。体には特に出血は見られない。

「外傷もなさそう、だね。ん、このニオイは?」

 ニオイは、死体の口元から漂っている。吐血か喀血かは分からないが、血を吐いていることも考え合わせると薬物によるものか。つまり、自然死ではない。


 寝台の近くの棚には、得体の知れない液体が入った小瓶が数本並んでいる。高価なガラス製の小瓶をこんなに所有しているとは、裕福な貴族らしい。

 どの小瓶も液体がいっぱいまで満ちており、飲んだ形跡はない。だが、死体の付近には薬品の瓶のようなものは見当たらなかった。

 全ての液体のニオイをかいでみたが、死体の口元から発せられているニオイと同じものはなかった。

 ここにある液体とは違うものを飲んだということだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ