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胎胚試製報告
試験名:《神胎模写》
実施機関:……(研究機関コードC-9群)
実験目的:聖女因子の人工継承、および因子安定化による量産体の育成
聖女個体より摘出された胚細胞を、人工子宮にて育成。
幾度となく繰り返された受精および着床模倣の結果、完全な聖女因子は再現されなかった。
生まれたのは、因子を持たぬ“器”。
意識も想念も宿さず、奇跡を呼ばぬただの子。
感情も、力も、無い。
十数回に一度、定義不明の“異常成形体”が確認される。
それは人の姿をとれぬまま、胎内にて暴走的な細胞融合を起こし、脈動する肉塊として排出される。
検出された微量因子は、確かに「それ」であった。
しかし、か細い灯火のように消えていく。
体組織の限界か、魂の不在か、それとも。
――成形されぬ想いは、世界に触れることすらできず、
幻のように消えるだけだった。
肉塊は冷却室にて数時間のうちに停止、廃棄。
葬儀は不要、記録は抹消、番号の再利用を許可




