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記号断章:天使なき赦免
“罰”がなければ、“赦し”は意味をなさない。
“代償”なき愛は、傲慢と無関心の交差点に落ちる。
……彼女の名は刻まれていない。
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記録上、最も『世界を救った』とされる聖女のひとり。
…
だが同時に、彼女が世界に与えたのは“限界の消失”だった。
【判読不能な記号列】
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『どこにも苦しみがなければ、
人は“幸せ”の意味を永久に忘れる』
その言葉だけが残り、
……石碑は、誰にも読めない言語で封じられたまま……